風の陰陽師〈1〉きつね童子

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591099063

感想・レビュー・書評

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  • 陰陽師、安倍晴明の少年時代の物語です。わたしの思う幽玄で怪しく雅な陰陽師の世界が陰とすれば、この物語は晴明の成長物語のようで未来に力強く羽ばたくような陽の印象です。
    弱虫で泣き虫だった晴明が、信太の森で母である狐の葛の葉、祖父にあたる葛翁に出会い、愛され見守られながら、ちょっぴり強くなります。その後、智徳法師のもと厳しい陰陽師の修行を行い成長していきます。親しい友人も出来て、可愛らしいお姫様とも知り合い、晴明の世界が広がりはじめます。けれど、道満の卑劣さや黒主の野望(黒主はあの人じゃないかな・・・)賀茂家の思惑など、そこでは見たくない聞きたくない出来事にもぶつかります。『今昔物語集』の説話も、作家さんによってカラーが違うので、知っているお話もまた新鮮な気持ちで読めました。
    それにしても大盗賊、袴垂保輔が多城丸だけでなく、晴明にも絡んでくるのかしら、盗賊メンバーの動向がとーっても気になります。

  • 蘆屋道満との因縁をこの巻で知る。狐と人間の子どもは知っていたが母親に会いに旅に出て自分が情け無い人間で弱い事は恥である事を知り成長していく。粘り強さと純粋な幼少期の晴明が世間に揉まれてどう成長していくのか楽しみである。

  • ぼくが一番好きなのは、くずの葉です。晴明をかげでおうえんしているところが好き。晴明はお母さんがいなくてさびしいだろうなと思う。でも、会えたときは、うれしくてすごくよろこんだだろうな。
    ほかにも、ち徳法しとか、赤びとか、好きな人がたくさん出てくる、すごくおもしろいお話です。
    道まんは、きらいです。さぎまろと組んでずるをしているところがいやです。
    おんみょう道をやってみたいけど、失敗するとひどいことになるから気を付けたい。夏休みに星を見る宿題が出ていて、なーんだ星座かと思っていたけど、晴明を知ってやる気が出ました。(小4)

  • 昔好きだった

  • 本棚に岡崎玲子絵、夢枕獏原作の「陰陽師」13巻がある。夢中になって読んでから10年近くになる。その間映画化されたものも見た。妖しのはびこる平安京が舞台で漫画は分かりやすいと思ったが、巻が進むにつれて文字が増えて内容も難解になった。これでは原作を読むなんてムリだろうと思ってそのままになっていた。

    「風の陰陽師」と言うものが出ていると知った。図書館に行くと「児童書だから読みやすいですよ」ということで安心して二冊借りてきた。

    (一)は清明の誕生から、都に戻り中納言に仕えるまでの話

    父安部の保名と葛の葉の間に生まれた清明は、信太の森にいる母に会いに行く。そこは狐が守っている森だった。母は長の葛翁の子供で、大きな白狐だった。狐たちに守られて修行をする。狐たちは様々な術を使って暮らしていた。

    母は清明が信太の森からでて人々の間で生きることを願っていた。

    清明は母に守られ、赤い玉を思って都に帰ってくる。父が亡くなった後、屋敷は狐たちが守っていたが、陰陽頭の加茂忠行に預けられる。

    京に帰る旅の途中で、多城丸と妹の小枝と知り合う。流浪の高僧知徳法師にもあう、気難しい僧だったが眼鏡にかなって弟子になる。

    忠行の下から、陰陽寮に通って修業を始める。母の愛に見守られ、狐たちとの交流のなかで成長していく。
    知徳の弟子だった破戒僧の暗躍、子供ながら災難は容赦なく降りかかってくるが、信太の母から貰った赤い玉は「赤眉」と言う狐だった。その術は強くて清明は何度も助けられる。

    次第に強くなる清明が可愛らしくて頼もしい。

    当時の京の都は様々な怪異、妖怪が跋扈していた。魔を操るものはその術で出世を目論んでいたり、盗賊だったりして、貴族たちは自衛のために強い陰陽師に守られたいと思っていた。

    中納言の家の陰陽師が亡くなり、腕比べをして勝てば出入りできるという。相手は蘆屋道満と言う僧だった。
    強敵の道満を破り、清明は名前を知られるようになっていった。

    単に清明の成長記でなく、エピソード満載で、その上読みやすい。清明はかわいいし、狐たちも無邪気でとても面白い。

  • 息子が勧めるので読んだ。
    安倍晴明も好きだし。
    ちょっと強引なところがあるけれど、さらっと読めた。

  • 昔すごく好きだった本。

  • 安倍清明については、岡野玲子さんの「陰陽師」は途中まで読んだことがあるものの夢枕獏さんのほうの「陰陽師」は積読という程度で、平安時代の有名な陰陽師ということくらいしか知らない。仲町六絵さんの「からくさ図書館」にも主人公の上役として出てきますね。

    これはそんな安倍清明の少年時代のお話。
    まだ序盤の1巻しか読めていないのでなんとも言えませんが、説話と作者のファンタジーとが、上手に溶けあっているように感じました。清明のことを良くしらないわたしには、どこまでが本当のこと(というか伝説)なのかは判じかねますが、だからこそ単純に楽しむことができたのかも。

    挿絵はラノベにありそうな画風ですし、児童書らしい平たい文章なので、歴史の勉強と肩ひじ張らずに平安京のことも解るのじゃないかなぁ、と小学校高学年さんにオススメしておきます。

  • ポプラ文庫の巻末に載ってる他の本の紹介で、いっつも気になっていたのがこれ・・・。
    ただ、わりとポップな挿絵が載ってきそうなので、ちょっと読むのに疲れそうやなあーと、思ってそのままにしていたのだけど、先日子どもと一緒に本館へ行ったときに、児童書のコーナーでこの本を見かけました。

    で、
    「えっ? 児童書やったの?」
    と、なり(ハードカバーだった)、思わず手に取ってしまいました・・・。

    なんやろう。児童書とか、大好きやからね・・・。

    だって主人公があの安倍晴明なんやけど、児童書やねんで。
    児童書で、安倍晴明やっちゃうねんで。
    あのおどろおどろしい、呪いたら呪いたら呪いばっかりいうようなあの世界観で、児童書やねんで?
    なんかもー、どんなんなんよ、と、借りちゃったよ。

    面白かったよ!

    ふつうのファンタジーやった(いや、ある程度は史実なの?)。
    ただ今回は、晴明の出自について触れて
    「これから陰陽師としてがんばるぞ!」
    みたいな(そんなノリでは決してない)ところで終わったので、この先あの芦屋道満と、どう呪いとか呪いとか呪いの話をやっていくのかは、謎。ちゅうかまあ、楽しみ。^^

    ただ、保憲さまがただのいいとこのバカなお坊ちゃま然と書かれてたのが残念―(笑)!
    私、あの人は結構シュッとしたかっこいい人であってほしいねんけど、そっちのほうが無理なんかしら。

    しかしこういう児童書、ほんま好きやわー。だから児童書を探すのって面白い・・・。

    ちゅうか、児童書のくくりでなくてもええと思うわ。
    少なくとも、小学生の私はこんな本読まれへんで・・・。

    続きもすぐにリクエストしたいけど、今は積読本が多いのでちょっと待つわ・・・(笑)。
    残念ながら今日も、読めずに返す本が1冊・・・。

    (2015.05.16)

  • 【図書館本】面白かったかと問われれば、微妙としか返せない。読めない訳ではないけど、楽しいとも思えなかった。あまり文章が入ってこないのと、まだまだ序盤で物足りない。1冊丸々人物紹介と前置き、という印象。真比古と矢比古は可愛かった。(悪右衛門の娘はどうなったんだろう……?)

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著者プロフィール

1939年東京に生まれる。
早稲田大学文学部卒業。児童文学作家。
主な作品に、「おとうさんがいっぱい」「風を売る男」「ものまね鳥を撃つな」「風の陰陽師」などがある。

「2019年 『漱石と熊楠 同時代を生きた二人の巨人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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