逃げる中高年、欲望のない若者たち

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著者 : 村上龍
  • ベストセラーズ (2010年11月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584132791

逃げる中高年、欲望のない若者たちの感想・レビュー・書評

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  • 激しく同意!息子(17歳)にも読ませよう!

  • 村上龍『逃げる中高年、欲望のない若者たち』を読む。
    「メンズジョーカー」に連載した
    「すべての男は消耗品である。」シリーズ最新刊。
    タイトルが挑発的でいいなと思ったら、
    腰巻にも「村上龍の挑発エッセイ!」とあった。
    「普天間を巡る思考放棄」「善戦すれば負けてもいいのか」など
    現代社会の問題から目をそむけず自分の思考と言葉で立ち向かう
    村上に何度も共感を覚えた。

    若者たちに甘い言葉もかけぬ代わりに、
    「夢を持て」などと無責任に励ます大人たちにも容赦ない。
    当の大人たちこそ自分の夢を持たず、
    沈没しかけた日本の現実から
    自分たちだけはまんまと逃げ切ろうとしているではないか。
    感情におぼれず現実を直視した言葉づかいに過不足はなく、
    さすがプロの作家である。
    さて、自分は逃げていないか、
    村上の言葉に思わず僕は胸に手を当てた。

    ひとつだけ気になったのは、出版元の価格設定。
    内容量に比べるとさすがに1,300円は高いなと思った。
    短めのエッセイ17篇が載っているだけなのだ。
    一本ずつの中身がよかっただけに、
    ややデザイン先行気味の本作りには疑問を持った。
    文庫になってから読めばよかったかという気もするが、
    旬のテーマを扱っているだけにどうせ読むならいま、
    とも思い直す。

    「ニューヨークタイムズ」に寄稿した巻末エッセイ
    「21世紀のビートルズ」は読み応えがあった。
    09年の総選挙後の日本について村上の洞察が書かれている。
    同紙編集者は村上龍が相手でも加筆・修正を何度も要求する。
    その粘り強さは日本の新聞ではほとんどないと村上は言う。
    日米メディアの底力の差をそんなところにも僕は感じた。

    (文中敬称略)

  • 23歳は若くないという発言がこの本の中では印象に残った。村上龍は23歳の時に「限りなく透明に近いブルー」を書いて、芥川賞をもらっている。しかし、今の大半の若者はなんの職業訓練もなしに、大学で時間を浪費して、就職する段階になって大慌てだ。高校の普通科はなんの職業教育もせず、いたずらに学生を大学に送り込む。送り込まれた大学は、質の担保もせずに学生を社会に放り出す。大学を出ればよい企業に就職できて一生安泰という神話はすでに崩壊しているのに・・・
      大学で時間を無駄にしているくらいなら、早く目標を見つけて大人になるべきだ。幼くみえることと若さは違うことだ。
      完全に思考が停止している国。そして、欲望も目標ない。やはり草食系ではなく「死人」という方が正しいのだ。

  • 物怖じしない語り口が新鮮で後腐れがない。

  • 村上龍は嘘をつかない。
    きれいごとをいわない。
    人に期待をしない。
    人を高くも見ない。低くも見ない。
    そもそもあまり評価をしない。

    ただ現実を見て、それにまとわりつくバイアスを全部捨てて、事実だけを提示して見せてくる。
    そんな切れ味鋭い村上龍のエッセイは、衰えるところを知らない。

    「欲望が衰退していることは、事実であり、悪いことだったり、嘆かわしいことではない。ただ、事実なのである。」
    今の若者はけしからんという言葉は、村上龍にとっては無縁な言葉だ。ただ彼が思うのは一つだけ。
    「つまらなそうに、辛そうに、生きているなということ」だけ。
    彼にとっての欲望とは、人生を楽しむための原動力である。
    例えば、遠足の前日にワクワクして眠れないように。輸入盤の貴重なレコードを探してあちこち練り歩くように。
    そんな「楽しい」を放棄し、ひたすら「快適」だけを探しているように見えるのだ。

    だからそもそも、彼のエッセイに文句を言うのは間違っている。それは事実であり、皆が見たくないものをスッと見据えている人間の言葉だ。
    誰もが真っ暗な日本経済や家庭環境や人間関係にうんざりしている今、少しでも暖かい物語を求めている。
    だが、それは真実ではない。
    常に生きることは困難なことである。そして、その戦いは、「逃避」ではなく「事実を受け止める」ことから始まる。
    生きていこうじゃないか。死ぬことだけは否定されるべきだ。この辛い人生を、生きていこう。そして、死なずに生き残ろう。生きているだけで、評価されるような時代が、戦後以来、遂にまたやって来たのである。

  • 決して人におもねることなく、忌憚なく自分の意見を言える人は凄いなぁとただただ感心してしまった。これは自分に自信があるからか?良く分からないけど。

    エッセイなのですらすらと読めますが、本の開き方が洋書と一緒なので吃驚。しかも中身は横書きで二度吃驚。

  •  近日中に、イギリスの主要経済メディアの取材を受ける予定がある。きっとまた、「経済でも対中国など外交でも、日本は息も絶え絶えに見えるがだいじょうぶなのか」と聞かれるだろう。即座に「だいじょうぶだ、心配には及ばない」と答えるつもりだが、根拠を示すのに苦労するかも知れない。「武士道精神でがんばる」とか精神論を説くわけにはいかない。そんなつもりはないし、そんなことをしたら海外メディアからは笑われてしまう。具体的な展望を示さなければならないが、現状ではきわめてむずかしい。 
    「日本は、是帯としてはひっとしたらゆっくりと衰退していくかも知れないが、優れた個人が多数現れているので、文化や科学技術やスポーツなど具体的なぶんやでめざましい成果を上げるだろう。現にあなたの国でも、覇権をアメリカに譲り、政治経済の疲弊が頂点に達したころ、ビートルズが出現したではないか」
     そんなことを言うつもりだ。

  • 現実を隠すためのどうでもよいような抽象的な表現。太平洋戦争では戦争で敗れての撤退を大本営は「転進」と呼んだ。

    草食系、勝ち組など


    政治家の仕事は外交と資源の再分配。


    お前はこれからどうやって生きていくんだ?

    好奇心とエネルギーを持つ。

    経済的余裕が精神的余裕を生む。

    しょうがないからそろそろやるか

    最大限の力を発揮できれば達成できるポイントに目標は設定する

    曖昧な表現を辞める

    自らの欲望を肯定し、それが現実になることでワクワクする。遠足の前夜のような興奮が失われている。そのためにも欲望を持つべきだが、駅前で拡声器を使って不特定多数の人に、私は皆さんを幸せにします。などと票欲しさに大声で叫ぶという行為に個人としての欲望を感じることはできない。

  • サイゼリアああああ。本心から絶賛してるうう。普段どんだけなイタリヤン食ってんだ?・・・という具合に多分に自己愛認知バイアスに塗れているのが愛すべき特徴なのだな。SMしかりサルサしかりサッカーしかり。中田のサッカーはすべて肯定、という具合にサイゼリアのパスタ(生ハムはいいけど、これはさすがに・・)でさえも高級な味として喧伝してしまう脆さと可愛さが、しかし魅力的ともいえる。同じように若い世代に対して同じように社会や政治経済を語っているとすれば少々問題はあるようにも見えるが、なに、この先生はそこまで影響力あるカリスマではない。なりきれない原因は、この自己愛によるバイアスが露見してしまうわかりやすい胡散臭さにあるわけなので、バランス取れた構造だ。そこまで自己相対化して狙っているとすればやはりすごい。先生ならそれもやりかねないところが、また面白いところだ。

  • 音楽について
    "国民的な悲しみが消えたときにメロディも消えたのだ。イタリアのカンツォーネも、フランスのシャンソンも、ポルトガルのファドも、アルゼンチンやドイツのタンゴも、ブラジルのボサノバも、懐かしのメロディと化した。メロディが消滅した後に、ビートと言葉だけの音楽が生まれるのは当然のことだった。"
    聞く音楽がなくてクラシックばかり聞いていた龍さんが出会ったのが、キューバ音楽だったそうな。
    へー!!

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逃げる中高年、欲望のない若者たちの作品紹介

自らの欲望と向き合うことから逃げる若者たち。破綻から逃げ切ることだけを考える中高年。目標を追いかける者がいなくなったこの国に不安と閉塞感が蔓延する…。村上龍が発信する希望へのサバイバル・メッセージ。

逃げる中高年、欲望のない若者たちの文庫

逃げる中高年、欲望のない若者たちのKindle版

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