夏の階段 (teens’ best selections 13)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 315
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591102756

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  • 巴波川高校一年生クラスメイト5人の物語。
    高校一年瀬の前半部分を5人の男女それぞれの視点で書かれています。5人は入学したばかりの頃に一緒にプリクラを撮った5人。でもグループという訳でもなく、たまたまそこにいた5人。そんな5人がそれぞれに語る高校生活はそれぞれの悩みがあり、ある人の物語に出てくる彼や彼女にもそれぞれの物語があるのです。
    視点が変わることでひとりの人物の印象がコロコロと変わります。おれやわたしが見るおれやわたし。彼や彼女が見るおれやわたし。それらが重なり合います。ピタリと同じところもあれば、大きく違うところもある。そんな重なりやズレが物語の奥行きを作り、人物を立体感あるものにします。
    また物語はある人物のある時間を切り抜いたもので、そこで何かが大きく変わるとかいうのではないのです。それでも高校一年生のある時間というのは本人にとっては大きいものなんですね。それでもある時間という瞬間よりも、その先の未来に向けて作者の目は向いているように思えるのです。だからこそ最後に何気なく示された変化が大きく意味を持つように感じたのです。

  • 巴波川(うずまがわ)高校(進学校・うず高)に入学した高校生たち5人の短編集。

    『夏の階段』石造りの8段ほどの階段。奇妙なのは、その階段の上に上りつめても、何もないのだ。純情階段に心惹かれて登ってみた玉木崇音(たかね)と遠藤珠生。玉木はそこから見えるある民家の窓辺の少女に恋をして・・・。

    『春の電車』進学校に入学したけど、みんなのテンポについていけないポエミーな緑川千映見(ちえみ)。

    『月の望潮』妹大好きで緑川さん好きな福田和麿(かずま)。ちなみに妹は不登校で遠藤珠生と知り合い。ちと理屈っぽい秀才タイプ美男子。

    『雲の規格』イケメンでモテてる男だと自分で思っている河野健治。ヒーローになりたいけど、空回り雰囲気イケメン。

    『雨の屋上』遠藤珠生(たまき)は、中学でいじめにあって不登校になっていた時期があったけど、高校ではみんなを観察し、いい人間関係が築けるよう、明るく八方美人的にも見える振る舞いをする。美人なので男子に勘違いされたりもするけど、内心はいい人になろう、昔の自分を乗り越えようと努力している。福田くんの妹には偽善者だと皮肉を言われつつも好かれていたりするけど、遠藤珠生が本当に欲していたのは・・・。

    どの短編もラストがさらっとしててまとめてないかんじがいい。

  • YA向けのピュアな連作短編集。それぞれ周りには仮面をかぶりながら何かを隠し何かを演じている。見えないだけでそれぞれ複雑な悩みを抱え生きている、そんな青春時代。2013/321

  • 表紙に惹かれ手に取った。後にひく青春

  • 「大切なことは変わろうとすることじゃなくて気をつけることです」 でしたっけ 自分が滞ってしまう時、この台詞をいつも反芻します

  • 共感できる人とできない登場人物がいるけど
    それぞれの視点で描かれているから、
    それぞれどういう風に見えているかが面白い。
    みんな悩みを持っているけど、それが青春なのかな
    なんだか爽やかな印象の本でした。

  • 夏に読みたくなります。日常の学生たちの世界だけどきれいな世界…!

  • どの登場人物も美化されてなくて
    人のどろどろした部分が書かれてるのが
    すきだなあ(´ω`)

  • 2010年7月21日

    ブックデザイン/カマベヨシヒコ
    イラストレーション/佐々木こづえ

  • さらっと読める高校生5人の恋愛・学園模様5編
    オムニバス形式
    精神内ヒッキー男、玉木メインの『夏の階段』もいいが
    イケメン河野メインの『雲の規格』が好みだな
    各編の半端とも思える終わり方が、人生途中の高校生という感じで好き

著者プロフィール

栃木県小山市生まれ。児童文学作家、YA作家。
法政大学兼任講師。
1998年、『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞し、翌年、単行本デビュー。
2004年、『ピアニッシシモ』で第33回児童文芸新人賞受賞。『ココロ屋』が2012年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれる。その他、『プラネタリウム』『わらうきいろオニ』(講談社)『スノウ・ティアーズ』、『きみの存在を意識する』(ポプラ社)など著書多数。

「2020年 『エリーゼさんをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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