考える/分類する―日常生活の社会学 (りぶらりあ選書)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588022029

作品紹介・あらすじ

日常卑近な〈もの〉の目録を列挙しつつ,収集—分類—整理という人間の社会 - 心理的素描を試みる考現学的考察を通じて,現代社会と人間の恐るべき変貌を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • レシピが列挙されたり、著者が学生時代に学んだ歴史の教科書からの抜き書きが続いたり、本棚の整理法や『枕草子』からの引用が行われたり。とっ散らかっている頭の中身や生活空間をいくら分類して整理しようとしても完全に整理することはできないよね、整理し続けることが生きるということだし、ということを言いたいのかな?と思いながら読み終えました。

  • 読み始めても、一瞬、何の本かわからんくなる。
    昨日までアリストテレス読んでたからってのもあるけど、考える、分類する、って、アリストテレスやん。
    我ながらこういう読書の順番の偶然を呼ぶセンスはなかなか悪くない。冴えてる!

    で、あ、こういう本?と思ったところで、次の章へといくと、果たしてこれは何を書いてある?となる

    別に網羅的なわけでもない、徒然と。

    「誰かが私に家はどこかときいたら、私はたっぷり一ダースある答えのなかから、答えを選ぶ」
    こういうことは、みんな実はやってる。相手にあわせて、質問の意図を想像して答える。そういうのが僕は下手でよくトンチンカンになるが。
    昔、自由が丘に住んでる友達が、この質問に、嫌味になるのを避けて、「東横線沿い」と答えてた。
    家はどこか、に答えるだけで、色々な逡巡がある。

    日本に住んでる、と言って、へー!と言ってもらえるときもあれば、当たり前やろ、と怒られることもある
    それは相手との関係性次第


    机の上にあるものの分類も面白い。ずっとあるもの、数分だけあるもの、いつか使うもの、すぐ使うもの、全く使わないもの


    本の整理も面白い。松岡正剛のブックウェアなんかを思い起こしつつ。


    マレイザックの思い出、ってのや、料理カードなんか、読み通すことを期待してないのだろう、文脈から切り離された情報の宙吊り
    何かを添えれば料理になるだろうに、マグロぶつ、みたいなの


    「読むこと」って章が一番面白かったのは読書家の端くれとして仕方ない。
    マングェルの「読書の歴史」なんかとあわせよみたい。
    読む本の内容だけでなく、読む姿勢、読む行為そのものへの注目。
    トイレで読むことで、腹が軽くなることとテクストの間の深い関係なんて、内臓的なものと感覚的なものの出会いとして楽しい指摘と思ったらジョイスを引いてくる


    眼鏡に関する考察、これも面白い
    これこそアリストテレスばりに眼鏡のことを考える、分類する

    最後の「考える/分類する」も面白い。
    ここで清少納言を、分類しない、羅列し、ふたたびはじめる。として出してくるところなんかいいね。


    「結局、私は自分を整理するのだ」

    そうそう、書棚つくってるときだって、整理されるのは書棚じゃなくて自分なんだよなー

    そして、この本こそ書棚でどこに置けばいいのか、なかなか整理つかない本になってる

  • 文芸文化論[Literature and Culture]

  • レシピの章はミニマルミュージックのように、微差を増幅しながら反復されてゆく。興味深いが、読み進めるには退屈なところもある。

    清少納言の『枕草子』への言及が何箇所かある。列挙趣味に通じるところがあるのだろう。

  • 分類好きな人が「枕草子」を愛読するのはわかる気がする。仏語訳があるんだねーそっちは良いけど、視力いい奴が眼鏡を語るな、人の苦労も知らんと〜‼︎
    愛書家の書斎の片付けは不毛過ぎて笑える。無理無理。

  • 日常的なものを列挙し、分類することで新たに組み立てようとする試み。
    「清少納言は分類しない。彼女は羅列し、ふたたびはじめる」と、枕草子に言及あり。

  • 復刊されていたから思わず衝動買い。

  • 考える・分類する。この二つはそう、人間がすること。
    「人間は考える葦である」パスカル
    「人間は分類する動物である」アリストテレス

  • 504夜

  • 衣食住や都市生活、流行にかかわる日常卑近な“もの”の目録を列挙しつつ、収集‐分類‐整理という人間の習性についての社会‐心理的素描を試み、現代社会の考現学的考察を通じて、コンピューター時代における人間の思考法を予見する。
    現代社会の考現学。

    [ 目次 ]
    私が求めるものについてのノート
    住むという動詞のいくつかの使い方
    仕事机の上にあるいろいろな物についてのノート
    見出された三つの部屋
    本を整理する技術と方法についての覚え書き
    斜めに見た十二章
    策略の場
    マレ=イザックの思い出
    初心者用料理カード八十一枚
    読むこと-社会‐心理的素描
    理想的な都市を想像することの困難さ
    眼鏡に関する考察
    “考える/分類する”

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    [ 参考となる書評 ]

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著者プロフィール

1936年生まれのフランスの作家(両親はポーランド系ユダヤ人で、第二次大戦中に死去)。パリ大学、チュニス大学の文学部で学んだ後、国立学術研究センターに勤務。1965年、ヌーヴォー・ロマンの手法を駆使して消費社会の空しさを暴き出した処女作『物の時代』でルノドー賞を受賞。以後、大胆な実験作を次々と発表して注目を集め、1978年には大作『人生使用法』にメディシス賞が与えられたが、1982年、46歳の若さで病没。広範な視野から現代世界を鋭く抉るその前衛的作品群は、文学の新たな可能性をひらくものと評価されている。日本文学にも関心を寄せていたことは、本書中の『枕草子』からの引用においても示されている。邦訳作品に『眠る男』(海老坂武訳、晶文社)、『物の時代』『小さなバイク』(弓削三男訳、白水社)、『人生使用法』(酒詰治男訳、水声社)などがある。

「2000年 『考える/分類する 日常生活の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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