幸福ロケット

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 129
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591089705

感想・レビュー・書評

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  • 素敵です!オススメです!
    古書店で105円で買ったことを土下座したくなります!

    父の転職に伴い、小石川からお花茶屋に引っ越してきた小学5年生の香な子。
    暇さえあれば本を読んでいて、
    クラスメイトのとんちんかんな行動には、心の中でシニカルなつっこみを入れ、
    5年2組の女子の中では8番目にかわいい、ダイエットすれば5番にはなれる、と
    奥ゆかしくも冷静に自己分析できちゃったりする。

    この香な子も傑作なのだけれど、
    お花茶屋お嬢様軍団(命名by香な子)No.1美少女の町野さんに熱愛される、
    香な子の隣の席の男の子、コーモリが素敵すぎて!

    ジブリの『崖の上のポニョ』の宗介が育ったらこんな感じかな、と思わせるような
    さりげないやさしさを秘めた男気に、凛々しい眉毛♪
    娘の初恋の相手がこんな男の子だったら、諸手を挙げて応援するのに!
    (もう手遅れなのがかなしい。。。)

    よそ見をして先生の注意を受けた香な子のピンチを機転とユーモアで救ったり
    往復2時間かけて小石川の塾に通う香な子の帰る時間に合わせ、
    偶然を装って乗り換え駅から合流して夜道を家まで送ったり
    「本を読むのも楽しいけど、本について山田と話すのも楽しいもんな」
    「だからおれは本を読むんだとおもう」なんて言っちゃったり
    もう、きゅんきゅんが極まって、気を失ってしまいそう。

    上司の不正に巻き込まれて転職を余儀なくされても、腐らず呪わず
    「お父さんの未来にはいつもカナがいる」と香な子をおおらかに見守る父や
    重い病気を抱えながら、入院先のベッドで
    11歳のユウキ、12歳のユウキ、と息子の未来の似顔絵を描き続けるコーモリの母を始め
    ふたりを取り巻く家族や先生も、とてもいい。

    香な子が、生まれつき持たされた三つの不幸だと思っていたうちのひとつ、
    よりによってクリスマス・イヴという、誕生日。
    11歳になるその日に、コーモリがプレゼントしてくれた言葉に
    香な子は泣いていないのに、いい大人の私がぽろぽろ泣いてしまう
    爽やかで、まっすぐで、いとおしい物語です。

    • まろんさん
      おお!紫苑さんが早速予約してくれたなんて、うれしいです(*'-')フフ♪

      もう、このコーモリくんが、小5とは思えないほどの男気と覚悟を秘め...
      おお!紫苑さんが早速予約してくれたなんて、うれしいです(*'-')フフ♪

      もう、このコーモリくんが、小5とは思えないほどの男気と覚悟を秘めているのに
      初恋に関しては、抱きしめたくなっちゃうくらい純情で♪
      香な子のシニカルなモノローグも、
      コーモリに猛烈なアプローチをする町野さんの勘違い美少女ぶりもとても楽しく、
      クスクスしているうちに感動のラストへ、という心洗われるような本なのです。
      紫苑さんも気にいってくださるとうれしいです(*'-')フフ♪
      2012/11/10
    • kuroayameさん
      私も以前この本を読んだのですが、もう心にあたたかな気持がこみ上げてきて、特に相手のことを思いやる心が本当に良かったです。
      いつも会社の生き...
      私も以前この本を読んだのですが、もう心にあたたかな気持がこみ上げてきて、特に相手のことを思いやる心が本当に良かったです。
      いつも会社の生き返りに読書タイムしているのですが、地下鉄の中で涙がこみ上げてきて、私の好きな本の一冊です♥。
      2012/11/11
    • まろんさん
      kuroayameさん☆

      わかります!出てくる人みんなが、思いやり深くて
      しかもそれをこれ見よがしに出さないところが素敵ですよね。
      ラスト...
      kuroayameさん☆

      わかります!出てくる人みんなが、思いやり深くて
      しかもそれをこれ見よがしに出さないところが素敵ですよね。
      ラストは駅でのシーンだったから、地下鉄の中で読んでいたのだったら
      今じぶんがいる風景と本の中の風景が重なって
      感動がさらに深まったでしょうね。
      それにしても、山本幸久さんって、もっと評価されていい作家さんですよね♪
      2012/11/11
  • 小学5年生の山田香な子。
    どこか大人びたものの考え方で、自分の環境や家族に対して、斜めな見方をしている主人公。
    その香な子が転校先で出会ったコーモリとの、初恋が描かれているお話。

    とにかく登場人物みんながいい人で、魅力的。
    香な子も、一見クールなものの考え方をしているが、その実態はやはり小学生の女の子。
    コーモリも、最初はやんちゃな少年という印象だったけど、話が進むにつれて、ちょっといいオトコ風な雰囲気をかもし出すところがすごくいい(笑)

    香な子のお父さんが、自分のリストラについて香な子に話すとき、すごく胸があつくなった。この瞬間、それまでの父親に対する印象が香な子の中で大きく変わったにちがいない。
    そして、こんなに大きな愛情をそそいでくれている事にも初めてきづいたのではないだろうか。

    コーモリのお母さんも鎌倉先生も町野さんも、本当にみんないい味がでてるよなぁ
    生徒の前でタバコをふかし、同じ目線で話してくれる鎌倉先生
    こんな先生いたらクビだろうけど(笑)いいなぁーなんかすごくいい
    コーモリのお母さんも、なんてチャーミングなのだろう
    本当にお友達になりたい人だ
    町野さんなんて、なんてニクい子!こんなライバルなんて、誇りに思えちゃうんじゃないだろうか


    コーモリと香な子のお別れのシーン
    子供な2人には、そういうことしかできないのだろうけど
    だからこそ、ふたりの気持ちがぎゅっと結びついたシーンだった気がする
    お互いの未来に相手がいてほしいということ
    なんて直球でまっすぐな告白であろうか!
    オトナになるまでに色々なことが待ち構えてるわけだから、未来なんてわからないけれど、この言葉を思えば、本当に何年かして二人はあえるんじゃないかって思った、いやそうであってほしい。

    基本、いつも図書館で本を借りてきて読んだものをここにあげているのですが、今回の作品は購入しようとおもいました。
    そのくらい、自分にとってすごくいい作品だった。

  • かわいいなぁ、10歳・小5の初恋物語。
    小さな恋のメロディのような微笑ましさと、ちょっと大人びた小生意気な感じがかわいい。

    大人は都合のいい時は大人扱いするくせに、都合悪くなるとすぐ子ども扱いしますからね。
    どっちの経験もあるよ、ほんと。
    意外と子供はその辺の機微を分かっていて、賢く立ち振る舞っているのですね。

    香な子とコーモリのやりとりもおかしいしかわいいし、町野さんや鎌倉先生やコーモリのお母さんもいいなぁ。

    ほろ苦いんだけどほのぼのしてて、とにかくかわいくて香な子やコーモリたちをぎゅーっと抱きしめたくなります。

  • 小学五年生。名字は単純。下の名前は変。クラスでそんなにかわいいほうじゃない女の子の話。

    塾からの帰りに偶然会ったクラスメイトの男子は面白いやつで、病気のお母さんを助けるいいやつ。
    同じクラスの美少女も彼が好き。
    大企業を辞め、お母さんの実家で働くお父さん。ハードボルドな女教師。

    11歳の世界で、思い通りにできることなんて数少ない。

    小学校でも中学でも、転校のときに告白してるやついたなあとしみじみ読んだ。ラストがとくにすばらしかった。
    読みながらニヤニヤしてるのがわかるくらい期待通りだった。
    ひとに薦めたい本。

  • 転入してきた小学生の主人公が、色々な人と出会い、関わりながら、ゆっくりと知らないうちに成長していく物語だった。
    主人公がどんどんと勇気を出して行動していって、
    すごいと思った。
    変な終わり方をしているため、続きがどうなったか
    知りたいと思った。

  • 小学5年生の香な子は、両親の都合で新学期に転校をした。
    その学校にいたのがコーモリこと小森。
    ちょっと眉毛の太い、普通の男子。
    ひょんなことから、2人は親しくなっていく。

    なんて切ない。
    なんてかわいい。
    なんて優しい。

    まだ5年生。
    年の頃も、きっとこんな、というリアルさ。
    2人の初恋未満は、仲良しの友達以上の距離感で進んでいきます。
    コーモリの家庭には事情があり、それを担任の鎌倉先生、香な子の家の大人達がさりげなく組んで、手を差し伸べる。
    このまま2人で大人になって欲しかった。

    いつかまた2人が再会した時に、未来の似顔絵を見ながら笑いあえたらいいな。

    素敵なお話でした。

  • 全然前知識なしで読んだら、児童書だったのね。
    でもすごくよかった。
    主人公の香な子も、クラスメートのコーモリも、学校では特別目立つ子ではないと思う。

    香な子は小学5年生。
    父が会社を辞めて母の実家の工務店を手伝うことになり、下町に引っ越してきた。
    以前住んでいた都心の豪華な家から、ださいアパートへ。
    だけど、以前と同じ進学塾に通うのは、いい中学へ行って、いい高校へ行って、いい大学へ行くため。その先のことはこれから考える。

    塾の帰りの電車でクラスメートの小森(コーモリ)に会う。
    彼の母親が入院しているので、病院の帰りなのだ。

    二人ともお互いの前で実に素直で、徐々に相手の良さに気づいて、そしてそれは初恋と読んでいいものだったのかもしれないけれど、子どもの世界というのはいつも大人の事情で変わっていかざるを得ない。

    クラスのお嬢様集団のトップ(といっても、商店街のお嬢様なんだけど)町野さん。
    彼女が、香な子の心のうちなど全く忖度せず、コーモリと仲良くなりたい自分の気持ちばかりをぐいぐい押しつけてくる。
    最初は嫌な感じの子だなあと思って読んでいたけど、素直で良い意味でプライドの高い彼女は、実によい子。
    きっとこの先、香な子と親友になるんじゃないかな。

    そして何と言っても担任の先生がいい。
    学生時代はモデルをしていたというくらい美人でスタイルがいいが、厳しくて、校長先生にすら思うところをずばずば言う性格。
    怒ると怖い。
    だけど、本当に子どもたちのことを大切に思っていて、マニュアル通りではなく、きちんと子どもに向かい合ってベストであろう対応を取る。
    何があっても全力で子どもたちを守るであろう鎌倉先生を見て、香な子は思う。
    「それじゃいつまでたってもカレシできませんよ」

    鎌倉先生にひとめぼれするのが、香な子の叔父・義昭。
    売れないマンガ家で、しょっちゅう香な子の家に晩ご飯を食べに来る。
    いわばダメな大人の代表のような人だが、彼は彼できちんと自然体で姪の世界に関わってくる。

    家と学校と時に塾。
    子どもの世界は狭い。
    だから嬉しいことも多い反面、結構息苦しいことも多い。

    子どもの世界を覆う大人の世界。
    そこもやはりいいことばかりではなく、大人だって悩むし、挫折する。

    物語としては切ない終わり方だけど、未来は決して暗くはない。
    親も、先生も、おじさんも、みんな心に屈託を抱えながら明るく生きているんだもの。
    香な子とコーモリの未来だって、順風満帆じゃなくても、胸を張って生きているんじゃないかな。

  • 好きな話だった。
    香な子とコーモリのやりとりや距離感がすごくよかった。
    じわじわくる感じ。
    コーモリのお母さんもよかったし、考えると登場人物のそれぞれがとても良かった。
    ?な町野さんも、嫌な奴か?と思わせつつ、最後の主人公とのやり取りがなんとも言えず良かった。

  • 初見の作家さんと思ってたけど、アンソロジーで、過去に自身読んでたみたい(ノ_<)

    はい♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪

    こちら・・
    10歳の、マせた女の子のお話です。
    ・・ま、女の子てのは、元来マせた存在ですがね(´・Д・)」

    ☆は3.5だと思うんですが・・
    四捨五入で⇒4て事で⊂(( ・x・))⊃


    読み通りに展開して行きますが、嫌な感じでは無いです(=^x^=)

    山本さん・・
    機会が有ったら、また御本に挑戦してますね〜*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

  • かわいいなあ:-) きゅんきゅんします。
    特に最後、可愛い…

    • まろんさん
      はじめまして。花丸とフォローをありがとうございます!まろんです。

      周りでは「その本、読んだ読んだ!」と言ってくれる人がひとりもいない、この...
      はじめまして。花丸とフォローをありがとうございます!まろんです。

      周りでは「その本、読んだ読んだ!」と言ってくれる人がひとりもいない、この本を
      中学生のもりり. さんが好きと言ってくださっていて、もう、うれしくて。
      微笑ましくて、いじらしくて、可愛すぎるふたりですよね!
      山本幸久さんは、ユーモアと切なさのバランスが絶妙で
      必ずラストを希望の光で照らしてくれるところが大好きです。

      好きな作家の筆頭に瀬尾まいこさん、と書かれているもりり. さん。
      歳は〇十歳離れているけれど、びっくりするくらい読書傾向が似ていて
      なんだかちょっぴり若返ったようで、うれしくなったりしています。
      これからもどうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2013/09/04
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著者プロフィール

山本幸久
一九六六年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て、二〇〇三年『笑う招き猫』で第十六回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。ユーモア溢れる筆致と、魅力的な登場人物が読者の共感を呼び、幅広い世代から支持されている。主な著作に『ある日、アヒルバス』『店長がいっぱい』『大江戸あにまる』『花屋さんが言うことには』『人形姫』などがある。

「2023年 『あたしとママのファイトな日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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