謎解き!宮崎・ジブリアニメ――『借りぐらしのアリエッティ』までの成長の軌跡 (ベスト新書 292)

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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584122921

作品紹介・あらすじ

主人公のヒロインやヒーローたちは、繰り返し空を飛ぶ。彼らはなぜ飛ぶのか。どこから、どこへ飛ぼうとしているのか。そして、どのように飛ぼうとしているのか。繰り返し出てくる「忘れもの」、ネコとカラス、そして「空を飛ぶ」ことの意味とは?作品シリーズを結ぶ核心のメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • いちジブリファンとしての著者の感想・考察をまとめた作品です。実際の制作秘話や歴史的背景に触れるわけではなく作品そのものから得られるものに限定されているため、タイトルの「謎解き」に惹かれて購入した方の期待には沿わないかもしれません。しかし、作者の見識の広さによる感想・考察は誰にとっても何かしら新しい発見があるだろうなと思えるほどで興味深かったです。各作品の考察の前には(おそらく)著者によるストーリーの要約があり、詳細を覚えてない方でも読みながら思い出して楽しめると思います。別のジブリ作品との比較によって各作品同士が繋がり立体的な形を持って見えてくる感覚も面白かったです。あとがきで読書感想文について触れていますが、読書感想文で何を書けばよいか分からないという子供が本書を読むことは非常に大きなヒントになるのではないかと感じました。ネットや雑誌等での考察を見て「よくこんなことが思いつくな」と思っていたり、他人と比較して自分は好きな作品を理解できていないのではないかと悩んでる方にもオススメです。

  • 謎解きってほどじゃない。ジブリファン自慢。

  • 謎解きとは大げさな気がします、著者の想像、考えを書いてる部分がほとんど。資料などを使った真面目な考察を期待してると拍子抜けです。
    あらすじはうまくまとまっていたかと思います。

  • ジブリ作品の読み説き。

  • 請求記号・778.77/Sa  資料ID・310005638

  • ジブリ作品(宮崎駿作品)について著者が感じたこととその作品以外との対比やジブリ以外との作品との類似などを書いている書籍です。

    様々な角度から作品を眺めているのでそれぞれの作品に深みを持たせるには読んでみて損はないです。
    特に魔女の宅急便の頁はしっかりと納得できたし、深かった。
    その反面、見たことがない作品に関してはまったくついていけないのとこじつけとしか思えない結びつきを持ってくることは読んでいてどうなのと思ってしまったかな。

  • 最近(平成23年)では有名なお父さんよりも、息子さんのほうが映画監督として活躍し始めているようですが、長女が生まれた1995年頃から宮崎ジブリアニメを親子共々楽しませてもらいました。

    この本では、今までの主要な作品の内容を紹介しつつ、それぞれの映画が伝えようとしている隠れたポイントまでも解説しています。久しぶりにジブリ作品を見直してみようかと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・夢はいくつも、何度でも見ることができる、自由とは、困難な状況の中で希望をもち、夢を見ることである。一つの夢がはかなく破れても、希望をもっていればまた次の夢を見ることができる(p4)

    ・夢は、心の奥にある希望を、変形されたビジョンを通じて示すものである(p4)

    ・日本の神々には、役割分業があっても上下関係はない、従って、ネコバスとトトロの関係は役割の違いがあっても、上下の主従関係はない(p105)

    ・魔女の宅急便のキキが、その運をつかみ、生かすことができたのは、キキの子供らしい人柄の良さと真面目さによるもの(p117)

    ・ウルスラが魔法は絵を描くことと同じだと言ったのは、芸術というものは人の心を動かし、生きる意味を与える魔法のようなもの(p127)

    ・若い人の恋が長続きしないのは、相手のことをよく知らないだけでなく、自分のこともよく知らないから(p163)

    ・風の谷のナウシカは、人間優先の世界が戦争を引き起こし、さらに環境を破壊して滅んでしまったことを物語の前提としている(p178)

    ・千と千尋の神隠しにおいて、湯婆婆に千という名前を与えられたときに、彼女を名付け親として、また子供として従った、それがハクの言った「湯婆婆は相手の名を奪って支配する」ということ(p191)

    ・ハウルの動く城において、ソフィーが老婆に変わったのは、荒地の魔女の魔法だでではなく、ソフィー自身の否定的な自己評価、消極的な生き方や考え方があったからと思われる(p205)

    ・ポニョは、人間にも魚にも共通する命があることを、主張していることになる、これはアルゼンチンの人魚姫(自分の命を犠牲にして王子を助けて空気の精となる)とは異なった考え方(p221)

    ・権威には正当な根拠がなければならない、それを信じる人たちの合理的な支持が必要、そんな根拠がないのに権威があるようにふるまうのを権威主義という(p226)

    ・相手の言ったことを「まとめる」とは、話を短くすることだけではなく、話の核心をつかむこと(p235)

    ・まとめることの難しさは、対象の部分を知ることから全体をよく知ることへ移ってゆくことの難しさである(p236)

    2011年9月10日作成

  • 津市安濃図書館。

  • ジブリ好きなので、タイトルに引かれて読んでみた。

    内容としては、宮崎駿さんの考えと、ウラ話とかが出てくるわけではなく、著者がみて感じたことや、考えたことがまとめられている。

    アリエッティ、ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女の宅急便、紅の豚、耳をすませば、もののけ、千と千尋、ハウル、ポニョ、について物語の流れに沿って、話が進む。

    話を進めるにあたり、それぞれのシーンのあらすじがついているため、それらの映画を見たことのない人でも分かる内容になっているけれど、100%ネタバレなので、ネタバレ嫌な人には向いてないかな。

    内容的にいいなと思ったのは、ドイツのヅリードリヒ大王の言葉「君主は国家の第一の下僕」という言葉から発生した考え。

    ”人間が自然の支配者であるならば、人間は自然の秩序に配慮し、自然を守らなければならないのです。”

    支配するべき自然がなければ、支配者になることはかなわない。
    だから、支配するのならば、きちんと配慮し、自然が存在できるようにしていかなければならない。

    ただ、自然を切り取り、なくしていくのは、支配とは違うただの破壊なのだと認識を新たにすることができました。

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著者プロフィール

* 1949年東京都生。
* 上智大学大学院博士課程満期退学。
* 現在 東北女子大学教授。
* 主要著書・論文
『良寛の詩を読む』(国書刊行会)
『古今和歌集入門』(国書刊行会)
「現成公案の巻を読む」(宗学研究)

「2011年 『良寛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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