やがて目覚めない朝が来る

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著者 : 大島真寿美
  • ポプラ社 (2007年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591100011

やがて目覚めない朝が来るの感想・レビュー・書評

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  • 登場する人たちが一人ひとりこの世から去っていく。
    静かに去っていく。

    登場した子どもが成長して大人になり、
    子どもという存在が登場しなくなると、
    次へつなぐ命が登場しなくなると、寂しい。

    たとえ満足して、たとえ望んだものに近い形であっても、
    いつか人はこの世から去っていくのだ。
    やがて目覚めない朝がくるのだ。
    人の一生の儚さを感じずには居られない。

    大島真寿美さんの小説を読むのは2冊目。
    どちらも文章が上手だとか、
    読んでいる時に感動した、ということはないのだけれど、
    いつまでも心のどこかに静かに引っかかるものがある。

  • 有加が自分の祖母である蕗さんとの時間について語った本です。

    私、大島さんの書く文章って好きみたいです。三冊読んで気づく。
    なんだか静かで、降り積もるように積み上げられていくかんじ。
    読みはじめて、一気に読んでしまいました。
    本の表紙、一枚白い紙をめくって出てくる金から白へのグラデーションのページがこの本にぴったりで、読み終わった後もしみじみ見つめてしまいました。

    出てくる人がみんな優しいからこんな気持ちになるのかなー。
    一番好きなのはミラさんです。
    離婚しそうな有加の話をきいて、「いいぞいいぞ、有加、その調子ー!」って、そういってくれる人がいることってなんて心が安まるんだろう。
    それも、すっごい深い愛情があるからこそ出る言葉だとおもいます。
    「勝手なことして、失敗して、泣いて、のたうち回って、なにやってんだろあたし、なんてばかなんだろ、って自分で自分にがっかりするくらいでちょうどいいのよ。そうやって好きなように生きたらいいわ。失敗したら、みんなはがっかりするでしょうけど、みんなをがっかりさせないために生きることは、ないのよ、有加。あなたはあなたの好きなように生きたらいいの」
    自分に言われているように感じました。

    のぶ子が舟のことを有加に語るシーンは、ちょっと泣いてしまいました。
    本人は全然泣いてないんだけど、すっごくかなしいんだなーさみしいんだなーって思ったので。
    のぶ子が、楽しい時、素敵なものを見た時に「ああ、舟ちゃんは死んだんだった」とつぶやくの、なんかちょっとわかります。
    私も、おじいちゃんはいないんだーと思うのは楽しい時だったから。

    やがて目覚めない朝がくる。
    蕗さんみたいに、有加みたいに、そう思って生きてみようかな。

  • 静かで、美しい。
    内面の葛藤は具体的には描かれず、しかしどんな説明よりも雄弁だ。

    生きる覚悟を、しずかに見極められるかのように。

  • 「ピエタ」に続く2冊目の本。
    思っていたよりさくっと読めた。
    この筆者は、心根が骨太で優しい年配の人を書くのがとても上手い。彼らが集まる洋館も素敵だったが、孫の有加が語る蕗さんの話しだからか、有加自身の話しは最後迄ぼんやりとしたままだったのが、少し残念。

  • 一度読み終えて、この物語を味わいきれてないような気がして、もう一度最初からゆっくり読み直した。
    ものすごく深いところで、心の奥に染み込んでくるものがあるのに、それを「感想」という言葉で表すことが私にできない。
    星が四つなのか五つなのか、そんなことではあらわせないものがこの物語の中にしずかに潜んでいる。

  • 大島さんのまだ読んでなかった小説。

    ふきさんと主人公ゆかのお母さんのお話。
    ゆかのお母さんみたいなサッパリしたキャラの人が大島さんの小説にはよく出てくる気がする。
    家族がテーマなのかな。

    ☆気になったぶぶん

    蕗さんは、何遍やり直しても、同じ選択をして、同じような後悔をするのではないか、と、運命とか、宿命とか、そういう大袈裟な話ではなくて、その人の領分、とでもいったらいいか。この人の領分で精一杯動いたところで、どうしたってこれだけのものはあふれ出てしまう、こぼれ落ちてしまう、というような。もちろん、違う選択だって出来ただろう。子供を堕ろして、舞台に専念したってよかった。でも、そうしたからって、後悔はやっぱり残ったはずだ。
    →なにをしても後悔するんじゃないか。っていうのは、誰にもでもあるんだろうなぁ。ってすーごく思った。

    愛って難しいから、有加は、愛に応えたらだめなのよ、とミラさんは言った。愛してくれる人達みんなをがっかりさせてやればいいのよ。みんな年を取ったから、有加に自分が学んできたことを教えようとするでしょう。同じ失敗を繰り返さないように、って。愛する有加のためを思って。だけどね、有加。そんなものはいらないのよ、って思ってなさい。勝手なことして、失敗して、泣いて、のたうち回って、何やってんだろあたし、なんてばかなんだろ、って自分で自分にがっかりするくらいでちょうどいいのよ。そうやって、好きなように生きたらいいわ。思いっきり、生きたらいいわ。失敗したら。みんなはがっかりするでしょうけど、みんなをがっかりさせないために生きることは、ないのよ、有加。あなたはあなたの好きなように生きたらいいの。
    →みんなをがっかりさせないために生きることはない。ってとってもいい言葉だなって思った。応える人生は自分の人生じゃないよなーって。

    本当言えば、私は、病院中に触れ回りたかった。この人がどういう人だか知ってますか、と。この人の人生がどんな人生だったか、あなた知ってますか、と大声で知らせて回りたかった。いろんな人に蕗さんのことをわからせたかった。わかってもらいたかった。たんなる一人の病人として、たんなる一人の惚けた老人として扱われている蕗さんに、特別な重みを加えたかった。この人を見て!と。もっとちゃんと見て!と。蕗さんという人の歩みを、その重みを知ってほしかった。でも、すぐに思い直さずにはいられない。それを言うのならば、誰も彼も、特別ではないか、と。私が知らないだけで、あの人も、この人も、それぞれが、それぞれの、特別な道のりを歩んできているのではないか、と。なにも蕗さんだけが特別なわけではない。そして、誰よりも、蕗さん自身がそれを一番よくわかっていた。
    →確かに、舞台に立っていたからってそれが特別ってわけじゃないかも。誰もかれもが不器用ながらにでも一生懸命生きてる。そんなもんだよね。それぞれ一人一人が特別。

  • 1人づつ登場して、1人づつ退場していく。
    誰にとっても特別で一度切りな、生まれて人を愛して赦して死ぬまでの、時間のお話し。

  • ちょっと浮世離れしているような本。きれいにまとまっている。もう少し泥臭いところがある方が好みかしら。

  • 誰にも、等しく「やがて目覚めない朝が来る」のだなぁ。もちろん私にも。

  • 夏草や 兵どもが 夢の跡
    という芭蕉の句をなんとなく思い出してしまった。

    自然の営みの中では、人の生死ってなんてちっぽけなんだろう。
    その大きな流れのなかで、同じ時代を一緒に生きることになった人たちを、愛しく思う。
    そして、誰もがその人なりの、輝かしく美しい時間を紡ぎ出しながら、生をまっとうしていくんだ。

    いつか、私にも目覚めない朝が来る。
    その時まで、私はわたしなりに、わたしだけの道を歩んでいく。

    温かい余韻が残る、心にしみる一冊でした。

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