言葉と爆弾 (サピエンティア)

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制作 : Hanif Kureishi  武田 将明 
  • 法政大学出版局 (2015年5月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588603396

言葉と爆弾 (サピエンティア)の感想・レビュー・書評

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  •  作者はパキスタン系の移民二世。小説にしてもエッセイにしても、とてもシンプルだが力強い言葉が積み上げられている。初めて手にした作者だが、一気に読み終えてしまった。
     
     巻末で訳者の武田将明氏も書いているが、ヨーロッパの移民たちの中で「原理主義」的な思考がなぜ力を得てしまうのか、内在的に描いて見せているところがポイントだろう。彼ら彼女らにしてみれば、「原理主義」的な志向性は、決して反動ではない。むしろ、現代の都市的な消費文化がもたらした堕落と頽廃と汚辱への当然の批判であり、それらの乗り越えなのである。こうした発想と、日本社会における極右的な傾向やヘイト・スピーチの問題を重ねてみたくなった。

     そんな中で、クレイシのメッセージは明快かつシンプルだ。人間は容易に快楽や歓楽に溺れてしまうし、欲望や欲動を抑えることができない。人間はいつも多様かつ複数的で、あるべき規範に完全に合わせていくことなど不可能だ。そんな人間の弱さと多様性を擁護することこそが、文学の仕事なのだ、と。
     武田氏によれば、クレイシの創作活動は現在停滞気味なのだそうだ。だが、個人的には、彼の周囲の著者とあわせ、もう少し読んでみたい書き手である。

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ハニフ・クレイシの作品

言葉と爆弾 (サピエンティア)の作品紹介

なぜ神と正義の名のもとに冷酷なテロや殺戮に手を染め、憎悪の連鎖へと世界を巻きこむのか。映画から小説まで幅広く活躍する作家が、パキスタン系というみずからのアイデンティティとの葛藤のなかで、移民の子供たちがイスラム原理主義に傾倒する背景を、痛ましいほどの皮膚感覚で受け止め、神学や思想の言葉ではなく、現代の郊外を生きる人間の言葉で表現する。エッセイと小説をあわせて収録。

言葉と爆弾 (サピエンティア)はこんな本です

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