老いる覚悟 (ベスト新書 330)

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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584123300

感想・レビュー・書評

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  • 定年が視野に入ってきた時期に、良いタイミングで読めた。最近定年後の過ごし方をいろいろ考えていたので、とても参考になった。普段自分が考えていることに近く、概ね同意。(日本の会社組織の話は必ずしも著者の見解には同意できないと思った。)
    何をしても良い自由vs何もしなくて良い自由。私は前者の自由を選びたい。(今はそれがとても楽しみ)
    孤独を恐れないvs他人や社会と関る。これは両方必要だろう。
    好奇心を継続する。何より健康に留意する。生活に窮しない程度のお金は必要。
    やはり、いろいろと事前に検討し、準備、計画は必要なのだろう。

  • 人生は、出会いの連続
    第一が人間との出会い
    第二が文化との出会い(小説・絵画・音楽・演劇・古典芸能)
    第三が場所の出会い、初めて訪ねた町や自然に接して感銘する。
    それぞれの出会い、これは未知との遭遇である、自分の未来の無限の可能性を広げのが、まさに出会い。
    歳を重ねると、知らない人と話すのは疲れる、未知の方角に行きたくない、などと出会いを拒否したり、あるいは面倒くさがるようになる。それは知らないうちに自分で老いを加速しているようなものである。
    予定を立てるときはあまりびっしりと時間を組まない、時間に追われてストレスになってしまう。ゆったり予定を組めば精神的なゆとりもでき、自由な時間を堪能できる。
    時間の遣い方に関して、何でもダブルでする。好きな音楽を聞きながら風呂に入る。犬の散歩をしながらラジオで情報を集める。テレビを見ながらストレッチする。物事を何でもふたつ一緒にやると、時間が半分で済むし、効率的で得したような気分になる。一日は1440分しか無い。
    同じ散歩をするにも散歩でもするかと今日は・・・公園までお弁当を持って散歩に行こうというのでは、まったく意味が違う。
    明確な目標があって行動するのと、たた無為に行動するのでは、精神的な喜びや心地いい緊張感が心と体に与える豊かさがまるで違う。
    目的を持って行動すれば、満足感と充実感がついてくる。
    覚悟のない行動は時間の空費に過ぎない。
    人生の残りのカレンダーは日々少なくなっていく。
    人が老いるということは、志が減ることにほかならない、志とは未知なるものを求める力である。
    老いても重要なことは、常に自分の目標を持ち、未知に挑戦していく心である。
    未来を見つめ続けている人は若者と同じ志を持っている。新しい経験を常に求める志があれば、精神的にも肉体的にも若さを保つことが出来る。
    逆に過去にばかり思いを馳せる人は、心身ともに老けていく、過ぎ去った過去を見つめても永遠に新しい経験を得ることができない。
    どれだけ歳を重ねても、未来の出来事は予測できない。未知なのである。
    明日、死ぬかもしれな、百歳まで生きるかもしれない。未来にどんな人生が待っているのかは誰にもわからない。それは、可能性が無限にあることにほかならない。
    未来の可能性に気づいてない人は、肉体が老いるとともに、心も比例して老いていく無限の可能性を追い求めれば、肉体的には老いていくが、心は老け込まない。
    自分ひとりの力だけでは追求することは出来ない。いろいろな人の意見を聞いたり、万感の書を読んだり、有識者の意見を聞いたり、そして、ある日、突然悟りは開かれる。多種多彩な知恵や、考え方を集積してたどり着いた、自分独自の理念。それが悟りなのである。
    肉体の衰えは如何ともしがたいが、歳をかさねたことによって、知の視野が広くなる。
    自分が意識しているほど、他人は自分の事を意識していない。そう考えると気が楽になる。自意識過剰はやめたほうがいい。常に他人の眼を意識して、自分が好きなことをできなくなる。
    年寄りの冷や水 いわれようが、周囲を気にせず、自分の思うがままに、やりたいことをやるのが自然である。
    人生これで満足だと思ったら新しい挑戦ができなくなる。老いたことにより、上昇志向を失う人が多いのではないか、だが、絶対に上昇志向は失ってはならない。もういいと思ったらそこで終わり。

  • 老いても社会との接点をもとう、と著者は言う。
    それはそうなのだが、老いの覚悟とは如何に死ぬかではないのか。
    社会との接点を持つことができる体力と気力が無くなってからが問題なのだ。

    孤独死や孤立死は最も不幸な死だ。家族や人生の戦友や仲間から置き去りにされる寂しさに耐える覚悟なき余生は無責任な孤立死につながっていく(159ページ)
    誰も孤独死したいとは思っていないだろう。
    体力が衰え、外出もままならなくなる。
    子供たちも遠く離れ、兄弟も近くにはいない。頼りたくても頼れる人がいない状況を、著者は考えないのか。

    私は出来れば施設には入りたくない。一人でも頑張れるうちは我が家で暮らしたいと思っている。
    ふと思う。ある日子供が訪ねてきて、冷たくなった私を発見する。それは死後何日か経っているかもしれないが、せめて腐敗が始まる前に発見してほしい。
    それが私の老いる覚悟だ。

  • 人生とは、言うならば、生まれた瞬間から、死へ向かって歩き始める道程である
    寿命の急上昇を支えたのは、3つの文化の進歩である。まず新薬が次々と開発され、結核のように、戦前には不治の病と言われた病気でも、注射1本で直すことができるようになった。次に衛生学。伝染病や食中毒も昭和の時代から比べると劇的に減少した。それから栄養学。国民に食育の中を生が広まって栄養面を含めてバランスのとれた食生活を送ることが一般的になり、健康の増進や維持が出来るようになった。
    人が老いると言う事はどういうことか。志が減ることに他ならない。志とは未知なるものを求める力である
    来世とは人間が作り出した虚構である。日々のやり切れない気持ちや悲しい未来への不安を和らげてくれるのが宗教である

  •  森村誠一氏の「老いる覚悟」、2011.5発行、再読です。20年以上ある余生、その余生に新しい出会いを求めることを薦めていらっしゃいます。その未知との出会いとは、人間であり、文化(小説、絵画、音楽、演劇など)であり、場所(町や自然)であると。そして、最近では、動物(ペット)との出会い、植物(盆栽、家庭菜園など)との出会いも!
    森村誠一 著「老いる覚悟」、2011.5発行。覚悟ある老いと覚悟なき老い、これからは覚悟の時代だと。著者の説を要約すると、次の5つの覚悟ではないかと思います。①現役引退で良いことも悪いことも全てが帳消しに ②自力で餌を捕る覚悟 ③炊事、洗濯、掃除は必須科目 ④社会の変化に素早く順応する能力を身につける ⑤老いたくなければ新しい出会いを求める(人とのかかわり、社会・コミュニティとの接点を持ち続ける)。
     会社を辞めれば「ただの老人」。はいっ(^-^) 老いと向き合い、老いを友として生きていきたいと思っています! 適度の運動、バランスのいい少なめの食事、十分な睡眠、そしてほどよいストレスでまいりたいと、思う次第ですw。結構難しい気がしています。頑張ります(^-^) 森村誠一「老いる覚悟」、2011.5発行、再読。
     ①「何もしなくていい」が老人の生き甲斐を奪う ②炊事、洗濯、掃除は必須科目 ③老いたくなければ新しい出会いを求める ④他人の眼を気にせず、自由奔放に生きるが勝ち ⑤創意工夫を繰り返し、自分に合った健康法を見つける。森村誠一「老いる覚悟」、2011.5発行、再読。

  • 「人生50年 下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くあり」

    明治・大正時代は、40年代、戦後の昭和22年では50代の平均寿命だった時代だったから、退職年齢60歳で、60歳からの年金生活を昔の人は、描いて来たのだと、、、、読んでいて気づいた。(遅いかもしれないが、、、)

    人生は、死に向かう不平等の日めくりカレンダーだと、、、作者は語る。
    本当に、世の中に良い人でも、早く亡くなってしまうこともあることは、残念なことである。

    65歳以上が、高齢者。75歳以上は、老人と、国は、区分しているが、昔100歳の長寿が、珍しかったが、今は、元気な100歳の方も多い。

    余生の時間は、ご褒美であり、何をしてもいいと自由を手に入れることが出来ても、無駄遣いせずに、時間を過ごすことが出来るのか?と、問うてしまう。

    亡き父が、親族や、上司、親しい友人が、ポツリポツリと、彼岸へ行った時に、『寂しいなぁ~』と、言っていたが、、、
    その気持ちが、少しづつ理解出来るようになった。

    昔のように、親戚が、集まることもなく、ただ、暑中見舞いと年賀はがきでのやり取りだけが、主が、亡くなったら、その身内とは、縁が遠くなり、音信不通になってしまっている。

    我が父母も生前に墓を建立したが、息子3人の子が、墓を守ってくれるように見えない。
    作者は、家史、血脈を子孫につなぐ為に墓を、、、と、考えているが、だれしも、思っていても、後を継いでくれる者が、存在しないといけない。

    人口も、若い人たちが、減って来ており、グローバルな世界で、国際結婚等で、海外へ居住する人も多くなった。

    そうなった時に、位牌は、持って行ってくれるだろうが、墓と仏壇は、無理かもしれない。
    我が家も、大きな仏壇を買って、おまつりしているが、、、。

    その時は、どうすれば、いいのか?子供たちに、話しておかないと、いけないであろう。

    老後、資産も目減りして行くだろうが、命の日めくりカレンダーと、相談しながら、平凡な生活に、明日への楽しみ一つの灯を見つけながら、余生を過ごしたい。

    作者の言う通り、平凡なしえ勝の繰り返しでも昨日ととは違う1日にするぞと言う覚悟が、必要だと思う。

    テレビ、携帯、スマホ、ゲーム、ビデオなど、文明の機器で、ぼんやりと、過ごせる時代になったけど、、、、外を見て、季節の四季を肌で感じて、美味しいと思えるものを作り、人との会話に耳を傾けれる余生を過ごしたいと、思っている。

    そして、「あの人がいるから、大丈夫!」と、一人でもいいから言われるように、誰かの役に立ちたい老後を過ごしたい。

  • 著者の理想とする「老い方」と,著者が老いていく過程でどのような覚悟をしたのかが語られる。
    実践的「老いじたく」を語るものではなく,老いに関するエッセイ。

  • よりよく老いるには?

    →覚悟をし、志を持ち続ける
    覚悟とは、決意の凝縮
    人生の質を高め、時間を大切にする

  • 男性の老い について書かれている。著者が男性だから当たり前だけど、やっぱり老後の過ごし方って男女で差がある気がするので、参考具合は低かった。「何をしてもいい自由、何もしない自由」を選ぶことができるのが自分次第、だから「何をしてもいい自由」を選ぼうじゃないか、というくだりが非常に印象深かった。

  •  只今、だんなさんへ貸し出し中(笑)2011/11/3

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著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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