- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584122051
作品紹介・あらすじ
潰れていく教師の悲痛な叫び。親が知らない、信じられない「教育現場」の舞台裏。教育腐敗の正体を暴く。
感想・レビュー・書評
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中学・高校そして大学で教師生活を45年務めた「尾木ママ」による日本教育論。「教育委員会バッシングが目的ではありません」と前置きしておきながら、中身が強烈な教委批判なのには笑える。緊急課題とされている、いじめ被害の子ども・心が壊れる教師たちなどの現場をよそに、役所仕事と上司へのゴマスリに明け暮れて「何もしない」教委の非人間性を糾弾する。子どもを育てるための「学校」が完全に教委の下部組織となって互いに反目し合っている現実に異議を唱え、さらには文部科学省の体たらくも非難する。これから教師を目指す人にはショッキングな内容だが、ならば一層のこと必読の書。
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この本を8文字で要約するなら「教育委員会はクソ」。現場教員の声と不祥事、データからいかに教育委員会がおかしな組織なのかとにかく叩いているが、逆に言えば批判だけでなんで教育委員会がそんな組織になっちゃったのかがさっぱりわからないから「この人ただただ怒ってるだけだな」という印象しか残らず。「どうですか?おかしいと思いませんか?」とか言われてもはぁ・・・としか思えなかった。最終章で申し訳程度に5つの提言こそあったが、批判メインでは何も生まれないと思うし、そもそもこれは結局誰に向けて書かれた本なんだろうか?
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先生は大変ね。国は滅ぶね。
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2008年教育委員会の不祥事が続く中で書かれた本書ですが,2012年現在でも充分役立つ内容です。
昨今の教育委員会ぐるみのいじめ隠しを見るにつけ,「事なかれ主義」の体質がそのままなんだなあと思います。全く自浄能力がなくなってしまった組織は,根本から治さないといけないと思います。
本書では,そういう教育委員会の改革についていくつかの提言がされていますが,すぐにでもできるのが「下からの評価制度」です。
教員の世界にもすでに上からの業績評価が入ってきていますが,その逆も行う必要があります。校長評価や教育長評価,指導主事評価などもどんどん取り入れることで,それこそお互いに切磋琢磨する教育界になっていくことでしょう。 -
教育委員会という大企業に対する不満、問題点が羅列してあった。
教委でなくとも、企業にも共通して言えると思った。
改善しようにも、内部の力関係(文科省含め)で身動きが取れない状態であると理解した。
とは言え、私がお話させていただいている指導主事の先生方は
みなさん熱く働いていらっしゃるし。
それだけに、そんなに悪く言わないで~と思う部分もあったケド、
これが実態なんだろうなあと妙に納得してしまう面もあった。
例えば、書類が膨大な量あるとか・・・
実のところは私には分からないけれど、
なんだか現場の先生方の叫びが聞こえてくるような、
身に迫ってくるような本だった。 -
尾木直樹氏の新著。
まったく最近の新書はずいぶんとまあ大げさなタイトルが多いね。これも仰々しいのだが,内容はといえば,アタマから終わりまで,教育委員会の問題について議論しているというもの。
つまり,現在の教育の諸問題について,その原因の一端を教育委員会だとして,教育委員会を批判している本。現在の教育の諸問題が教育破綻だとは思わないし,教育委員会イコール日本といえないと思うんだけどね。とにかく,教育委員会の閉鎖性・官僚制についてひたすら批判している。教育委員会といっても,自治体ごと様子は違うし,日本全国すべての委員会がおかしいわけではない。それは,学校現場と同じ。組織の成員によって良し悪しが生まれるのは当然だろうと思うんだけどね。
まあ,けど,教育委員会が問題の多い組織であるという前提を認めることとして,じゃあどうして教育委員会がそのような硬直した組織になっているのかの分析は甘い。だから,結局,教育委員会批判で終わっている。
現在の教育問題の原因の一端は著者のいう教育委員会の組織性いうことはいえるであろう。けれど,そのような硬直した組織をどうするかと考えると,結局のところ組織の解体しかなくなるわけで,それじゃあ空論に過ぎなくなってしまうであろうとも思った。
ただ,本著での尾木氏の問題意識は,新人教員が1年のうちに300人退職したり,教師の精神疾患が急増していたり,あるいは現職教員の自殺者の増加だったり,というところから出発しているので,当事者である教師にとっては問題意識を共有しながら読むことができた。