空と海のであう場所 (ポプラ文庫)

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著者 : 小手鞠るい
  • ポプラ社 (2008年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591102978

空と海のであう場所 (ポプラ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 施設で出会った一組の男女が大人にであって再会し、別れ、
    再びつながりの糸をたどる物語り。

    心の扉を相手に向けて開けたと思えても、
    じつはその中には鍵のかかった小さな扉があったり。
    人は簡単に「自己開示」というけれど、開け方がわからない、
    そもそもどうすることが「開ける」ことなのか分からなかったりする。
    そんな自分に気づいていながらも、どうしようもなくて、
    一人でいること、誰にも束縛されず孤独でいることを「自由」とよんで
    自分の内側に鍵をかけてしまう。
    なんだかアラシの気持ちが良く分かる気がしました。。


    そんなアラシが二人をモチーフに書いた「泥棒猫と遊牧民」は
    心の悲鳴が聞こえてきそうなほど悲しく感じられます。
    それでも最後は二人を繋ぐ「魂の粒子」がとても輝いて、
    目に見えるようで、とても羨ましかったです。
    ムシの知らせとも違う、そんなつながりを感じられたら素敵だろうなぁ、と
    現実をみてちょっと切なくなってしまいますが、
    読後感はすばらしく温かいものでした。


    心の鍵の開け方を知らなくて、
    それでもその内側にあるものを相手に届けたくて。
    もがきながらも、それを相手に知られたくなくて。
    人がつながることの美しさを、きれいに伝えてくれます。

  • るいさんらしいタイトル。
    ストーリーもるいさんの作品だと知らなくても
    読めばわかる、とても”らしい”作品。

    イラストを描く木葉と童話を書くアラシ。
    偶然の出会いが二度あればそれは運命、
    なんてことを聞いたことがあるけれどふたりはまさに運命。
    木葉の大きくあたたかな心、強さ。
    アラシの弱さを太陽にあててふっくらした毛布で包むかのよう。

    あいだにはさまれる童話、
    アラシ作「泥棒猫と遊牧民」がとてもよかった。
    続きは?続きは?と気になってしまう。
    そして泥棒猫が遊牧民から盗んだものは何なのか。
    遊牧民のようなおおらかで外へ向けて解放しているような
    自然体な姿勢に憧れる。

  • 大阪出張中、梅田阪神の書店にて装丁が素敵でつい手に取ってしまった一冊。

    ちょうど人生に絶望を感じていた時期に出会えたことを感謝してしまうほど、私にもう一度生きていく力を与えてくれたフレーズがたくさん詰まっている。

    これからの人生の中で躓きそうになったとき、
    必ずこの本を開いて立ち上がるパワーをもらうような気がする。

    遊牧民と泥棒猫の話もとても良かった。
    ぐいぐいと読み手を惹きこむ力、そして心地良いリズムを感じた。
    ぜひポプラ社で大人向けの絵本として世に送り出してほしい。

    「奪うことよりも与えることのほうが、ずっと楽しいんだよ。奪えば奪うほど、奪った者は不幸になっていく。与えれば与えるほど、与えた者は幸福になれるんだ」

    「嘘と真実は表裏一体。
     信じれば、嘘でもほんとのことになる」

    与えて欲しかったら、まずは自分が相手に与えていかないと。

  • 普段あまり恋愛小説は読まない方ですが、この作品は好きでしたね。

    うつくしい恋愛小説、とでもいうべきか。かと言ってありきたりで単純な作品ではなくて。
    どこか幼さの影を残しながらも、反面決して幼くして抱え込めない、傷みを知っている大人の強さと心のゆとりが必要な、そんな二人のおはなし。

    読み終えた後のスーっと水のように染み込んでいく余韻が心地よかった。

    装丁もとても好きです。

  • 作家の有為とイラストレーターの木の葉の恋愛の話だけど、この本の中にもう1つ2人で作った物語があって、不器用な2人の気持ちはその中で素直に表されてました。普通の幸せな恋愛じゃないけれど、足りないものを補う恋愛のカタチでした。愛は受け容れるスペースを空けとかなきゃいけないんだとしっくりきました。

  • 愛するっていいなって思った。
    こういう風に人を思いたいなー。

  • 繊細すぎるアラシ。
    一途な葉っぱちゃん。
    胸がヒリヒリする話だった。

    自由と孤独よりも 一番大切なモノは
    愛しい人を 心の中であたたかく思い続けること
    なの...かなぁ??
    残念ながら、私はそれを知らないし
    アラシよりも怖がりなので 
    人に向き合うのは大の苦手だから
    これからも そんな機会はないのかもしれない。

    こんなにヒリヒリしたのは
    もしかしたら市川拓司以来かも。


    アガパンサスが次々と咲く表現
    今日は私 明日はあなた

    どきっとする表現
    胸の中で、無数の兎が跳ねる

    気持ちの90%はわけわかんないもので 出来ている

    恋しい気持ちをぎゅっと凝縮して
    濃い言葉にして 差し出す

    僕の人生は希望の物語のためにあるんだ

    好きな言葉がたくさんで 本が付箋だらけになったw


    小泉今日子書評集で、読みたいと思った本 1冊目読了♪

  • 美しい風景写真の表紙に惹かれて購入しました。切ない恋愛小説だと書かれていましたが、恋愛を忘れてしまうほどにアラシの心が繊細で複雑で、いろいろ考えさせられました。嘘をつく事、それか作り話を書くことで自分の盾を作らなければ生きていけない、そんなアラシに救いの手がありますようにと祈るような気持が湧いたり、アイルランドのシンボルであるシャムロックについてもリンクしたり…大切な一冊になりました。

  • ”好きな人のために、空っぽの器になりなさい”

    この文章にはっとさせられました。
    空っぽの器になること。
    相手をそのままのかたちで受け入れること。
    苦しみの真っただ中にいるとき
    こんな自分の辛さを理解してほしいと
    相手に求めがちだけど、ふとたちどまって
    相手の気持ちを受け入れることの大切さ。

    空っぽの器になることは
    自分を殺すことじゃないということ。
    泥棒猫が奪うことよりも
    与えることに安らぎを覚えたように。
    与えたり許したり受け入れたりすることが
    時に自分を軽くしてくれることがあるということ。

    大切な人にたいして
    空っぽの器で受け入れられるような
    そんな大きな器を自分の中に持ちたいと
    心から思いました。

  • りんごの木守り。

    心に深い傷を抱え、その傷を隠すために?忘れるために?自分の心すらも騙すために?嘘をつき続けるアラシ。

    そんなアラシが紡ぐ物語に、挿絵を描くことになった、元カノのこのはちゃん。

    りんごの木守り。自分のすべてを投げ打ってでも、守りたい、そばにいたい。そんなふうに想える人がいるということは。とても素敵なこと。

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