カレンダーボーイ

著者 :
  • ポプラ社
3.42
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本棚登録 : 331
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591100028

感想・レビュー・書評

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  • 大学に勤務する40代男性の二人、教授の三都と事務局長の安斎。
    ある日、目が覚めると二人は小学生になっていた。
    どうやら、意識だけが時間を飛び越えてしまったらしい。
    1968年と2006年、1日過ごすごとに時間旅行を繰り返す。
    そんな中、三都は安斎に提案する。
    三億円事件が理由で死んでしまった同級生の女の子を救いたい、と。

    んーーー、三億円事件なんて手垢のついた題材を用いたわりに、後半部分の雑な展開が、前半の高揚感を台無しにしている気がします。
    歴史を改ざんすると、その後の世界に「歪み」が生じるというタイムパラドックスを扱って、同級生の女の子を救うということで生じる「歪み」に恐れながらも、どうしても救いたいという気持ちを押し通そうとする中盤までの盛り上がりに対して、協力者「ガンガン」の死や、三億円事件への介在結果はあっさりと流してしまっているのが本当に残念です。
    後半部分をもう少し丁寧に描いていただければ、ラストの「喪失」を強く感じることができると思うのですが。

    あと、プロローグが三都教授からはじまっているのに、いつの間にか視点の中心が安斎さんに移っているのも物語が落ち着かない印象を与えています。
    なんというか二人のキャラクターの書き分けが微妙なんで、「え、いま、どっちの視点」とつい読み返してしまいました。

  • 読まなくても良かった。汚らわしい二人が語り部。30p で放り投げたくなる。未練がましいし、愚痴ばかり。THE selfish だぜ。対照、反面、生産性の有る人だけが、清廉に映る。彼らは決して何も創造をしない。奪われること、失うことに抗うだけ。憤り、貪り、集り、無責任であることを本懐とする。まさに不逞の輩ですよ。怠慢・怠惰だし。不義理だし。さらに平気で人道倫理も逸する。あぁ、汚らわしい。共存共栄を知れ。と言いたいぜ。でも、彼らは現代の「日本人らしさ」の象徴なのかも知れない。とは思う。共感はできない。結末の「離れ」など誰もが経験し得る通過儀礼ですよ。それを恭しく語るところも、反吐が出ますよ。2006年が特にうざい。破綻すれば良いのに。 私は何故ここまでの雑言を垂れるのか。不思議である。

  • ある朝目覚めたら・・・小学生のころの自分に意識だけがタイムスリップしていた。
    寝て起きると・・・過去と現代を行き来する主人公と幼馴染。
    二人は不幸にして亡くなった同級生の少女を救おうと「三億円事件」の歴史を変えようと画策する。小学生の身の上で一体どうやって事件に介入するのか?そして歴史を変えることで徐々に露呈していく齟齬。はたして計画が成功することでどんな結末を迎えるのか?

    いろいろと別のファクターは加わってくるものの概ねこんな感じ。
    「数えずの井戸」もそうだったけど、肝心の事件を直接描写しないという手法・・・ではあるんだけど、こっちはなんかうまくないなあ・・

    なんていうかな?途中で打ち切りが決まった連載漫画みたいな急展開です。なんか微妙に消化不良感が否めない・・・・

  • 小学校5年生だった1968年と、48歳である現代とを一晩ごとに行き来するタイムトラベラーとなった同級生の三都(イッチ)と安斎(タケちゃん)
    小5は三都、現在は安斎の目を通して描かれている。なぜこの二人が1968年にタイムスリップすることになったかちゃんとした理由があることがのちに判明し、だから1968年じゃなくちゃだめだったんだ・・と納得できる。
    とにかく視点がくるくる変わることに慣れず、混乱した。三都のお姉さんや、お祖父ちゃんなどいい役割の登場人物が要所を締め
    中盤まではとても面白く読めたけど、最後ははしょりすぎというかあっさりしすぎで何とも勿体ない気がした。 読者が一番読みたいのは、3億円事件との関係だろうと思うから。このストーリー展開なら、結末でもうちょっとグッとくるものが欲しかった。

  • 0809図書館で借りた。
    ・・・こんな簡単に過去を変えちゃって、いいの?!と思ってしまったり。。

  • なんとなく、話の展開に無理を感じた。40年前の昔と今現在を行ったり来たり、肉体はそのままで知識だけが、行き来する。現実味のないタイムトラベラーが過去の歴史を変えてしまう。この手の話は幾多或るから、話としては何番煎じか判らない程あり触れた内容、最後のクライマックスを期待したけど、詰らない尻切れトンボな終わり方で一寸ガッカリした。好きな作家だから期待し過ぎたね(--)

著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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