愛をみつけたうさぎ: エドワ-ド・テュレインの奇跡の旅

  • ポプラ社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591094587

感想・レビュー・書評

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  • タイトルを見て、まさかなんて、鼻で笑った方もいるかもしれませんが、これに偽り無しです。

    私、なぜ陶器でできた人形が主人公で、こんなに感動を覚えるのか、ずっと考えているのですが、人間なら当たり前にできること─例えば、手を繫いであげたり、なにか励みになる言葉をかけてあげるとか─すらできない、やり切れなさにそう思うのかもしれません。

    しかし、よくよく考えてみたら、人間の中にも、それができるのにできなかったり、わざとそうしなかったりとか、何か人間らしさを無意識に忘れかけている人もいるなと思ったとき、そうした人が読めば、より感動できるのかもと思いました。

    要するに、私もそのひとりだったわけです。

    「愛なんて、けっ!」 なんて思ったりもしました。

    そうした思い込みが、この作品を読んで変わるかもしれない。いや、変えたい。

    陶器でできた、うさぎの人形「エドワード・テュレイン」が、持ち主のアビリーンと離れ離れになってからの、様々な人達との出会いと別れとアクシデント、すべてに意味があり、人間の人生と何ら変わることなく感じられるのは、ロードノベルとしての完成度の高さも、自ずと証明していると思います。

    しかし、旅路の果てに待っていたものは、下記のような、エドワードが吐露した思いでした。

    「ぼくは愛することを学んだ。でも愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ。助けてよ」

    ほら、やっぱり。愛なんてないでしょうと思われるが、実は、とある人物も同じ思いを抱いていることを、意外な場面で知ることになり、ここで諦めてはいけないのです。

    そして、人生の辛さを重苦しく詠んだ、スタンレー・クーニッツの詩、「試金木」が冒頭にあった理由を思い知る。

    心は砕け、さらに砕け
    砕けちりながら生きのびる
    闇を、さらに深き闇を
    通り抜けねばならない
    ふりかえることなく

    ネタバレになるので書けませんが、最後に教えてくれたことは、一見、単純明快に見えるけれど、それを維持していく思いの強さと、真に他人を思いやる心の強さの難しさは、人生を長く生きれば生きるほど、より辛く感じるかもしれません。

    でも、それでも信じないといけないんだよね。

    • たださん
      地球っこさん、こんにちは。

      そこに到達するまでの軌跡に思いが込められたタイトルというのも、確かに納得させられるものがありますね。

      旅の途...
      地球っこさん、こんにちは。

      そこに到達するまでの軌跡に思いが込められたタイトルというのも、確かに納得させられるものがありますね。

      旅の途中で出会った人達の、それぞれの人生の辛さを持ち合わせながらも、時折見せる、けなげな愛おしさを思い出しました。

      私も地球っこさんのおかげで、また異なる視点から、この作品をより楽しむことができました。

      ありがとうございます(^o^)
      2022/02/06
    • avec totoさん
      はじめまして、たださん。
      たださんのレビューをたまたま拝見して、惹かれて、この本を読むことが出来ました。

      ありがとうございました。
      はじめまして、たださん。
      たださんのレビューをたまたま拝見して、惹かれて、この本を読むことが出来ました。

      ありがとうございました。
      2022/05/01
    • たださん
      avec totoさん、はじめまして。

      コメントありがとうございます。

      私の拙いレビューをきっかけに、お読みいただいたこと、とても嬉しい...
      avec totoさん、はじめまして。

      コメントありがとうございます。

      私の拙いレビューをきっかけに、お読みいただいたこと、とても嬉しいです。

      avec totoさんのレビュー、拝見しまして、とても感慨深いものがありました。

      特に、愛を得ることと失うことの対照性と、それぞれに伴う痛みや辛さには、ちょうど私自身の抱える悩みとも合致する点が
      あり、すごく共感できるものを感じました。

      辛いと感じるのは、それと同じくらい、幸せを感じるからこその痛みなのかもしれませんね。

      改めて、私の中で、後悔の無いように生きていきたいと思うことができました。
      ありがとうございます。

      これからも、avec totoさんのレビュー、楽しみにしております(^_^)
      2022/05/01
  • 素晴らしい本でした。
    立派な陶器のうさぎのエドワード。持ち主の女の子はとても愛してくれていましたが、エドワード誰も愛したことはありませんでした。ある日、女の子とはぐれ、さまざまな人に出会っては別れることを繰り返し、そのうちに、愛を知り、同時に失うことの辛さも知りました。辛すぎて、再び心を閉ざそうとするエドワードですが…

    人形やロボットと人の愛の物語は、よくあります。ですが、この物語は、あまり人形ということを感じさせず、より人として実感できます。そして、挿絵がまた素晴らしいです。

    エドワードは陶器のうさぎですが、愛を知りません。私自身もあまり誰も愛せないので、愛を見つけるなんて、どうしたらできるの?と半信半疑で読み進めました。

    エドワードが出会い別れる一つ一つに、意味があり、様々な愛の形を見知っていきます。

    そして、誰かを愛することは同時に、愛する誰かを失うことで痛感するものです。私もそうでした。相手は猫でしたが…
    エドワードも「僕はもう愛されなくていい。愛さなくてもいい。だって、どっちもあんまりつらすぎるよ」と心を閉ざしてしまいます。

    ここからまた、素晴らしい物語が展開されて
    いきます。

    愛する誰かがいると、心が大きく動かされることがあり、幸せと同時に辛さもやってきます。
    愛する者が誰もいなくなったら、心は平穏で楽ですが、同時に虚無感に苛まれ、生きがいを失ないます。

    ある程度歳を重ね、両方を経験した今、私は後者の状態ですが、やはり、心が波打って苦しみを伴っても、前者の方が幸せだったなと思います。

    エドワードの変化は私にとって光でした。ずっと手元に置いておきたい大切な一冊になりました。

  • プライドが高く愛を知らない陶器で出来たうさぎの人形エドワード。辛い旅を続けるうちに彼は愛を知り、愛を失う辛さを知り、それならば愛なんていらないと心を閉ざす、だけど…。
    彼は再び愛を見つけられるのか。愛するだけでも愛されるだけでもだめなんだ。
    エドワードが、「泣くことができればいいのに」と思った時、泣けないエドワードが哀しくて、彼の孤独が切なくて… 気がつけば彼の代わりに泣いてた。
    「おまえにはがっかりした」ペレグリーナの言葉にゾクッとした。彼女の顔がどうしても魔女に見えてしまう。
    挿し絵も丁寧でよかった。

  • こんなに苦しいのなら
    愛なんて知らなければよかったと
    ボロボロになるエドワードが
    ひたすらに弱くて可愛くて辛かった

    わたしの好きなシーン
    "「あいつを見たいんです」
    ブライスは手の甲で鼻をぬぐった。
    そのしぐさを見ると、
    エドワードの胸はしめつけられた。"

    ブライスも幸せになっておくれーー

    自分が子供の頃にこの物語を
    読んでいたらぬいぐるみに対して
    すごい後ろめたさとかしんどさとか
    感じてたかも

  • 陶器でできたうさぎのエドワード。
    女の子にとても愛されていたけれど、エドワードは傲慢で自分にしか興味がない。

    家族で船でイギリスに行く途中、悪戯で引き離され、
    エドワードの、長い長い旅が始まる・・・


    これは、とても素敵なお話です。感動しました。
    表紙に惹かれて購入したんですが、
    こんなにも、魅力的な物語だったなんて。
    口絵っていうのかな、中にもカラー挿絵が載ってて、これも素晴らしい。

    切なくて切なくて、後半は泣きながら読んでました。
    途中で出会う人々がまた、切なくて。

    旅をするといっても、擬人化して歩いて動き回るわけではない。
    エドワードは陶器なので、喋れないし、動けない。
    ただ彼の感情が語られているのもいいね。


    今年に発売され、自分が読んだ本の中では、最高の作品です。
    本棚に並べておいて、何度も読みたくなりますね。

  • 作者さんはねずみの騎士デスペローの方です。
    なんとも愛らしい姿のうさぎ人形のエドワードが主人公です。
    うさぎと人形ずきにはたまらなくいとしい一冊でした。
    イラストの繊細なタッチもこのうえなく美しいので、
    こどもさんへの贈り物にもおすすめです。


    エドワードがふとした偶然から失ったものと、
    孤独な旅のなかで見つけた大切なもの。
    まるでいっしょに旅をしているかのように感ずることができ、
    胸がいたみました。

  • 小学生の時に図書館で借りた本。
    とても手を込んで作られたうさぎのぬいぐるみ、とても愛された後何人もの手に渡り愛されたり捨てられたり旅する物語。

    今読んだらまた感じ方が違うんだろうなと思う。

  • まあ最後はこうなるんだろうなぁという予想通りの展開ではあったが

    うぉー!!そんなにかッ!?
    ってなってポロリ涙が

  • 捨てる神あれば拾う神あり。世の中そんなに悪いことばかりじゃない。

  • 図書館

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著者プロフィール

アメリカの作家。『ねずみの騎士デスペローの物語』と『空飛ぶリスとひねくれ屋のフローラ』で、二度のニューベリー賞を受賞。そのほかの作品に『きいてほしいの、あたしのこと―ウィン・ディキシーのいた夏―』、『愛を見つけたウサギーエドワード・テュレインの奇跡の旅―』などがある。

「2023年 『ベアトリスの予言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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