中華幻想―唐物と外交の室町時代史

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著者 : 橋本雄
  • 勉誠出版 (2011年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784585220138

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中華幻想―唐物と外交の室町時代史の感想・レビュー・書評

  • 室町時代の外交儀礼や対外観、唐物文化に関する論稿をまとめた論文集。本書の中核的テーマは、≪中華幻想≫と著者が名づける、対外観と自意識の総合、つまりは室町・戦国期日本の国際意識(コスモロジー)の解明であるとされる。本書に収録されている論文は、半ば一般向け、半ば研究者向けに書かれたものばかりであり、一般的な研究論文よりは、問題意識が明確で、読みやすいものとなっている。
    本書では、従来の通説にとらわれず、等身大の室町時代の≪中華幻想≫を明らかにしようとしている。例えば、足利義満による明朝からの冊封について、義満の受封儀礼が尊大かつ高慢であったこと、また受封儀礼自体は閉鎖的・限定的な空間・人選のなかで執行されていたことを史料に基づき明らかにし、これまで言われてきた天皇制の超克や国内向けの権威確立という説を否定している。
    「朝鮮国王使と室町幕府」という論稿の中で、朝鮮蔑視観について、歴史の可塑性、歴史における人間の主体性を信じる立場からは、そのような「鋳型」を的確に炙り出し、相対化していくことこそが求められるのであり、そういうものが未来に資する歴史学ではないか、という指摘がされていたが、歴史を研究する上でまさに至言であると感じた。また、同論稿の注で、当時の朝鮮からの通信使が「屈辱的な外交儀礼に甘んじていた」という著者の指摘に対し韓国側研究者が食ってかかってきたことについて、史料に基づいて事実は事実であると指摘し、「外交儀礼という政治的な場面において、受け容れ国側が上位に立つように演出することは、何時・何処の国でも行っているありきたりの事柄」であると言及したうえで、「現代の我々にとっては、そうした各国の自国中心主義を相対化して見ることこそ肝要であろう」と指摘していることも、歴史家としてあるべき態度だと感じた。
    あと、個人的には、「永楽銭の史実と伝説」という論稿が興味深かった。

  •  「中国化する日本」の派生で。appropriation<我がものとしての利用>というキーワードがあるらしい。認知科学の領域なんじゃないかと思ったが、他者と自己(この場合は二国間関係)を単純に”相対化”するというのは、もう若手人文系の先生方は飛び越えていて、それをappropriationとしてとらえることが重要なようだ。
     これは面白い。そして理論が明示されているので、現代への応用の意味からも非常に有益な歴史書だと思う。
     ・・・読了。中国化する日本では、西洋ではなくて中国を「近代化(といっても10世紀ころの話だから「近世early modern」だけど)」の指標と見なす歴史観が提示されていたけれども、その意味で「中華幻想」は日本中世における近代化の試みを扱っている本と位置づけられるか。ただ、「現実に存在する中国」になりたいのではなくて、「理念としての中華(の皇帝)」になりたい足利将軍とその挫折の歴史を語るという筆致だった。厳密に考えるとこの辺は一種のギャップのような感じがする。
     かつて日本政治思想史の講義では、日本の思想(特に国学やあ徂徠学など)を、反中国、反西洋の非体系的ムーブメントとして説明していたが、そうした日本理解からすると、「中国化する日本」も「中華幻想」も大きく外れることはない。むしろ、そのムーブメントの始点をかなり過去に遡らせたという点が面白いか。
     しかし、西洋化は中国化の亜種だと言う見方は腑に落ちる部分も大きい一方で、「亜種たらしめている独自性=民主主義や大量消費社会」の大きさを無視しすぎてないかなあという違和感も捨て去れない。やっぱり勤勉革命と産業革命の分岐divergenceについての本をちゃんと読まないと、この辺の違和感は取れないかも。

  • 室町時代の日明外交史。
    足利義満に与えられた「日本国王」の称号の、日本国内に対する意味とは?
    日本人は"中華"に対して、どのようなイメージを抱いていたか?
    中国の華夷秩序を、どのように受け入れたか?
    日明貿易を始めた室町幕府三代将軍・足利義満と、停止した四代・足利義持、再開後の八代・足利義政を中心に、日明貿易と外交儀式、そして輸入された唐物の価値や宋銭の種類など。
    正規の朝貢だけでなく、大内氏や細川氏などの大名、そして商売を担った堺・博多の商人、実務を担った僧侶などの実態を描いています。
    そして明だけでなく、朝鮮や琉球との交渉も。

    ただし、注が多過ぎ!
    ほとんどの注は参考資料の紹介ですが、中には長い文章もあるため、一々見てたら本論が判らなくなります(^O^;
    一章、あるいは一節読み終える度に、注の方を見てその部分を読み返すのがいいでしょうね。
    あと、他の研究者たちの説の批評が多く、肝心の作者の説の部分が短い!
    作者は自分の研究成果を紹介したいのか?それとも他人の説を批評したいのか?w
    挿絵が多く、儀式の配置図もあって理解し易いのはいいですけどね(^-^)
    室町四代将軍・足利義持は優れた統治者だったかもしれないけど、雄大な構想を持っていた父の三代将軍・義満に較べると、なんともまぁケツの穴が小さいことwww

    ニン、トン♪

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中華幻想―唐物と外交の室町時代史の作品紹介

室町・戦国期日本の国際意識を解明。明皇帝から「日本国王」に冊封された、歴代の室町将軍たち-彼らは素直に中国の華夷秩序を受け入れたのか。伝統的な日本の(中華意識)は本当に消え失せてしまったのか。唐物に当時の(中華)イメージを探り、外交の現場から幕府独自の対外観をあぶり出す。言説・伝説の世界を逍遙し、文化史や美術史の成果とも切り結ぶ、まったく新しい対外関係史。

中華幻想―唐物と外交の室町時代史はこんな本です

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