夏の階段 (teens’ best selections 13)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 314
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591102756

作品紹介・あらすじ

希望に胸ふくらませて入学した高校。でも新しいクラスメイトとは、まだまだ微妙な関係で-地方都市の進学校・巴波川高校、通称ウズ高を舞台に、5人の高校生が織りなす、恋と友情、未来への葛藤。ほんのり甘く切ない5つの連作短編。

感想・レビュー・書評

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  • 巴波川高校一年生クラスメイト5人の物語。
    高校一年瀬の前半部分を5人の男女それぞれの視点で書かれています。5人は入学したばかりの頃に一緒にプリクラを撮った5人。でもグループという訳でもなく、たまたまそこにいた5人。そんな5人がそれぞれに語る高校生活はそれぞれの悩みがあり、ある人の物語に出てくる彼や彼女にもそれぞれの物語があるのです。
    視点が変わることでひとりの人物の印象がコロコロと変わります。おれやわたしが見るおれやわたし。彼や彼女が見るおれやわたし。それらが重なり合います。ピタリと同じところもあれば、大きく違うところもある。そんな重なりやズレが物語の奥行きを作り、人物を立体感あるものにします。
    また物語はある人物のある時間を切り抜いたもので、そこで何かが大きく変わるとかいうのではないのです。それでも高校一年生のある時間というのは本人にとっては大きいものなんですね。それでもある時間という瞬間よりも、その先の未来に向けて作者の目は向いているように思えるのです。だからこそ最後に何気なく示された変化が大きく意味を持つように感じたのです。

  • 軽く読めました。高校1年生らしい、甘すぎず辛すぎない、良い話でした。
    緑川さんと福田君が、うまくいくのを願います。

  • 「希望に胸ふくらませて入学した高校。でも新しいクラスメイトとは、まだまだ微妙な関係で-地方都市の進学校・巴波川高校、通称ウズ高を舞台に、5人の高校生が織りなす、恋と友情、未来への葛藤。ほんのり甘く切ない5つの連作短編。」

  • 2019.06.21

  • 巴波川(うずまがわ)高校(進学校・うず高)に入学した高校生たち5人の短編集。

    『夏の階段』石造りの8段ほどの階段。奇妙なのは、その階段の上に上りつめても、何もないのだ。純情階段に心惹かれて登ってみた玉木崇音(たかね)と遠藤珠生。玉木はそこから見えるある民家の窓辺の少女に恋をして・・・。

    『春の電車』進学校に入学したけど、みんなのテンポについていけないポエミーな緑川千映見(ちえみ)。

    『月の望潮』妹大好きで緑川さん好きな福田和麿(かずま)。ちなみに妹は不登校で遠藤珠生と知り合い。ちと理屈っぽい秀才タイプ美男子。

    『雲の規格』イケメンでモテてる男だと自分で思っている河野健治。ヒーローになりたいけど、空回り雰囲気イケメン。

    『雨の屋上』遠藤珠生(たまき)は、中学でいじめにあって不登校になっていた時期があったけど、高校ではみんなを観察し、いい人間関係が築けるよう、明るく八方美人的にも見える振る舞いをする。美人なので男子に勘違いされたりもするけど、内心はいい人になろう、昔の自分を乗り越えようと努力している。福田くんの妹には偽善者だと皮肉を言われつつも好かれていたりするけど、遠藤珠生が本当に欲していたのは・・・。

    どの短編もラストがさらっとしててまとめてないかんじがいい。

  • 【あらすじ】
    たくさん勉強していれば、誰よりも早く大人になれるのだ----
    そう信じて周囲と距離を置く玉木崇音が、
    夏期講習の帰り道で出会った奇妙な階段とクラスメイトの遠藤珠生。
    何かとちょっかいを出してくる遠藤がわずらわしい玉木だったが......。
    地方都市の進学校を舞台に繰り広げられる、
    5人の高校生の不器用な恋と友情、未来への葛藤。
    息苦しい毎日の向こうに光を投げかけてくれる連作短編集。

    【感想】

  • 初めて読んだ梨屋アリエさんの作品。
    進学校に入学した男女5人の様子がオムニバス形式で描かれている。
    「巴波川高校」「岩船山」と、どこかで聞いた名前を目にして、慌てて一番最後にある作者のプロフィールを見た。
    …地元出身だった。

  • まあこういう物語の典型だなあ、と思いながら読んでいたら、最後に思いがけずあんなことやこんなことが起こって、読後感を良くする。いや最後の一ひねりは良かった。

  • おととい読了。短篇連作。
    短篇連作は、ずれを浮き彫りにして強調するのにいいんだな、と思う。みんなそれぞれに他人のことを観察し、自分に対しても他人に対しても見解をもっているのだけど、それが少しずつ、決定的にずれていて、そのずれは浮かび上がらされたまま、修正されることがない。一篇ごとに視点人物がかわり、しかも時間軸もあまり重ならないから、読んでるうち、どの見解が「本当の」姿なのかがよくわからなくなってくる。
    最初から四篇の不安定な終わり方がけっこう好きだったのだけど、最後の一編が、全部をまとめる感じにオチをつけていてちょっと残念。書き下ろしでつけたぶん、まとめる意識がはたらいたのかな。
    すっきりとした、風の吹く表紙絵がすてき。

  • YA向けのピュアな連作短編集。それぞれ周りには仮面をかぶりながら何かを隠し何かを演じている。見えないだけでそれぞれ複雑な悩みを抱え生きている、そんな青春時代。2013/321

  • 見ようによっては、古代の神殿のような風格で、思索にふける様子でもある。真夜中になると、そこが銀河鉄道のプラットホームの入り口になるのではないか、と空想したくなるほど、それは思わせぶりに謎めいて、存在を主張するのだ。
    の・ぼ・れ、と。
    オーケー、のぼってやろう……『夏の階段』
    ぼくは広い砂浜に立ち、打ち寄せる波をじっと見ている。ぼくは海に恋する一匹の蟹なのだ。おいでおいでと、はさみを振り上げ、海を呼ぶシオマネキ。
    寄せては返す目の前の波が、海のほんの一部だということも知らないで……『月の望潮』

    地方都市の進学校・巴波川高校、通称ウズ高。
    春、希望に胸膨らませてウズ高に入学し、一枚のプリクラに写った5人の1年生が織り成す淡い恋と微妙な友情を、ドライに甘酸っぱく描く連作短編集。

  • 浅い

  • 表紙に惹かれ手に取った。後にひく青春

  • 「大切なことは変わろうとすることじゃなくて気をつけることです」 でしたっけ 自分が滞ってしまう時、この台詞をいつも反芻します

  • 共感できる人とできない登場人物がいるけど
    それぞれの視点で描かれているから、
    それぞれどういう風に見えているかが面白い。
    みんな悩みを持っているけど、それが青春なのかな
    なんだか爽やかな印象の本でした。

  • 〈内容〉希望に胸ふくらませて入学した高校。でも新しいクラスメイトとは、まだまだ微妙な関係で―地方都市の進学校・巴波川高校、通称ウズ高を舞台に、5人の高校生が織りなす、恋と友情、未来への葛藤。ほんのり甘く切ない5つの連作短編。

  • 改めて読んで面白いなあと思った。ただ、登場人物の関係性とかをきちんと捉えながら読まないと「誰だこやつ」ってなる。いや、私なりかけた。

  • 文庫版よりこっちの表紙のほうがすき


    ブックデザイン/カマベヨシヒコ
    イラストレーション/佐々木こづえ

  • 進学校に入学したての
    高校生5人のお話。

    「夏の階段」
    「春の電車」
    「月の望潮」
    「雲の規格」
    「雨の屋上」

    の連作短編。


    アリエさんの独特な作風に
    はまっているこの頃*


    私は高校生の頃は、
    部活に熱中していたので
    正直、あまり勉強してません*><
    家に帰りたくなかったので、
    部活が終わっても
    ソフトテニスをしました。


    もっと勉強すれば良かった
    と本を読んで思ったのでした:)

  • なんかすごくリアルタイムすぎて既視感が…(苦笑)

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著者プロフィール

栃木県小山市生まれ。児童文学作家、YA作家。
法政大学兼任講師。
1998年、『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞し、翌年、単行本デビュー。
2004年、『ピアニッシシモ』で第33回児童文芸新人賞受賞。『ココロ屋』が2012年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれる。その他、『プラネタリウム』『わらうきいろオニ』(講談社)『スノウ・ティアーズ』、『きみの存在を意識する』(ポプラ社)など著書多数。

「2020年 『エリーゼさんをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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