- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582857436
感想・レビュー・書評
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北斎の画集である「北斎漫画」の中からマンガ的な要素を含む作品を抜き出して紹介した本。
本書では、北斎漫画の作品から「ギャグ的な要素」「キャラクター要素」など項目ごとに作品を紹介してあります。
【こんな人におすすめ】
葛飾北斎が好きな人
江戸のマンガ文化に興味のある人詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
えぇ?って思うところもいっぱいあったけど、よくまとまってる
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個人的には漫画の原点を遡ると鳥獣戯画辺りになるかと思っていた。原点が何であろうと万を描いた天才の業績はいささかも減じない。
吹き出しとか表現方法とか無理くり漫画に結びつけるのはどうかと思うが北斎の仕事量には驚嘆するばかりである。あの精細な波の絵を観察しきった眼力も凄いが市井の人間に対するユーモアがあるのがこの人の魅力と読んでいて再認識した。 -
江戸時代の絵師葛飾北斎の言ってみればイラスト集のような画集についての入門本。副題の「日本マンガの原点」にあるように、現代のマンガにいたるまでのつながりの視点からの考察もある。ちなみに著者は京都国際マンガミュージアムの研究顧問(執筆時)。原典からの絵も多く入っているのでわかりやすい。コマ割り、起承転結、フキダシ、効果線等々、現代のマンガでは当たり前の手法が江戸時代からあったことに驚き。また、本書は動作をバラバラに描き、それを連続すると今でいうアニメになる、という作品も掲載されていることから、アニメの原点としても注目されている。
なお、私が北斎漫画に興味持ったきっかけは、たまたまパリの東洋美術専門の骨董店の店頭で、北斎漫画の1ページと思しきものの額装を観たことと、その後TV番組の「クレージージャーニー」で北斎漫画のコレクターが特集されていたことによる。パリで当該額装を見たときにはそれが北斎漫画だとは分からなかったが、「クレージージャーニー」を見たときにあれが北斎漫画だったのかも、と気づいた次第。現地でもっとしっかり見とけば、と後悔しきり。 -
<目次>
はしがき
第1部 全体像
第1章 『北斎漫画』の成り立ち
第2章 絵手本か戯画本か
第3章 『北斎漫画』の「漫画」とは
第4章 北斎の見てきた戯画本
第2部 戯画・諷刺画 各論
第5章 ナンセンスな面白さ
第6章 コマ表現の独創性
第7章 権威・権力に放たれた諷刺の矢
第8章 キャラクター・ドラマ作りの名手
第9章 江戸時代ビジュアル百科
第10章 永遠なる『北斎漫画』
<内容>
葛飾北斎の『北斎漫画』にスポットを当てたもの。著者はマンガの歴史について造詣が深く、多くの著書を持つが、この『北斎漫画』も半分は絵手本だが、残りはマンガであり、諷刺の部分を多く持つと分析。また、現在のマンガの原点になる要素が多く見られると指摘(コマ取り・起承転結<そうじゃないオチもあり>・誇張と省略など)。ビジュアルが多いので、すぐに楽しく読み終えることが出来る。