ケンブリッジ大学図書館と近代日本研究の歩み: 国学から日本学へ

著者 :
  • 勉誠社(勉誠出版)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585200581

作品紹介・あらすじ

ケンブリッジ大学図書館が所蔵する膨大な日本語コレクション。
英国三大日本学者・サトウ、アストン、チェンバレンをはじめとする明治時代の外国人たちが持ち帰った数々の貴重書には、平田篤胤や本居宣長らの国学から始まる日本研究の歩みが残されている。
柳田国男も無視できなかった同時代の西洋人たちによる学問発展の過程を辿る。

感想・レビュー・書評

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  • 海外における日本学の発展と、日本の国学または日本学に与えた影響についてケンブリッジ大学図書館の蔵書となっている古典籍を中心に述べた本。
    ドイツのシーボルトは書籍を博物学的に収集していたという視点や、日本語や表現を深く学び、古典籍を批判的に読みこなすアーネスト・サトウ、チェンバレン、アストンという英国の3人の日本学者や日本の文献の収集についてのそれぞれの特徴は興味深かった。
    特にサトウの旧蔵書は元々複本が多いということに興味をひかれた。積極的に集めた可能性も指摘されている。
    また、国学や神道を平田篤胤の系統の国学者に学んでいたことや、書道や短歌も習っていたというのも驚いた。

  • ケンブリッジ大学図書館に所蔵されている日本語コレクションから、その持ち主だったアーネスト・サトウ、ウィリアム・ジョージ・アストン等の研究者の日本研究の在り方を探る。
    シーボルトらドイツ派に続く英国派の日本研究では、日本語を学び、文献を直接読解する能力を備えていた点が特徴。一方シーボルトの場合は博物学的関心で、本としては読めなかったと思われる。
    コレクションのラインナップ、書き込み等から、平田篤胤や本居宣長に連なる国学者に強い影響を受けていたこと、また神道に関心を持っていたこと等が読み取れる。国学→日本学→日本研究という系譜。

  • 東2法経図・開架 210A/Ko97k//K

  • ケンブリッジ大学にアストン・サトウ・シーボルト・コレクションという日本研究にとって欠かせない貴重資料を有している点について、勤務経験やその期間に見聞きしたことをおりまぜ海外の近代日本研究をまとめた本。

  • 【書誌情報】
     ケンブリッジ大学図書館が所蔵する膨大な日本語コレクション。
     英国三大日本学者・サトウ、アストン、チェンバレンをはじめとする明治時代の外国人たちが持ち帰った数々の貴重書には、平田篤胤や本居宣長らの国学から始まる日本研究の歩みが残されている。
     柳田国男も無視できなかった同時代の西洋人たちによる学問発展の過程を辿る。

    ISBN:978-4-585-20058-1
    Cコード:C1000
    刊行年月:2017年8月
    判型・製本:四六判・上製 336 頁
    キーワード:出版, 思想, 文化史, 日本史, 近現代

    http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=2&products_id=100778


    【目次】
    序章 柳田国男と海外の日本語コレクション
    贈呈された『石神問答』
    海外の日本語コレクション

    第一章 日本研究の歴史
    日本研究とは?
    国学→日本学→日本研究
    日本語と国学
    シーボルト
    初期ドイツ派と英国派
    英国派は日本語を習得
    ケンブリッジ大学図書館

    第二章 ハインリッヒ・シーボルト・コレクション
    ハインリッヒ・シーボルトと日本研究
    アストン・サトウ・シーボルト・コレクション
    旧蔵者別の内訳と蔵書印
    シーボルト・コレクションの分類

    第三章 なぜ複本が多いのか
    アストン・サトウ・シーボルト・コレクションには複本が多い
    神道・国学関係の複本
    複本が多い理由
    チェンバレンにも送付
    神道・国学研究
    書籍による協力・書籍の移動
    サトウの収集
    サトウの蔵書の行方

    第四章 サトウの神道・国学研究
    神道・国学関係
    気吹舎と宮本小一
    林甕臣
    和田重雄
    白石真道
    鈴木真年と堀秀成

    第五章 サトウの方法
    蔵書の書込と『読史余論』
    『入学問答』
    『古道大意』、『玉襷』、『末賀能比連』

    第六章 サトウの「日本文学史」
    『アメリカ百科事典』と『群書一覧』
    サトウの論文に掲載された和書
    部門の構成から見たサトウの論文

    第七章 アストンの日本研究
    文法研究
    「秀吉の朝鮮侵略」
    日本研究と種本
    「日本上古史」
    『日本紀』の英訳
    『書紀集解』と『日本紀』刊行後の展開

    第八章 アストンの『日本文学史』
    エドマンド・ゴッスの依頼
    アストンの『日本文学史』の序文と参考文献
    三上参次、高津鍬三郎共著『日本文学史』
    文学史における国学の影響
    アストンのこだわりとキリスト教

    第九章 アストンの『神道』
    アストンの神道研究と日本人の信仰と慣習
    サヘノカミ、『扶桑略記』、『古史伝』
    生殖器崇拝
    人類学者の著作と神話についてのアストンの意見
    新しい世代の日本人研究者と英国三大日本学者

    終章 チェンバレン、琉球、『群書類従』、新国学 
    チェンバレンの業績を回顧する村岡典嗣
    チェンバレンの琉球研究
    チェンバレンの蔵書、塙忠韶、『群書類従』
    新国学
    「国学→日本学→日本研究」という発展の流れと英国三大日本学者

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著者プロフィール

1948年愛知県生まれ。成城大学文芸学部卒業。慶應大学大学院修士課程(日本史)修了。ロンドン大学UCLでPG Dip(図書館・情報学)を取得。国会図書館勤務などを経て、1985年から2015年までケンブリッジ大学図書館日本部長。
主な編著書に、『日本の刺青と英国王室―明治期から第一次世界大戦まで』(藤原書店、2010年)、『ロンドン日本人村を作った男―謎の興行師タナカー・ブヒクロサン1839-94』(藤原書店、2015年)、『ケンブリッジ大学図書館所蔵アーネスト・サトウ関連蔵書目錄』(ゆまに書房、2016年)、『ケンブリッジ大学図書館と近代日本研究の歩み』(勉誠出版、2017年、第20回図書館サポートフォーラム賞受賞)、『戦争と図書館─英国近代日本語コレクションの歴史』(勉誠出版、2018年)などがある。

「2020年 『アーネスト・サトウと蔵書の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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