- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784585200185
作品紹介・あらすじ
企画、デザイン、ツール、法律上の問題など、アーカイブ構築の際にだれもが直面する問題を整理し、それらをクリアするための実践例を紹介。理論編である『デジタル文化資源の活用』をふまえ、デジタルアーカイブをつくり、有効に運用するための具体的な方法と課題を紹介する「実践編」。
感想・レビュー・書評
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事例あり理論あり、アーカイブについて多方面からかかれた本です。読み通さなくても必要な箇所だけ読めば、初心者でも読みやすいと思います。
個人的にはARC(立命館大学 アート・リサーチセンター)の事例が大変興味深かったです。アーカイブを作成する際に、通常通り行う(目録作成→デジタル化するものを選定→外注にてデジタル化→画像等の確認・再撮影・・)のではなく、とにかく悉皆で若手研究者がデジタル化→必要ならそれから目録作成、とすることで手間というコストが減らせるだけでなく、研究者が資料にふれる機会も提供するということです。とにかくデジタル化してしまえば簡単に目録となるという考え方はだいぶ印象的でした。
そのほか、海外での電子化プロジェクトの紹介等も、概観するのに役立ちました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784585200185 -
<目次>
知的循環社会を支えるアーカイブへ
第一部 座談会
知識のアーカイブ
第二部 アーカイブの意義と愉しみ方
アーカイブズとは何か―その意義と現状
本の蒐集
マンガ・アニメ・ゲームのアーカイブ
《ノンフィルム》―もうひとつの映画のアーカイブ
音のアーカイブ
ソーシャルメディアとアーカイブ
第三部 アーカイブをデジタルで活用する
アーカイブズからデジタル・アーカイブへ―「デジタルアーカイブ」とアーカイブズの邂逅
文化資源のデジタル活用環境を構築する―京都府の新資料私論
●デジタルアーカイブの構築
デジタルアーカイブのデザインと企画―“私事”から始めるデジタルアーカイブづくりのすすめ
デジタルアーカイブへの第一歩―Flickrによる簡易にして充分なアーカイブ構築の勧め
●デジタル技術と教育
大学での教育にデジタルアーカイブを活用する―ARCモデルの紹介
彫刻文化財における3Dデータの活用―「アナログ」と「デジタル」の調和
●法律と権利
「記録」と「記憶」と「約束ごと」―デジタル映像アーカイブをめぐる規範と権利
アーカイブづくりに関わる法律や契約について
●実践事例
『渋沢栄一伝記資料』デジタル化―参照する資料集から、情報連結のプラットフォームへ
企業におけるデジタルアーカイブ化
町民が作る図書館
東日本大震災を忘れないために
阪神・淡路大震災の記録を伝える
●海外事例
諸外国の「デジタルアーカイブ」実践例
参考文献
執筆者紹介
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アーカイブを作ること自体は、当然ながらアーカイブの目的ではない。
様々な個人・社会レベルの知的活動の成果が整理・蓄積され、それらの活動をさらに発展させるための知識基盤として役立てることがアーカイブの目的であろう。
アーカイブの構築が自己目的化しないためには、「何のための」「誰のための」アーカイブであるかをはっきりさせておく必要がある。
(まえがきより)
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デジタルアーカイブの構想・デザイン・事例について色々な切り口で説明。テクノロジー色は薄いが、企画構想・デザイン・事例は詳しめ。
第1部、第2部は多くの失敗例を念頭においたアーカイブ一般の有り様についての座談会や論説。
第3部にはデジタルデータ化してアーカイブする技法や法律的な観点で留意すべき点の記事がある。
巻末付近では米・EU・仏・独・中・韓各2件、英3件の事例を各10行程度で紹介。