「負けるが勝ち」の生き残り戦略: なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書 121)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584121214

感想・レビュー・書評

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  • 生物の話をベースに「短期的に個人的な利益を追求する」戦術が結果的に損をする話など。おもしろい

  • 長期的な予測が不可能とされる複雑系において、
    生物進化の観点から最適な戦略を考察している本。
    タイトルがすべてを物語っています。

    害虫駆除のため殺虫剤を撒いた場合、
    短期的には害虫は減るけれど、
    しばらくするとその害虫が以前より増えてしまう、
    といった「殺虫剤のパラドックス」や、
    餌と捕食者の間に起こる「富栄養化のパラドックス」を例に、
    短期的な直感に基づく行動が、
    長期的には逆の結果を生んでしまうという説明をしていたり、
    クマノミの性転換や、
    働かない働きアリなどの進化の最適化の話、
    ゲーム理論やリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」の話
    (もとはウィリアム・D・ハミルトンの理論)、
    アボリジニの近親婚回避の話など、
    手を変え品を変え論じていますが、
    利他的行動のような、
    種の繁栄には短期的に負けているように見える戦略が、
    実は長期的に見れば一番成功しているという科学的知見を活かして、
    もっとよりよい社会を作りましょうよということが言いたいのでしょう。

    短期的な自己利益追求型の現代社会への苦言。

  •  殺虫剤のパラドクスをはじめ、いわゆる複雑系がいかに困難なそして魅力的な研究対象であるかがよくわかる本。環境・入力値・変数さまざまな要因によって結果が大きく異なることはよくみられる。とはいえ、一定のパターンが存在しており、それから選挙の勝敗などがわかる場合もあるのである。
    短期的には、利己的行動が得をするが、長期的にみれば、結局利他的行動が報われることになるの。「汝の欲せざるところを他人に施すなかれ」、「情けは人のためならず」という昔からの格言の正しさを再確認することになった。

  • [ 内容 ]
    複雑な自然界の現象は、決して、強い者が生き残り、弱い者が滅びる世界ではない。
    「利他主義」こそが最適の戦略であり、弱い者ほど生き残る。
    このパラドックス(逆説)を考えるためのモデルを提案し、生き残りの戦略を探る。

    [ 目次 ]
    プロローグ 情けは人のためならず
    第1章 スキャンダル候補が選挙で生き残る
    第2章 じゃんけんゲーム
    第3章 進化とは最適化のプロセス―自然選択ということ
    第4章 「負けるが勝ち」の進化論
    第5章 近親婚を避ける生物界のシステム
    第6章 なぜ男の子の出生率が高いのか
    エピローグ 汝の欲せざるところを他人に施すなかれ

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