原発大崩壊! 第2のフクシマは日本中にある (ベスト新書 329)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123294

感想・レビュー・書評

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  • 武田さんは、安全な原発推進派である。原発推進派の抵抗勢力といってもいいかもしれない。だから、その中ではいつも無視される。それが「東大御用学者」に対する批判にもなる。武田さんは技術者だから、今の日本の原発はすべて危険だが、日本は本当は安全な原発をつくる技術はあるといいたいのだ。住民がわりきって、その危険性、事が起こったときにどう避難するかをわかっていれば原発をもってもいいという。電力会社は、風が一年を通じどう吹くか、事故が起こったときに人々はどう避難すべきかをあらかじめ住民にしらせるべきだという。しかし、そんな武田さんでも、今度の福島原発震災の処理をみて、日本人は原発をもってはいけないのではないかと迷いはじめている。前にも書いたが、今の日本の原子力委員会などは、原発は今度の震災でも壊れなかったから安全だという。たしかに、原子炉はこわれなかった。しかし、その周りの電源系統がこわれてしまったら同じことだ。武田さんは、今度の震災で、より深刻なのは、余震で女川等の原発の電源が切れてしまったことだという。これはまったく同感だ。原子炉と原発は違う。原子力をやる人たちは原子炉自身の安全しか頭にない。地震も外部電源も関心がないのだ。こんな人たちに日本の原子力をまかせておけるのだろうか。武田さんは技術者だから、情ではなく、科学的な見方を訴える。だから、福島の野菜や魚は食べてはいけないという。ぼくもこれには賛成だ。危ないものは危ない。福島支援は別のかたちですればいい。しかし、武田さんが使用燃料棒は危険ではないとか、プルトリウムの危険性を大きく言い過ぎるのはおかしいというのはひっかかる。現に今度の震災でも、六ヶ所村の外部電源が切れて、爆発一歩寸前だったというではないか。福島でもとまっていた4号炉の使用済み燃料が大量の崩壊熱を出し、水素爆発を起こしたではないか。武田さんの言うことには頷ける点もあるが、ひっかかることも多い。

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    ── 武田 邦彦《原発大崩壊! 第2のフクシマは日本中にある 20110514 ベスト新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4584123292(20211225w)
     

  • 原子力の専門家であり、「地球温暖化」や「リサイクル」「環境問題」などに関する世間の「ウソ」を指摘し続ける武田センセイ。2011年3月の大震災による放射能漏れを「最大の厄災」と取り上げ、その原因となった東京電力や保安院といった体制側の欺瞞(ぎまん)を糾弾する。ひとつ間違うと膨大な数の国民に被害を及ぼす原子力発電の責任者は、原子炉のみならずその周辺施設、そして何よりも付近住民の安全を最優先とするような、いわば「戦艦大和の艦長」でなければならないと訴える姿はカッコいい。国策で進められた原発には、体制に都合のいい「御用学者」が幅を利かせていると暴き、原発に関する正しい認識を武器に、そのご都合主義を科学者としての理系目線と社会学的な文系目線の両方からぶった斬る。

  • 武田邦彦先生のご著書を読むのは2、3冊目です。東日本大震災以前のご本は科学的なお話が多く、後半に武田節が入ってくるものでした。今回は震災直後に書かれており、それまでご経験された実績からくる思いや、科学的な解説も読者にわかりやすく、全編に渡って武田節なので読みやすかったです。内容は時間の経過がありますので、現在の武田先生のお考えとは異なる部分もあるかと思います。情報補正しながら読むことをオススメします。

  • 環境問題の本で有名な武田教授。原子力発電所は原子炉だけで造られているものではなく、今回の地震で電気系統の脆弱性が明らかになったわけだ。原子炉だけが丈夫に作られていても、それだけでは安全ではないという事ですね。御用学者の話や自然エネルギーのウソの話など、難しい専門用語など意識せずに読めます。201307

  • もっと知らないと

  • 原発の安全性について長年携わってきた著者による、原発神話の崩壊を告げた一冊。

    現行の法律は「原発」ではなくあくまで「原子炉」を守るためのもの、というシンプルだけど強烈なメッセージが、実際の福島の現状と合わせて参考になった。

  •  マスコミの報道から、トンでもな内容かと想像していたのですが、良識のある内容でした。出版当時から考えれば、先進的な内容です。

  • 解りやすい言説である。原発の今後に関しては賛成も反対も冷静に議論していくしかない。原子炉を守るだけではなく、周辺住民を守ることを考えるようにすべしとの考えには賛同できる。自分の考えを持つために参考になった。

  • 武田邦彦氏の考えに全面的に肯定する訳ではないが、未来のエネルギーについて考えるヒントにはなる。

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著者プロフィール

1943年東京都生まれ。工学博士。専攻は資源材料工学。
東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業に入社。
同社ウラン濃縮研究所所長、芝浦工業大学教授、名古屋大学大学院教授を経て、2007年より中部大学教授。
テレビ番組「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)などに出演。
著書『ナポレオンと東條英機』(KKベストセラーズ)、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』3部作(洋泉社)他ベストセラー多数。

「2017年 『武田邦彦の科学的人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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