削除ボーイズ0326

著者 :
  • ポプラ社
3.27
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  • (27)
  • (11)
本棚登録 : 528
感想 : 129
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591094723

感想・レビュー・書評

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  • 起こった事象の削除という時間SF要素と、事件の黒幕探しをするサスペンス、という2つを柱にした小説だが…。それ以外にも友人の不可解な行動を解明する友情物語や、取り返しのつかない怪我を負わせたための引きこもりだとか、目立たないクラスの女子との淡い恋愛話とか…。これでもかと言うくらい、たくさんの要素が詰め込まれ、その中で右往左往する主人公たち主要登場人物が全員小学生。う〜ん。これではバラバラのパッチワークのようなお話しになるのは目に見えている。著者にそれなりの力量があればうまく収斂できたかもしれないが、それは無理でしょう。起こった事象の修正に分単位のかなり厳しいルールを設け、主人公の行動制約を行っているにもかかわらず、バタフライエフェクトについては無視するなど、ご都合主義の誹りを免れない話となっているのはいただけない。サスペンス部分の欠点については良く分からないが、SF部分について言うならば中途半端で甘い。時間を厳格に扱うのか緩く扱うのか、どちらでもSF小説として成立すると思うが、どっちつかずの中途半端は良くない。国産時間SFには、久米 康之「猫の尻尾も借りてきて」、高畑京一郎「タイム・リープ あしたはきのう」、広瀬正「マイナス・ゼロ」などの名作がある。いずれも物語性が高いうえに時間の取扱いが精緻で綻びがない。これらの作品と比べても見劣りしないという自信があるなら良いが、そうでない限り時間SFは発表して欲しくないな。

  • (内容)
    主人公・直都が手に入れたのは、出来事を「削除」できる装置だった。
    削除したいのは深爪の傷、息苦しい現実、それとも忘れられない過ち?
    生命力に満ちた人物造形と疾走感あふれる筆致が織りなす、まったく新しいリアル・エンターテインメント。
    第1回ポプラ社小説大賞受賞。
    (amazon.comより)

    (感想)
    ポプラ社小説大賞は「ズッコケ三人組」などで知られるポプラ社が「大人も読める作品を……」ということで、創設した文学賞。
    募集段階で2000万円という賞金の高さが、第5回には水嶋ヒロが受賞したことでも話題になった。
    私は2000万円もらったのはどんな作品なんだろう?という興味から買ったのだが、「何が言いたいのかよく分からない作品」だったというのが感想。
    amazonのレビューでもあるが、
    ・小学生が主人公でSF的なタイトルな割りに、内容は暗い。
    ・小学生というより中学生or高校生といった方が良いキャラクター。
    ・ラストのオチが「結局今までのは何だったのよ?」と思わされる消化不良な結末
    ・KMDについて理屈っぽい説明が多い割りに、破綻しているロジックがある

    何よりも物語の起承転結が不明瞭で、盛り上がりどころが分からなかった。(惹きつけられるシーンも無い)

    ポプラ社の選評では、
    「主眼は装置そのものや由来ではなく、それを手に入れた少年の心の動きにある。主人公をはじめ、車椅子の親友、無口なクラスメイトの少女、引きこもりの兄など、一人一人の人物造形が際立っており、人間と人間が絡み合う物語を作っていこうという強い意志が感じられた。
    また込み入った設定を疾走感をもって書き進める筆力と構成力を備えている」
    とあるが、別に人物造形が際立っているとは思えなかったし、込み入った設定はダラダラした展開を引き起こしたとしか思えなかった。

    「一方、終盤の展開の速さに筆致が追いつかず、過去の事件の謎解きが十分になされていないなど粗い部分も見られ、完成度の点で他候補作に一歩譲るという意見もあった」

    一歩どころか三歩ぐらいは譲ってる気がする。
    プロットの段階でもっと練るべきだったのではないだろうか。
    どう考えても2000万円の価値は無い。

  • 小学生がフリーマーケットで手に入れた装置。それは実際に起こった出来事を削除する事ができてしまう。設定は面白いけど、主人公は妙に大人びた小学生だし、事件も盛り上がりに欠ける。がっかりの作品でした。

  • 題材は良かったんですが...。
    次回に期待!

  • プロローグを読んだ段階で嫌な予感がしたけど、的中した。こういう決着の付け方、というか決着の放棄は許せない。これで2、000万円とはいかがなものか。アイデアがいいだけに惜しまれる。

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