猫町 萩原朔太郎+心象(いめーぢ)写真 (image travel series 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584189665

作品紹介・あらすじ

これは人間の住む世界でなくて、猫ばかり住んでいる町ではないのか。日本文学史上最高の名作ファンタジーが心象写真付きで蘇る。

感想・レビュー・書評

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  • 心象(いめーぢ)写真と名のつくとおり、写真がとても印象的でした。ともすれば、想像の世界の妨げになるかな?という思いは杞憂でした。
    方向感覚を失くし、普段歩き慣れた道で迷子のような心持ちに陥る経験、私にもあります。
    加えて音を失った、白昼夢のような空気感がとても好ましかったです。
    白状すると萩原朔太郎は嫌いで、猫よりダンゼン犬派なのですがσ(^-^;).、身近にある異界成分は大好物。大好きな作品になりました。
    以前、金井田英津子さんの版画本で読んだ時とは内容が違うような…端折られているのかな、もっと女の人の家に押しかけたりする場面があったと思うのですが…何か別の作品と混同してる?要チェックです(^^;;
    もしかして、これも朔太郎マジックかしら?
    解説はお孫さんの萩原朔美さん。

  • 荻原朔太郎の『猫町』に心象(イメージ)写真を割り当てた本作。
    谷中の路地を想像させる、少し懐かしさ漂う町中。狭い道を右へ左へ歩いていく。方向感覚なんてすっかり無くなり、まるで見知らぬ土地へやってきたような夢幻。
    知っている道に出たいのに、どこか心地良さも感じる。そう思いながらも歩を進めると、ますます幻燈のなかへ迷い込んでいく―。

    写真はひたすら猫猫猫。題名の通り猫しかいない町なのではという錯覚と、自分もまるで猫になったような感覚に陥ります。低い視点、路地の隅を分け入って歩く様、ふと振り返る仕草など、気付くと必死に猫の後ろ姿を追いかけている自分がいました。
    もともと夕暮れ時か夜のイメージを持っていましたが、この作品に出てくるような明るい時間もまた白昼夢を見ているようで物語の印象を壊しません。

  • 萩原朔太郎の散文詩的短編小説「猫町」に、
    猫を中心とするイメージ写真を絡めたフォトブック。
    特定の、一つの「町」ではなく、
    全国各地で撮影された写真素材を組み合わせることで、
    現実の写しでありながら、
    どこにもない非現実の空間を表現している。
    ……猫は夢幻への案内者だが、責任感なぞは持ち合わせないので、
    ついて来た人間をプイと置き去りにして、
    姿を消してしまうのだ。

  • 猫かわいいです。
    猫町の雰囲気にぴったりのちょっと気味の悪い感じの写真も素敵。

  • 懐かしの猫町。約10年ぶり、偶然の再会で手に取りました。

    イメージ写真、私はある方が好きです。

    目に見えるものと、自己が認識するものの違い。

    少しの気味悪さと、浮遊感。

  • 2011/11

  • 期待、そして猫は現れる。

  • 萩原朔太郎の作品『猫町』に、写真が挿入されることで視覚的な鮮明さが付加されたアレンジ作品。底本の『猫町』を読んだことがなかったのですが、普通に小説を読むのとはまた別の読み応えがありました。

    見知った町であっても、違う角度や違う道から入り込むと、初めて訪れた場所のように見えてしまう。上下反転、左右反転、天地反転の錯覚は、まるで猫のしなやかな動きに翻弄されているかのよう。

    作品そのものは非常に短く、一時間あれば読めてしまいます。が、写真を眺めていると時間がすぅっと過ぎてしまう。不思議な本に仕上がっています。

  • 猫写真に癒される。

  • 2010年6月1日

    撮影/寺澤太郎、秋馬ユタカ
    撮影・編集協力/進藤和子
    写真提供/大澤わこ、交通博物館
    構成・デザイン/山川一作

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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