2巻にはなかったこれまでのあらましがあったり、《力》を与えられた者たちや『剣風帖』ゲストキャラ、回想など、これまでのおさらいができる。しかし描写がないので、犬神が見護っている印象はないのだが…。
今までは外法で《力》を与えるだけだった那智姉弟の目的が垣間見え、仲が良い風祭兄弟が衝突するなどの進展もあり、節目の巻といえる。
第八話のバイク集団との一件で神楽から「なぜすぐ暴力に訴えるのか」と龍紀が非難されるが、今まで龍紀をバシバシ叩いてきた奴がそれを言うか?
龍紀の短気でキレやすく喧嘩っ早い欠点が存分に発揮されていて読むのがつらかったが、これまでの出来事を振り返って自分自身と向き合い、《強さ》について見つめ直すことができていたのでまだ良かった。
3巻目にして「風祭兄弟が武道をやっている」ことについて、ようやく明確に触れてきた。身のこなしの軽さや龍紀の喧嘩の強さ、妙な力を持つ生徒や化け物と渡り合えるという描写はあっても《なぜ》が描かれてこなかったので、はっきり言って遅すぎるし、情報としてはそれでも足りないくらい。
龍紀の所作から見抜いた紫暮はさすが。
やっぱり風祭兄弟と神楽の交流はもう少し描いてあったほうが、2人が神楽を大切に思ったり、龍弥が神楽に想いを寄せたりに説得力が出たと思う。
そもそも神楽にヒロインとしての魅力を感じない。特に「龍紀と龍弥で態度が違う」のが引っかかる。それを龍弥が「龍紀は呼び捨てなのに自分はクン付けでよそよそしく感じる。(神楽は仲が良い子は呼び捨てにしているので)羨ましい」と思ったりとかあれば良かったのだけど。
イラストは夏服なのに、文字では「学ラン」「セーラー服、スカーフ」で衣装がズレているのが気になる。ただでさえ誤字脱字が多いのに。