学校のセンセイ

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 378
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591097670

作品紹介・あらすじ

センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。それでも、"センセイの日々"は続いて行く…。第18回小説すばる新人賞受賞作家が描く、"フツーの教師"の青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • 何となく高校の社会科教師になってしまった桐原一哉
    行動原理はすべて『面倒くさい』
    適当に❝センセイ❞をやろうとするものの
    何故か問題を抱えた生徒や教師やそして友人達が
    問題事を持ち込んで来て…。


    全て桐原の心の声で綴られてる
    『キングオブ面倒くさがりの桐原』
    自分では、生徒に対してポイント制で
    しかも、ポイント高い=楽かどうかっていう最低の教師って
    最初は、先生も人間だもん仕方ないよね。
    確かに、こんな人いるかもね
    なんて読んでいたのだけど、
    全てに真面目で一生懸命で不器用で心優しい長野先生に
    自分を重ねたりしてたら、
    そんな、一生懸命さを冷やかに分析してる。
    自分は面倒に巻き込まれない様に、面倒な状態にならないよう
    トラブルになりそうな事態を避けながら過ごしている。
    また、空気も読めて洞察力もあり機転もきく器用さを持っている。
    何だ~桐野は、計算ばかりして喋ったり行動してーーーー。
    何て、段々腹立たしくなって来た。
    学年主任の溝口先生…正体を見破っていた(笑)
    ただのジャージを何枚も持っている
    しょぼくれた、小うるさいオジサン教師じゃなかったぁ
    叱るでもなく『生徒は子供 子供に対する大人の対応をきちんととっていきましょう』
    うわ~めちゃめちゃカッコイイ

    友人の中川や浅見も良い味出してる。
    隣のアパートの住人60年代の人気モデルツィギーそっくりの
    体型や顔やファッションの小枝良かったぁ
    小枝を初めて部屋に誘った時の桐野の慌てぶりめちゃんこ笑えた。

    桐野も周りの人や困った生徒の問題に関わっていく内に
    少しずつ少しずつ心が揺れて動き出して行く。
    少しずつ本物の教師に向かって行った。
    恥かしかったり、怖かったりで面倒くさがってるふりをしてたのか
    本当に面倒だったのか…自分でもわかんなくなり
    私生活でも、人と深く関わって行こうと変わっていく…。

    とっても、読みやすくって
    とっても、心がほわっとする読了感
    読み始めからグイグイ引き込まれていって
    とっても面白かったぁ
    これからも、読み続けたい作家さんです (*´ー`*)

  • 書影は<a href="http://www.bk1.jp/product/02798488">こちら</a>

  • 面倒くさくて、他人と深く関わらないようにしている学校の先生が主人公。
    学校の先生なんて、深く関わると大変と思ってしまうところで主人公に共感する。あっさりなところはあっさり、関わるところはしっかり。そんなふうなあり方は憧れる。

  • 『私、自分が間違っていないと思うときは、
    ちゃんと主張することにしたんです。
    我慢してたら前に進めないんです。』
             (永野先生のセリフより)

    面倒くさがりだけど何だかんだ生徒と向き合う桐原先生にも、真面目すぎるがあまり抱えこんでしまう永野先生にも共感するところがあって
    面白かったです。長所と短所は表裏一体なんだなぁと改めて思えました。

  • 来年から教師になるので読んでみました。

    前半はなんとなくゆっくり進んでく感じでしたが、後半が一気に物語が進んでいきましたね。

    桐原の心の声が丸聞こえで、桐原の立場にいるような感じで読めました。

    桐原面倒くさがりとか言いながらも、ちゃっかり小枝のこと誘ったり、中川に手出したりしてて面白かったです。

    自分は今、地元で教師をやるのか、都会で教師をやるのかで悩んでいたんですが、全く馴染みのない名古屋という土地に行った桐原を見て、教師ならどっちでもやること変わらないし、なんか流れに任せていいような気がして来ました。

    子どもは子どもだけど、それを相手にしないんじゃなくて、大人としてちゃんと接するというのも、なんとなく刺さりました。

    小枝と涼も別れちゃったし、結局大人と子どもってやっぱり住む世界が違うんですかね。

  • 最後の一文が秀逸だった。
    上手いオチ。

  • 図書館で借りたもの。

    淡々と。
    「先生」って名の付く人はどうしても特別な人だって、私は思ってしまうんだけど、実際はそんなことないんだな。

  • 最近ハマって読み漁り中の飛鳥井作品。題名の通り学校の先生である桐原一哉と一哉を取り巻く人々の話。熱くなることがかっこ悪いと思ってる冷めた性格の一哉が色々な生徒や問題に向き合って、また、たまたま向かいのアパートに住んでいたツィギー似のど派手で痩せすぎな女、小枝との出会いで少しずつ変わろうとする。
    いやー一哉みたいな男の人、多分かっこいいんだろうけど苦手なタイプだなー!何事もめんどくさいと思ってるから真正面からなかなか話せなそう。でも、小枝のように飾らない真っ直ぐな人と出会ってもっと人と向き合えるようになるといいね。

  • キングオブ面倒くさがりを自認する桐原は、高校の社会科の先生。
    同僚教師や生徒、女友達との関係も、面倒くさいを名目に、上辺だけでさらりと流すタイプ。
    そんな彼の成長記。

    前半の桐は、好きになれませんでした。
    やたら面倒くさいを連発していて、そこがどうしても鼻についてしまって。
    でも、最後に見えた彼の過去で、面倒くさがっているふりをしていたのかもしれない姿が感じられてからは、急激に前半の様子もイメージアップ。
    再読したら、きっと違った印象になるかもしれないな。

    面倒くさいと言いつつも、ちゃんと仕事してるじゃんな桐、軽い感じだけど、人間らしいのかなと思います。

  • 主人公の一人称で話が進んでいって、たいていの人間ってそうだよなあ、と読んでて思った。先生だって生徒に好き嫌いはあるし、それを出さなきゃいいんじゃないのって思うよねえ。坪井君とか優花ちゃんとか、実際そこらへんに居そう。先生の話に焦点を置きつつも、高校生の内情みたいなのも出てて面白かった。好きな先生にやたら質問するのは分かるけど、気を引きたくて手首切る、っていうのはさすがに驚いた。本人もそんな大事になると思ってなかったんだろうな。リスカの一種のファッション化、みたいなものを思った。主人公はいい意味でキャラ立ちしてないというか、個性がないことが個性、みたいな?フツーにどこにでもいそうな教師で、生活の中にありふれた困難があって、なんとなくそれらに対応していくうちに、ちょっとずつ心情の変化が起こるという。突然熱血教師になる訳でもなく、傍目からは分からない程度に変わっていく過程がリアルで、心情ダダ漏れ系一人称の上手いところが存分に生かされている、と感じました。だらだらした文章なのに、引き込まれると言うほどではないにしろあっさり読み終えました。那由多のキャラクターが良かった。'16,4,6 図書館

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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