隠れた音楽家たち: イングランドの町の音楽作り

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制作 : Ruth Finnegan  湯川 新 
  • 法政大学出版局 (2011年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588410253

隠れた音楽家たち: イングランドの町の音楽作りの感想・レビュー・書評

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  • 大著。イギリスのある都市…ロンドン郊外の比較的歴史の浅いベッドタウンのような、まさに立川とかのイメージかと感じるのだけれど、ミルトンケインズという街で音楽を営む人たちを追ったフィールドワーク。

    クラシック、ブラスバンド、教会、ジャズ、カントリー、ロック。その実践と、それが育まれる土壌…教育や、どんなところで演奏されているか、どんなひとが見にきているか、どんな風に活動が維持されているのか、を調べ上げる。徹底的に。そして、音楽とはなんぞや、というところへ。

    著者はそれを「社交的な領域」における報酬以外にも、「音楽が持つ、口には出されないが共有された思い込み」と、現代の我々の暮らしにおける「祭祀としての要素」と考え、「人々を結びつけ、アイデンティティや地位を与え」、「人の祭祀を目立たせ構成する」社会機能だが、「それ自体としてはなんら本質的な用途を持たない」もの、と表現する。ある意味で言語と類似するが、言語とは異なるものとする。言語はあくまでも認知の様式だが、音楽は精神の域を超えて、身体へも影響を及ぼすものとする。
    ・・・このあたりはちょっと本書でずっと描かれていたところから発展した話。ある種著者の問題提起。

    メインの話に戻ると、音楽は本質的に社会的な事項であり、その人間的な音楽の実践は、少数のエリートに限定されるものではなく、本書で描かれた「隠れた」音楽家たち…楽器を奏でる人だけではなく、その周縁にいる人たちも含めた人たちが、労働市場の外部における活動家として、場合によってはパートタイムで担っていることを主張する。


    長年バンドを続けてきたり、大学のときには教授主催の合唱グループに参加したこともある自分としては、万国共通のお家事情とでも言うか、「あるある!」という内容も多く、パートタイムでの音楽活動の、第三者的な目線では、面倒で、負担も多い、でも何か惹きつけるものもある、というところが遠くイギリスの街でも見られるのはすごく興味深かったし、とっつきにくい分厚さではあるけれど、最後まで面白く読めた。

    我こそは隠れた音楽家だ、という人にはぜひ時間をかけて読んでみてほしい内容ですが、6600円は高い!というのも本音かなぁ。

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隠れた音楽家たち: イングランドの町の音楽作りの作品紹介

イングランドの新興都市ミルトン・ケインズを舞台に、アマチュア音楽家による草の根の音楽活動を徹底的に調査し、彼らの創造の小道に光を当てた音楽社会学の大著。クラシックからジャズ、ロック、フォーク、カントリー・アンド・ウェスタンまで、音楽テキストや理論よりも実践を重視し、偉大な作曲家や演奏家ではなく名もなき人々を主人公に、音楽をめぐる都市生活の実相を描き出す。

隠れた音楽家たち: イングランドの町の音楽作りはこんな本です

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