私は若者が嫌いだ! (ベスト新書 207)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122075

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  • 格差社会というタームが声高に語られるようになってからも積極的に若者擁護論を展開してきた"新人類"代表の精神科医による「若者への戦闘宣言」。

    プラトンの「最近の若者は…」と言う言葉が示しているように、人類は常に若年層を理解を超えた手に余る者として扱い嘆いてきた。

    本書を著者が挑発しているように"ババァの戯言"と片付けてしまうのは簡単だ。

    ITの革新によって誰もが自分の意見を世に公開できるようになった。
    それと平行して世界をアメリカ型資本主義=グローバリズムが覆い、金本位主義ならぬ金が市場であるというムードが世界のモードになっていった。

    産業革命以来の価値観の転換が目まぐるしく起こったことによって、常に世にある世代格差の溝も深くなったのではないか。

    若年層がなっていないと嘆くのもそうだが、それ以前に大人の不在が続いたことによってこの状況はもたらされている。

  •  著者は必ずしもヘイト(憎悪)している訳ではない。「時代という舞台の一番前にいる」とされる精神患者の事例を前に、どう考えても理解できない最近の印象を語るという。
     そこにはすぐ根を上げて逃げ、キレて甘え開き直る姿、他人に厳しく、すぐ傷つきやすい若者像がある。
     背景を、経済や教育の格差の拡大による弱さと推察し、ゆとり教育で学力向上したフィンランドや、フランスの若年貧困層との比較も示される。新型うつの増加や無差別殺人、ネット社会で増幅される若者の弱さについても考察する。
     将来を見込む時間感覚、他人の痛みへの想像力欠如? 自分が歳を取ったせい? 著者の逡巡は続くのである。

  • 爽快なタイトルをみて思わず手に取ってしまった本。

    若者の立場から若者論を語ってきた精神科医香山リカ先生。
    この本では、若者から一歩はなれ、若者の「得体の知れない弱さ」が何に基づくものなのかを分析し、それに対して大人は社会はいったい何ができるのか、という処方箋を呈示する。

    ちなみに、著者が嫌いな「若者」とは
    1)すぐ音を上げて逃げる若者
    2)居場所がない、とさまよいすぎる若者
    3)「キレた」「落ちた」「真っ白になった」といえば許されると思っている若者
    4)大人を信頼しすぎる若者
    5)大人に甘えすぎる若者
    6)学力がない、知識がないのに開き直っている若者
    7)自信がありすぎたり、なさすぎたりする若者
    8)自分のことしか考えられない若者
    9)簡単に傷つきすぎる若者

    よくもここまで言えたなぁという内容。
    納得いく部分もあれば、本論からずれてしまっている内容までさまざま。
    若者のネット利用似ついては偏見もあるのかも知れないなと、古谷経衡(著)『若者は本当に右傾化しているのか』を思い出した。

    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    ネトウヨ、弱者いじめ、シュガー社員、うつ病セレブ、誰でも殺人…自己責任か、社会の犠牲者か。
    ————————
    【著者略歴 (amazonより)】
    香山リカ(かやま りか)
    1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。『知らずに他人を傷つける人たち』『おとなの男の心理学』(ベスト新書)、『親子という病』『なぜ日本人は劣化したか』(講談社現代新書)、『「私はうつ」と言いたがる人たち』(PHP新書)、『キレる大人はなぜ増えた』(朝日新書)、『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』『イヌネコにしか心を開けない人たち』(幻冬舎新書)、『いまどきの「常識」』(岩波新書)など著書多数。
    ————————
    【目次】
    第1章 経済格差が生んだ若者の弱さ
    第2章 教育格差が生んだ若者の弱さ
    第3章 弱い若者を襲う新型うつ病
    第4章 「誰でもよかった」殺人と気遣い型の親殺し
    第5章 ネット社会で増幅される若者の弱さと甘さ
    第6章 若者はなぜ想像力を失ったのか
    ————————

  • キャラ化する/されると重複するような問題点を多く取り上げ、本書は若者を批判的に書いてある。読んだ感じ、同意するところもあるけど、稀なケースを取り上げている気もする。と思ったらあとがきにそのような断りがあった。
    今の若い人は、コミュニケーションの仕方が良くも悪くも変わったんだろうなと思う。同質的な人としか集まらないけど、それはその中でのコミュニケーションが繊細である必要があり、その労力の多大さから他の関係の無い人達へ関心を向けられない。
    昔は日本国内でも地域や年齢によって差があったけど、メディアの普及で均一化されてきた。そういう面からも差異のある他者への関心が向けづらいのではないか。

  • 突っ込みたいところ色々。でも大体は共感できる。

  • 辛口コメントの香山先生の本です。

    シュガー社員とはよく言ったもんですね。大人数がいればそんな社員も増えるんでしょうね。弊社のような小さい会社は一騎当千でなくてはやってはいけません。

    自己責任か  そうでしょうね。
    社会の犠牲者か  それもあるでしょうね。

    自立と支援両方が必要でしょうね。。

  • 自分もまだ十代と若いのだが、自分が知らない世界の実感、新しい社会観を覚えた。
    ものごとをとても現実的に捉える香山さんの視点が大好き。

  • 一気に読み上げて、う〜んと眉間に皺が寄ってしまった。

著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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