くまの子ウ-フ (くまの子ウーフの童話集 1)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 1095
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591069479

感想・レビュー・書評

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  • こんな名作に何を今更である。
    そうは言っても、この季節になると読み返したくなるのだ。
    たぶんそれは、めぐり巡るスプリングエフェメラルの不思議さに、いまだに心打たれてしまうからだろう。
    ただ私は、「いい大人」なのでそれを言わないし、言えない。

    素直に疑問を口に出すウーフには、いつでも丸ごと受け入れてくれる優しいお母さんがいる。
    意地悪なツネタに「ウーフはおしっこで出来ている」とからかわれたときは、泣きながらも自分の身体で答えを出す。
    私はそれもしない。大人って、なんだろう。
    私だってかつてはウーフだった、はずだ。
    すべての子どもはみなウーフのように真っ直ぐに生きて良いはずだ。
    「ぼくには手があるから、お母さんに抱っこできる」って、喜んだり、
    チョウチョを窓で挟んで死なせてしまったと、涙を流したり、
    夏の暑い日には、「ソフトクリーム百個なめたい」なんて言ってほしい。
    どれもこれも、なんて愛おしいウーフだろう。
    読みながら、何度も何度も心の中で抱きしめてしまう。
    そしてすべての子どもがこうであったらと、願わないでいられない。
    小さな事件がいっぱいの、ウーフの日々。
    でもそこには常に、愛情にあふれた両親の存在がある。
    「みんなが一匹ぶん、しっかり働けばいいんだ」と教え諭すお父さんの、なんと頼もしいこと。
    それだからこそ、ウーフはウーフで出来ているのだね!

    とうの昔に両親を亡くした私に、ウーフのような平安はないけれど、
    平安を誰かに届けることなら少しだけ出来る気がする。
    ウーフを読むと、小さな小さな勇気の芽が生まれる。

  • おもしろかった!
    ウーフがかわいい。やさしくて、食べるのがすきで、どろんこで遊ぶのがすきで、おれそっくり。いっしょに遊びたい。目玉やきとはちみつがおいしそうだった。服もかわいい。お父さんとお母さんもやさしい。
    ツネタはいじわる。はさみでウーフの毛を切っちゃうピピは、こわい。(小3)

  • これは!

    まさにアイデンティティの目覚め!

    まど・みちおさんの大好きな詩

    『くまさん』

    を物語にしたかのような。

  • まだ途中ですが、あまりにも面白いのでたまらなくなりました。
    しょっぱなから、ウーフ(笑)って感じ。
    文章が秀逸でたまりません。
    簡単な切り口で、でも巧妙な書き方で、大人が読んでも引き込まれました。
    全体を読んでの感想も、上記と変わりませんでした。やはりウーフ(笑)って感じ。
    キツネのツネタくんの意地悪っぷりに時々くぅっとなりました。
    描写が、いい。
    ズキンズキンじゃなくて、ずくん ずくん。
    銀いろのハーモニカの音色は、りら るら すいー。
    ときめきます。

  • 小学校1年生の娘がクスクス笑って時にはツッコミを入れながら、とてもうれしそうに読んでいます。

  • 人生の複雑さがわかってくる時期に良い児童書。

  • ・ゲラの小鳥がへびにねらわれて、ウーフにやっつけてもらうところがおすすめです。だけどさいごは、ゲラのおかあさんがへびをたおすところがおもしろいです。

  • 大人になってから読んでみると、最高に良い本でした。子供の頃教科書に載ってた時は、先生が絶賛する理由がさっぱり分からなかったけど。
    我が子も気に入ったみたい。

  • 自分が子どもの頃大好きだった本。10年前、息子に読んだ時も感動したけれど、こうして、また娘にも読める時がきたのだなあ。幸せ。

    それにしても、哲学書だなー。これは、子ども達が、最初で出会う哲学書なんじゃないか?と思ってしまう。
    どのお話も、全部面白くて、すごいなーって思う。娘が、ただただ笑っているところが(子どもには、ただ面白い本なところが)また、すごいなーって思う。子どもの心には、どんな風に、この物語が届いているんだろ?

    でも、何が一番素敵かって、ウーフのお父さんの存在感かな。お父さんが、こんなに素敵に描かれている物語って、そうそうないなあと思います。

  • 気軽に読み始めたら、すごい哲学の本だった。
    「どうして?」だらけのウーフの日々。答えがあるものも、ないものも。

    「くま一ぴきはねずみ百ぴきぶんか」は奥深い。
    一人一人、適量というものがある。
    他人とくらべたって仕方ない。
    自分の適量に応じたものを食べ、自分のできることをしっかりやれば、それが世の中への還元になる。
    そういうことが、子供にもわかりやすく書かれている。

    子どもが生まれたら、適切な時期に読み聞かせたいなあ。

著者プロフィール

神沢利子 1924年、福岡に生まれる。子ども時代を北海道樺太で過ごす。文化学院文学部卒業。童話作品に『ちびっこカムのぼうけん』(理論社)『くまの子ウーフ』(ポプラ社)『銀のほのおの国』『流れのほとり』(福音館書店・日本児童文芸家協会賞)『神沢利子コレクションI~V』(あかね書房・巌谷小波文芸賞)など、絵本に『たまごのあかちゃん』『おばあさんのすぷーん』『ぽとんぽとんはなんのおと』『おっとせいおんど』『いいことってどんなこと』『えぞまつ』(以上福音館書店)など多数の作品がある。東京在住。

「2022年 『てんのくぎをうちにいった はりっこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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