シンプル族の反乱

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584131817

作品紹介・あらすじ

自動車販売は減っているが自転車は人気だ。百貨店は苦しんでいるがユニクロは絶好調だ。エコ志向、ナチュラル志向、レトロ志向、和風好き、コミュニティ志向、先進国より世界遺産、農業回帰…新しい価値観が台頭してきたのだ。シンプル族が日本を変える。

感想・レビュー・書評

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  • 新しい価値観を持った 「シンプル族」 という消費者の実態を研究し、一冊の本にまとめたことは素晴らしいと思う。マーケティングの観点でも社会論・文化論の観点でも学ぶことの多い書である。

    その一方で、インタビューの対象が女性9人に対して男性2人と偏りが見られたり、一定数いるはずの 『 モノに執着する若者(オタク族) 』 に一切言及していなかったりと、検証過程に疑問が残るのも確かである。

    全体的には面白く読めたが、以下の部分が引っかかり、評価は低いものになっている。(P26)

    【 余談だが、先日NHKのドキュメンタリー番組で「オレオレ詐欺」をしている若者を取材するというものがあった。それを見ると、彼らは詐欺で稼いだ金でキャバクラで豪遊し、「 金持ちになって、いい女と、うまいもん食って、でかい家に住んで、でかいクルマに乗りたいね 」 と言っていた。これを見て私は、こういう価値観の若者ばかりなら日本企業も安泰なのになと思った。もちろん詐欺をするのがよいというのではなく、金持ちになって、いい女と、うまいもん食って、でかい家に住んで、でかいクルマに乗りたいという欲望をもっと多くの若者が持てば消費が伸びることは間違いない。そうすれば企業は成長するだろう。しかし逆にいえば、今や、オレオレ詐欺をするような若者でなければ、こういう欲望を持たない時代になったのだとも言える。 】

    著者が伝えたいことはわかるが、コツコツ貯金してきた高齢者の大切な金を騙し取っても良心が痛まないような 「犯罪者」 を引き合いに出すのは間違っている。著者はこのドキュメンタリー番組を観ながら被害者の気持ちは考えなかったのだろうか。著者がマーケティング・アナリストという職業柄、このような犯罪までも日常的に思考の “ヒント” にしているのだとしたら、おぞましいとしか言いようがない。このような話をどうしても伝えたかったのなら、「 物欲でギラギラしている21歳のA君 」 などの設定で書けばいいではないか。「 今や、オレオレ詐欺をするような若者でなければ、こういう欲望を持たない時代になった 」 などという極論も開いた口がふさがらない。あまりに浅はかな見解である。

  • 4年前の2009年7月に出版された本です。

    シンプル族の嗜好が、ほぼ自分と一致していてとても
    興味深かった。

    自分と同じような人々の意見や好きなもの、生き方が数多く紹介されていて、参考になった。

    ボボス、カリチュラル・クリエイティブスなどの生き様も共感出来ます。

    この本にはないですが、お酒を飲まないとか、本を買わずに図書館で借りる、などの傾向も強いと思います。

  • 要するに多様性が認められる時代になったからだと思う。
    80年代から90年代初めは、皆が欲する物を手に入れることがステイタスだとされ、金持ちも貧乏も皆一斉に同じ物を求めた。
    統一性こそに価値を付与し、社会にマイノリティを排除する機能が働いていたのだ。
    もはや既に「空気を読む」というのは時代遅れであり、今は敢えて「読まない」生き方を賞賛する流れがある。
    時代は変わるのである。

  • 2009年発行、11年前の内容でシンプル族が台頭してきた時期だろうが、今はそのシンプル 族が定着、王道になっている感じがする。それは自分もシンプル 族に近いから余計そう感じるのかもしれない。
    コロナ禍で過剰、余分な物事が削ぎ落とされ、よりシンプル になっていく気がする。しかし余分、過剰、無駄な事から生まれるものもあると思うので、全ての物事がシンプル になってしまうのも怖い気がする。効率を優先するあまり、ギスギスしてくる事もよくあるので。
    何事もバランスが重要。

  • エムアウト 推奨

    シンプル族の反乱
    著:三浦 展


    最近、10代後半〜30代前半の女性50名程にグループインタビューをする機会があり、大学生、OL、キャリアママまで様々なタイプの女性の、リアルな日常の一片をうかがい知ることができました。  

    そこで驚いたのは、オシャレや遊びに夢中であろうとイメージしていた現役女子大生から、学校の帰りにショッピングに行ったり、飲みに行ったりするのはせいぜい月に1、2回ぐらい、といった消費に対して“冷めた”声が多く聞かれたことです。
    もちろん同世代の中には、流行のファッションアイテムに、お小遣いや収入の多くをつぎ込み、ブランドものをオークションで売買するような消費にとても積極的なタイプも一定割合(全体の1〜2割程度)いました。

    しかし前者のような“消費しない若年層“の存在感が増しているな、という肌感覚を持ったのです。                                                                                          
    そんな折、手にしたのがこの本です。
    これまで郊外家族の生態や「下流社会」の現状を鋭くとらえてきたマーケッター三浦展氏が、消費一方の暮らしに背を向ける人々を”シンプル族”と名付け、彼らの生き方や嗜好を分析、これからの新しい商品作りやサービスのあり方を示唆しています。

    “シンプル族”にあてはまるのは、主に1970年代前半に生まれた団塊ジュニア以下の世代。そして次のような生活への考え方、志向性を持つ人々としています。


    <シンプル族の生活原理>

    1.モノをあまり消費しない、ためない
     借りたもの、もらったもので済ませることも多い。不要なものを買ったり、捨てたりすることに罪悪感がある。

    2.手仕事を重んじる
     既製品を買うだけより、自分で手を加えたい、改造したい、自分が関与したいと思う。
    3.基本的な生活を愛する
     暮らしの基本である衣食住をおろそかにしない。大事に物の手入れをする。


    <シンプル族の志向性>

    1.エコ志向・・・・・・・・・・・エコロジー、環境を重視し、かつエコノミー(経済性)も重視。

    2.ナチュラル志向・・・・・・・・自然や自然素材の物が好き。世界遺産に感動する。

    3.レトロ志向・和志向・・・・・古いもの(古着、中古家具、古民家、下町・古い町など)、特に和風の物が好き。

    4.オムニボア(雑食)志向・・・文化的な雑食志向。様々な国や地域の文化を楽しむ。

    5.ソーシャル・キャピタル(社会関係資)志向・・・いろいろな人と出会い、知人、友人を増やし、話し、楽しみ、知識を増やすのが好き。


    あなたの周囲にもこんな人がいませんか?あるいはあなた自身に心当たりはありませんか?

    自動車産業が不振に喘ぐ一方で、自転車が販売台数を伸ばしている。百貨店が軒並み業績を落としているのを横目に、ユニクロや無印良品が大盛況。こういった現象も、シンプル族の台頭が大きく影響していると筆者は指摘しています。


    高度成長期に生まれ育つ中で、今まで手にできなかったモノを一つ一つ所有し、また新しいモデルに買い替えることで生活水準の上昇を実感できた1960年代生まれ以前の世代と、子どもの頃からモノで溢れた環境で育ち、その結果、大量生産されるモノに憧れを持たない1970年代生まれ以降の世代とでは、モノの消費や所有に対する価値観が大きく異なるのは当然のことともいえます。  
                                           このような価値観の潮流を捉えたモノづくりやサービスを提供できなければ、今後企業として生き残ることは難しいでしょう。


    これから本格的に日本の消費の中心を担う世代の、主流となりつつある価値観を掴むには有益な一冊です。是非ご一読ください。

  • 共感できる生活スタイルが多かった。
    しかし、本書に出てくるようなひとはまだまだまれで、
    むしろ生活スタイルを複雑に考えている人のようなきがする。
    シンプル族というよりは、骨董族、自然族というべきでは。

    ・アメリカへのあこがれをなくした若者が求めるのは、ヨーロッパ的な伝統だったり、アジア的なバイタリティだったり、日本の文化だったりする。
    ・日本文化は元来自然と融合するものだからロハス的な思想はますます若者に受け入れられやすい
    ・ボボスは単なる消費者ではなく、美術展を企画するキュレーターのように、モノを選んで適切に並べてストーリーを生み出す、キュレーターのような存在
    ・好きな雑誌は自然生活
    ・ユニクロは無印良品に耐久性やカラフルさを加えている思い得なくない。ユニクロ=無印良品プラスかもしれない。

  • "従来になかった価値観を持った人たちが「シンプル族」と銘々している。普段あまりテレビを見ないので、大量消費のプロパガンダに影響を受けない。そして、必要なものだけを購入する。手仕事を大事にする。手作りのものに興味を持ち、自らも作ったりもする。衣食住にこだわる。
    こんな人たちが世にたくさん出てきたという。価値観としては深く理解できる。環境や循環型社会に強い関心もあり、こういうシンプル族が増えてもよいことだと思う。
    しかし、経済の成長を内需拡大に求め、政治的にも様々な諸施策が実施されている中、シンプル族には効果がないこととなる。日本の経済成長をどうやって実現していくかを考えるきっかけになった本といえる。"

  • 図書館で目についたので読んでみた。自分に当てはまることもたくさんあり、興味深かった。

  • 2009年刊行。若い世代(特に女性)に多く、モノを余り買わない、テレビを見ない、ネットで商品情報を入手し、慎重に吟味、比較衡量し、十分に納得した上でないとなかなか買わないような特質を持つ消費者をシンプル族と名づけ、その特徴を検討するもの。製造・販売業とは無縁なので、新消費傾向は個人的には興味はないし、単にあらゆる行動の付帯費用を正しく考慮するようになっただけのような気もする。また、マーケティングアナリスト(リサーチャー)のカテゴリー化は、確かに世相の一面を切り取っているが、単純化しすぎていて??の観あり。

  • もう大量消費の時代は終わった。如何に稼いで消費するかより、自分や家族との時間にお金を使う時代に変わっていくと思う。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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