扉の国のチコ

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制作 : 上野 紀子 
  • ポプラ社 (2006年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (38ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591092828

扉の国のチコの感想・レビュー・書評

  • 再読.この不可思議な絵物語を一度目にしたら忘れることなんてできない.
    冒頭に『瀧口修造に捧ぐ』の献辞がある.以前この絵本を読んだ後,偶然にも瀧口修造に縁のある書物を手にする機会に恵まれた.私が偏愛する朝吹真理子【流跡】の文庫本の装画は瀧口修造によるものであったし,岡上淑子の作品集,デルヴォーの画集のなかにも瀧口修造の名を見つけた.
    作中に引用されている瀧口修造の詩に哲学的感興をそそられたので【宇宙遊星間旅行】も【扉の国】もひもといた.どうにかして【小宇宙―鏡の淵のアリス―】まで遡りたいと思っている.

    私は未だに『扉の国』が何なのかわからない。けれども,目隠しをされていても一条の光は瞼で知覚することができる.あなたの手を借りながら『扉の国』へと進んでゆく.

    これは数えきれないくらいの始まりの扉を私に与えてくれた大切な書物です.
    《2015.08.25》

  • シュルレアリスムの絵本。チコはやぶにらみの女の子。いつも望遠鏡を覗いている。底から見えるものは…?見えているものが真実とは限らない。ステッキを持った白髪の老人・瀧口修造その人に向けた絵本。

  • 瀧口修造の思い出のために。
    彼が繋いだ縁が一冊の絵本になった。

  • ・全体的に暗い。
    ・チコが救われない、手紙で救いがなくなった。
    ・文章と絵が一致していない。
    ・おじいさんの杖もキーワードになっていそうでなっていない。
    ・瀧口修造氏に思い入れがある人向け。
    ・世の中にはいろいろな見方があるのだと思う。

  • これは絵本の域を超えていると思いました。

    黒い帽子を目が隠れるほど深くかぶり、黒い服を着た少女の絵。
    雑誌MOEでその絵を目にしたとき、昔、確かに似たような絵を見たことがあり、そしてとても惹かれた記憶が甦ってきました。それが上野さんの描くチコでした。
    顔が見えないこの少女の絵は、見ている人をふっとその隠れている瞳の中に吸い込んでしまうような不思議な力があるように感じます。

    ものが二重に見えてしまうチコは、いつも望遠鏡を持ち歩いて遠くの世界を眺めています。見ることが大好きなのです。ある日、チコは望遠鏡でみた扉を目指します。そして扉をいくつもいくつもくぐり抜け、扉の国に入っていきます。そこで一人のステッキを持った老人に出会います。そしてチコはその老人とともに扉の国を旅するのです。

    故・瀧口修造氏へのオマージュであるこの作品。
    旅の途中でチコが出会う様々なもの。それらは全て瀧口氏や彼の友人のデュシャンにまつわるものでかたどられています。

    旅の最後にチコが老人から受け取った手紙。その文章こそ、瀧口氏の「遺言」そのもので、その言葉には、チコだけでなく自分まで涙が浮かんでくるほどの力強いものがあり、感銘を受けました。

    チコの顔は半分帽子で隠れていますし、老人は常に顔を見せません。チェスを見下ろすデュシャンもそうです。誰も顔を見せてくれません。やっと最後のページでやっとみることができた「みんな」の顔にほっと肩をおろせました。

    とても独特で美しい作品です。もしかしたら小さい子は最初は怖がることもあるかもしれません。でもいつか大人になったときもう一度手に取りたくなる、そんな一冊になればいいなと思います。

    絶版か重版待ちなのか現在定価では手に入らないようです・・・。もう一度書店に並んでくれる日を心待ちにしています。

    お気に入り度:★★★★★
    (2009年10月1日)

  • むむ、上野紀子の絵がちょうど気になってたところ恵文社で見つけてしまった。
    内容はまったく知らずに買ったのだが、シュルレアリストS.T.氏とその友人たちの話だったとは。
    見えない世界の扉を開き続ける旅人たち。
    ひじょうに心打たれた本であります。

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