新書736「はみ出し者」たちへの鎮魂歌 (平凡社新書 736)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582857368

感想・レビュー・書評

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  • 期待しすぎた。著名人それぞれの追悼の詞のあと、著者の解説のところどころに体制批判、天皇批判が入ってくるのが鑑賞にいささか邪魔をする。タイトルの「はみ出し者」とは無政府主義者の事だったか。
    著者の思想が多分に偏っているのは良いとしても、そこに読者である私がいまいち乗り切れずに途中で置いてきぼりになってしまった感がある。自分の不勉強のせいももちろんあるが、私はいわゆる「ノンポリ(昭和語)」なので少しうんざりしてしまったのだ。自身の体験を語る戦中派ではなく、戦後派の語る戦中談はどんなに熱くても響かない事がある。
    この本でもやはり、先人達の時代がいかに文学的に恵まれていたか、を感じてしまう。この昭和中期までの空気というのはもう、断絶してしまっているのではないか?と思っていたら本書の最後に吉本隆明の死にふれて
    「戦後思想の偉大な時代が確かに終わりました」
    とある。詩も、文学も、知性も「終わってしまった」とされる現代。そうではない、変わっただけだと言いたくはあるのだが。

著者プロフィール

1945年福井県生まれ。72年、『惨事』(国文社)でデビュー。代表的な詩集に『正津勉詩集』『死ノ歌』『遊山』(いずれも思潮社)があるほか、小説『笑いかわせみ』『小説尾形亀之助』『河童芋銭』、エッセイ『詩人の愛』『脱力の人』(いずれも河出書房新社)、『詩人の死』(東洋出版)、評伝『乞食路通』(作品社)など幅広い分野で執筆を行う。近年は山をテーマにした詩集『嬉遊曲』『子供の領分︱遊山譜』、小説『風を踏む―小説『日本アルプス縦断記』』、評伝『山水の飄客 前田普羅』、エッセイ『人はなぜ山を詠うのか』『行き暮れて、山。』『ザ・ワンダラー 濡草鞋者 牧水』(いずれもアーツアンドクラフツ)、『山川草木』(白山書房)、『山に遊ぶ 山を想う』(茗溪堂)など、ほかに『忘れられた俳人 河東碧梧桐』『「はみ出し者」たちへの鎮魂歌』(平凡社新書)がある。

「2021年 『奥越奥話 16の詩と断章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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