原発大崩壊! 第2のフクシマは日本中にある (ベスト新書 329)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123294

感想・レビュー・書評

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  • この本は一日30万アクセスの注目ブログの著者・緊急の書下ろしなんだそうです。僕は筆者のブログは読んでいませんが「原発が地震で壊れるのは想定内」などの提言には衝撃を受けました。

    マスメディアが信じられなくなってしまった以上、こういう本を読んで自衛するしかありません。僕はこの人のブログを読んだことは勉強不足で申し訳ないんですけれどまだないんです。本当にすみません。この人の本を読んでいると、マスメディアで言われていることがいかに『真実』を告げていないかということが本当によくわかりました。しかし、真実を告げたら告げたで確実にパニックになるでしょうから、それはそれでどうなのかと思っていますが…。

    ここに書かれている中でも
    『平常時、1年間に浴びても問題のない放射線量は1ミリシーベルト』
    『被曝放射線量=外部被曝+内部被曝』
    『福島県産の野菜とともに福島~千葉沖などの海で取れた魚は口にしない』
    最後の箇所は正直まだ野菜については『?』ですが、海上に高レベルの放射能を含んだ水を垂れ流した、ということはこういうことなのでしょう。そして『御用学者』と呼ばれる存在が巧妙にウソを垂れ流している、という事実を読むにつけ、慄然としましたね。

    彼らに安全といわれたらこの本にいわく
    『一体これは震度いくつぐらいの耐震想定でつくられているのですか?』と聞き返し、難しい言葉を並べられたら『だったら、もしその震度以上になったらどうするのですか?』
    と聞いて行くといいと書かれてあって、もし機会があれば実行してみたく思います。そのほかにも恐ろしいことがこれまたてんこ盛りにかかれておりまして、やっぱりこういうことは自分で考えていくしかないのだと、かなしいかなそういう風になってしまったんだなと、人類がいまだかつてない原発事故に遭遇してしまった日から国民一人ひとりに突きつけられた問題なんだなとあらためてそう感じました。しかし作者の言う『核燃料廃棄物貯蔵所は安全だ』という説には疑問を感じていますけれど、それ以外に関しては、ぜひ読んでいただければと思います。

  • 武田邦彦氏は4月7日の最大の震度を記録した東日本大震災の余震の際、震度4で東通原発、震度5で女川原発で起きた「電源喪失」から、「日本のすべての原発は地震で壊れる」ことを示唆している。
    理由として、原子力関係者は原発設計時、あまりにも「原子炉」を守ることを意識し過ぎている。実際に、原子炉は普通の家屋の3倍、冷却系は1.5倍、その他の周辺施設は普通の家と同じ耐震強度で作られているているという事実を挙げている。つまり、地震によって原子炉が壊れることはなかなか起きない。「核反応が暴走」するということは防ぐことはできるかもしれないが、冷却系の故障などによって、燃料棒を冷やすことができなくなることは多いにある。これらの結果が、今回福島原発でも起きた水素爆発である。
    日本ではなぜこのようなデタラメな耐震強度基準を採用していたのか?チェック機能を果たすことはなぜできなかったか?今後、原発問題に対して私たちがしていくべきこととは?ということがこの話の後、書かれています。観点としては、「科学技術」というテーマにそって進められるのですが、打ち疲れてしまったし、レビューなのにめちゃくちゃ長くなってしまいそうなのでしょうりゃーく!

  • 原発系固め読み第五弾!
    原子力に批判的な原子力学者による本。
    条件付き原子力発電推進のスタンスに立つ。

    日本の原発の原子炉は安全だが、原発に付随する施設についての安全性が根本的にダメであり、地震で安易に電源が止まり、原子炉の冷却ができなくなる。
    日本中の原発が今のままでは第2のフクシマと化すおそれがあると主張する。

    それでも原子力発電は日本に不可欠であり、付帯施設の安全性を強化し、付近住民の安全対策を十分に策定した上で運転を続けるべきだと主張。

    今まで五冊読んだ中で一番バランスがとれているかな、と感じた。

    高レベル放射性廃棄物の方が低レベル放射性廃棄物よりも安全というのは初めてわかった。
    太陽・風力・水力などの自然エネルギーが自然を破壊し、しかも広い平地が必要なので、山国の日本には向いていないするとの主張には目から鱗が落ちた。

    誤字はないが脱字が多い。緊急出版した事情はわかるが校正をしっかりやって下さい!

  • いろいろ読んだ原発関係の本の一冊.アジテートするのがうまいのか,アドバルーンを上げるのがうまいのか,自身のブログで賛否渦巻く武田邦彦教授の著書.科学的と言いながら,強引な理論構築で全く同意できない部分もあるが,「住民を守る」視線,原発や電力会社の問題点の指摘は間違っていないと思う.著者は経歴から原発肯定派と思われるが,それに対する態度は電力会社より真摯である.

  • 私の興味が薄れてきたのか、昔からの言い伝えにあるように「人の噂も75日」なのかは判りませんが、震災後に発生した原発事故は最近ではあまり報道されなくなってきているようですね。

    彼の本によれば、日本の原子力発電所は災害が起きた時には危ないそうです、しかし中心部にある「原子炉自体」は壊れることは無いようです。問題なのは冷やすために必要は周辺機器が殆ど地震のことを想定せずに作られているようです。

    このようなポイントは、新聞やテレビ(特にテレビ!)を見ているだけでは理解できないもので、この本を読んで良かったと思いました。特に、高レベル放射性物質の格納のほうが低レベルよりもある意味安全(p184)というのは意外でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・原子炉は地震で壊れないかもしれない、しかしすべての原発の電源は震度5程度の地震で止まってしまう可能性がある(p15)

    ・福島第一で起きている事故は、チェルノブイリ、広島長崎の原爆のような「核分裂の暴走による核爆発」ではなく、「水素発生による水素爆発」である、水素が発生したのは、原子炉内の温度が急上昇したからでその原因は電源喪失にある(p15、49)

    ・太平洋プレートは北米プレートよりも少し重いので、ぶつかり合うと太平洋プレートが下に潜ろうとする、そのときに北米プレートをひきずこもうとるする動きとなり、地下深くでひずみが発生、それを解消しようとして北米プレートが跳ね上ると、太平洋の海中を震源とした地震が起きる(p25)

    ・振動の強さの計測する単位は、ガル=1秒間に1センチ動くような動き(p25)

    ・4月7日に東北地方で起きた最大震度6(M4.7,津波なし)を記録する余震で、青森県原発と六ヶ所村再処理施設の電源が切れ、ディーゼル発電を使用するに至った(p27)

    ・地球は外からは核融合が続いている太陽に、内側からは、原子の崩壊熱で暖められてきた、その熱と熱の出入りの絶妙なバランスのおかげで生物が発生した(p32)

    ・持っている原発の種類によってできる核爆弾が異なる、ウランを燃やしてできるプルトニウムを使うグループ(イギリス、ロシア、北朝鮮)と、ウラン濃縮してウラン爆弾を作るグループ(アメリカ、フランス)で日本はウラン濃縮型(p35)

    ・ウラン235を4%くらいまで濃縮すると、普通の水である「軽水」を用いて原子炉ができる(p35)

    ・原発建造における耐震指針は、原子炉の建屋、格納容器、原子炉(圧力容器)の3つにのみ責任をもつが、電気系統やその他設備は無関心(p54)

    ・原子力安全・保安院ができたので、原子力委員会と原子力安全委員会には情報がこなくなった(p86)

    ・もし現在起きている事故が、敦賀・柏崎刈刃、九州の玄海で起きた場合、偏西風により日本中が汚染される(p87)

    ・IAEAは土の表面をすくって土壌汚染の測定をするが、保安院はスコップで掘って下の土も含めるので、20分の1程度には薄められる(p100)

    ・1マイクロシーベルト(1時間)とは、約8.8ミリシーベルトであり、ICRP基準である1ミリシーベルトを超えているが、政府は20ミリシーベルトに設定(p107)

    ・実際には測定値の3倍(大気+呼吸による+食品や水を介する)が入ってくると考えるべき、1マイクロシーベルトならば、約26ミリシーベルト(年間)である(p108)

    ・福島沖でとれる、小魚、貝、海藻は要注意(p115)

    ・大学で行われる「社会に役立つ研究」を判断するのは、東京大学である(p122)

    ・高レベル放射性物質は細心の注意を払い、専用トラックで輸送されて地下300メートルに格納されるので安全、低レベル放射物質は普通トラックの輸送、格納も15メートル程度の深さであり危ない(p184)

    ・石油メジャーが土地を所有するために、40年程度であれば先に土地を買っても資源で儲けられるとして「40年で枯渇」としている、これは資源の話ではなく、経済理論の話(p194)

    ・最近では風力発電所周辺では、風が弱くなったというのは常識になった、エネルギー保存法則から言えば当たり前(p196)

    ・スウェーデンで水力発電が成功するのは人口密度が日本の17分の1であること、一人の人間が使える「自然エネルギー」が17倍、自然破壊をしても被害は17分の1であることを意味する(p200)

    ・日本の森林面積は66%で世界3位、自然エネルギーに使えない山地ばかりで、自然エネルギーを使うには不適切な国(p203)

    ・オーストラリアの石炭の炭抗夫の最低賃金は1000万円、リーダーは2000万円、埋蔵量は1000年分(p208)

    2011年10月2日作成

  • reserved aug 24 no7
    borrowed on nov 5, 11

  • タイトル、帯が扇情的すぎる。まさに筆者が述べていることを帯が実践してる。中身自体はすんなりと頭にはいる。

  • エネルギー

  • 著者のフクシマ原発に対する見解は、著者のブログで注目していたので読んでみた。原子力政策にまつわる「御用学者」の問題とか、「自然エネルギー」に対する解説など、とても面白い視点だと思う。他の著作も読んでみたい。

  • 東日本大震災による福島第一原発の事故の原因と当座の対処法、次世代エネルギーをどう考えるべきかを論じている。
    が、この著作でもっとも興味深かったのは、なぜ「御用学者」が生まれ、彼らが安全神話のもと原発を推進してきてしまったかという点。
    科研費でしか研究ができない日本の研究者の悲哀=「独立した研究が出来ない」と、政官学の癒着というアカデミアに対する痛烈な批判。
    原発推進の「御用学者」に限らず、人文系をも含んだ全アカデミアが考えないといけない論点を提示していると思う。
    アカデミアにお世話になっている自分としては耳が痛いが…

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著者プロフィール

1943年東京都生まれ。工学博士。専攻は資源材料工学。
東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業に入社。
同社ウラン濃縮研究所所長、芝浦工業大学教授、名古屋大学大学院教授を経て、2007年より中部大学教授。
テレビ番組「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)などに出演。
著書『ナポレオンと東條英機』(KKベストセラーズ)、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』3部作(洋泉社)他ベストセラー多数。

「2017年 『武田邦彦の科学的人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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