日本会議の正体 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582858181

感想・レビュー・書評

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  • 安倍政権の政策決定に大きな影響を及ぼしている日本会議は、極右の超国家的思想を持つ組織であり、しかもそれは宗教の力を使って動員や勧誘を行っている。それは諸外国のメディアが警鐘を鳴らすような危険な状況だと著者は訴える。
    事務局長の椛島が音頭をとるその運動は、元号法制定運動の成功パターンをくりかえしてるという。フロント組織を立ち上げ、全国にキャラバン隊を送り、署名を集める。その動員力と資金力は主に神社本庁に頼っている。勧誘の熱心さ、しつこさは、生長の家(谷口原理主義)の宗教心に基づいていると。
    実質的に宗教パワーが日本の政治を動かしているのではないか。もちろんこれはきわめて危険である。しかし多くの保守政治家にはそういう危機感がなく、ふんわりととりこまれてしまっているというのが実情。このまま椛島の思う方向に日本が進んでいくとしたらなんと恐ろしいことだろうか。

  • 現在の自民党政権を作る両輪というか四輪のうちの二輪が「日本会議」
    一輪は「日本を守る国民会議」
    もう一輪は「日本を守る会」
    両者とも「生長の家」「神社本庁」「真光等の新興宗教」等が関わる宗教色の強い団体。
    この2団体が合流したのが「日本会議」
    その「日本会議の正体」がわかります。
    本書のテーマではありませんが、残り二輪は、
    統一教会と創価学会ですね。
    宗教の四輪駆動で力強く日本を戦前へ?神の国へ?世界統一へ?
    絶賛進軍中!!!!!

  • TBSのサンデーモーニングで毎週素晴らしい発言をする青木理氏の本です(テレビほとんど見ないから「素晴らしい発言をするらしい」です)。

    日本会議というのは初めて知りました。
    その日本会議というのが、今どんなことを議論しているかに興味があり手に取りました。

    結論としては、その答えは書かれていなかった。
    何とかという宗教法人が母体で、神社庁がバックにいるとか、組織・昔の人の話ばかりで、「今どんなことを議論しているか」はまるで書かれていない。
    今の話をせずに、どうやって正体がわかるのだ!
    過去の話だけで正体を明らかにするのならば、日本共産党はテロ集団で、即刻解散・投獄ってことになる。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/477341360.html

  • 「日本会議の正体」というタイトルに対し、ジャーナリストとしてこれまでの軌跡と経緯、関係者へのインタビューを含め分かりやすく、そして読みやすくまとまっている。但し、筆者は明らかに懐疑的で批判的な目線をもって日本会議と向き合っている。

    一方で、全共闘時代において活躍した「日本を守る会」、「日本を守る国民会議」が闘う相手を失った後、日本のあるべき姿を追求するという方向性のもと、結成した日本会議も、自主憲法制定を党是とする自民党を正す役割を担ってきたのも事実。
    中立的な目線を養うのであれば、批判的な目線である本書に加え、他の書籍も読むべきと感じた。

    ・日本を守る会、日本を守る国民会議、2つの右派団体が結成し出来た団体だが、組織の中枢を担っているのはかつての新興宗教団体「生長の家」出生者であり、宗教右派の政治思想をもつ団体である。

    ・日本最大の右派団体ではあるが、その内実は大同小異であり、憲法論においても現行憲法を認めない立場から、現行憲法改正派まで幅広く、お賽銭を投げる感覚で参加している議員も多い。

    ・日本会議の最大目標
     ①憲法調査委員会の早期設置と憲法臨調の設置
     ②世界各国と同等の「防衛省」の設置
     ③北朝鮮による日本人拉致疑惑の解明と救済
     ④反日的・自虐的教科書の是正推進
     ⑤夫婦別姓制度の導入反対
     ⑥国籍条項の堅持再確認

  • 日本会議は突如発生した組織ではない。
    右派勢力へのアンチテーゼが消滅したから次第に勢いを増してきたのだ。
    日本会議とは戦後日本の民主主義体制を死滅に追い込みかねない悪性ウイルスのようなものではないか。
    このままいけば、近代民主主義の原則すら死滅しまいかねない。

    この青木氏の最後のまとめがよかった。

  • 大前提、過去世代の過ちをラーニングできるから次世代の方が常に頭いいと思ってるのだけど、カルト宗教はその学びを止める呪いだなと思った。政権中枢のほとんどがこのカルトということに目眩を覚えつつも、他国も似たようなもんなので、人間って愚かだなと思った。

  • 陰謀史観に与するわけではないが、現在の日本の政治に日本会議が大きな影響力を行使しているのは、どうやらまちがいがなさそうだ。問題は、権力を行使できる立場にいる人物なり政党なりが、その影響下にあることなのだ。
    この国にとって取り返しのつかないことになる前に、なんとかしなければならないと思うが、まずはこういう実態があるということを知ることから始める必要があるだろう。

  • なぜ2017年にこの本を手にしたのか?ニュースで取り上げられることが多かったからだろうか。当時の感想をみると、首相には厳重な憲法尊重・擁護義務が課せられているのだから海外からみたら極右といわれるだろうなあというようなことが書いてある。
    「意見をもつ」ということがどれだけ難しいことか、そんなことを考えさせられる。

  • ジャーナリストの視点から、多くの関係者たちへのインタビューをおこない、日本会議の実態を明らかにしている本です。

    生長の家や神社本庁など宗教団体とのつながりについて、客観的な事実をていねいに追っかけており、むろんところどころに著者の立場からコメントが差しはさまれてはいますが、全体的に冷静な筆致でレポートをおこなっています。

    結論としては、日本会議の現実的な影響力にかんしては、一部の危機を扇動するような発言からは、著者は距離を置いているように思います。一方で、日本会議の中核的なメンバーたちの地道な草の根の活動が着実に結果をつくってきたことを押さえつつも、じっさいの政治をどの程度動かしてきたかという点については、彼らが政権を牛耳っているというよりも、両者の価値観がたがいに共振しあうようになったことで、結果として日本会議が巨大な存在に見えているのではないかと述べています。

    ただそうだとすれば、政権とのつながりよりも、彼らの活動を動かしている心性のほうにもうすこし踏み込んで、その中身を解きほぐしてほしかったという気もします。

  • ネットなどの情報から、日本会議という大きな組織が、阿倍政権に密接に関わっているようだと知り、読んでみた。

    非常によく整理されていて、事実と関係者の発言は、著者の考えとは切り離して、正確に伝えるよう努めていて、日本会議について理解を深めることができた。但し、このようなテーマなので、何を取り上げて、どんな構成で伝えるかによって、伝わるものを変えることができるのも確か。著者の背景や立場を知る必要もあると感じた。

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著者プロフィール

1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。慶應義塾大学卒業後、共同通信に入社。社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年に退社しフリーに。テレビ・ラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『日本の公安警察』(講談社現代新書)、『絞首刑』(講談社文庫)、『トラオ―徳田虎雄 不随の病院王―』(小学館文庫)、『増補版 国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』(角川文庫)、『誘蛾灯―鳥取連続不審死事件―』『抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心』(講談社)、『青木理の抵抗の視線』(トランスビュー)などがある。

「2015年 『ルポ 国家権力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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