教科書に載った小説

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  • ポプラ社 (2008年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591103180

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教科書に載った小説の感想・レビュー・書評

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  • 佐藤雅彦さんの編集された、文字通り「教科書に載っていた小説」が12篇載っている本。
    佐藤さんの名は「ピタゴラスイッチ」でその昔知って、以来ファンになって色々な著書を読んできた。
    この一冊は、子供時代お父さんの書斎で国語の教科書を見つけ、時を忘れて次々に読みふけったという珠玉のような思い出から始まっている。
    それを、私たちにもお勧めしたくなったということなのだ。
    段落で区切ったり、主人公の気持ちを20文字以内で書く必要などない。
    大人になった今は、ただ作品世界に酔いしれれば良いのである。
    授業ではないのだから、一切構えることもない。
    どうか皆さんもこの幸福を味わって、なんて佐藤さんの真似をしてしまう私である・笑

    12篇には長短あって、決してそれぞれの作家の代表作とは言えないものも多い。  
    なのに、どれも名作揃いなのだ。
    さすが、選定する方たちの眼は確かなのだなと感心してしまう。
    何をもって名作と言えるのか、その定義は私にも判然としないが、全体に品の良い香りがあり、鮮やかな映像のように心に残るのだ。
    あとがきの佐藤さんの言葉を借りれば、【成長する道程に置いておくので読んでほしい、というかすかな願いが、これらの集合体から感じられた】から、ということなのだろう。
    歴然としているのは、中学生や高校生だった私がこれらの作品を読んでも、今ほどの感動はなかったということ。
    年をとるのも悪くはないのだ。

    亡くなった朋友との見えない絆を描く【絵本】は、今読んでも美しい一品だ。
    【父の列車】など、こみ上げる涙が堪えられなかった。
    当時は子供の立場で読んだものを、今は親の立場で読んでいる。
    衝撃的な【ベンチ】は、【あのころはフリードリヒがいた】という原作まで買って読んだのを思い出した。
    文学の薫り高い【雛】が最後にあるのも、いかにもの編集である。

     とんかつ (三浦哲郎) 
     出口入口 (永井龍男)
     絵本 (松下竜一)
     ある夜 (広津和郎)
     少年の夏 (吉村 昭)
     形 (菊地 寛)
     良識派 (安部公房)
     父の列車 (吉村 康)
     竹生島の老僧、水練のこと (古今著門集)
     蠅 (横光利一) 
     ベンチ (リヒター)
     雛 (芥川龍之介)

    皆さんはいくつご存知だろうか。
    私自身が一番良く覚えているのは、松下竜一さんの【潮風の町】と山川方夫さんの【夏の葬列】。
    佐藤さん、次はそれも入れて編集してくれないかなぁ。

  • 幼い頃からの本好きで、
    これまでたくさんの本を読んできたが、

    この本の読後、ふと、
    (大人になるにつれて・・・読み方がいやらしくなってきたかなぁ)
    なんて気がしてしまった。

    評価の高い本、
    長い時をずっと読み継がれてきた本、
    著名な作家が書いた本、

    なぞは、(面白くないはずがない)と、
    頭から決めてかかり、
    自分のなかに静かに沸き起こる
    (これ、難しくない?
    読むの、つらいんじゃない?)
    なんて声に蓋をし、
    全く気付かぬフリなんかして。

    佐藤雅彦氏監修のもとに集められた
    『教科書に載った小説』
    は、短編ではあるが、
    どの物語も、どの小説も、読んでる時間がとにかく楽しかった。

    あとがきにあった
    「難しくてわからないものや、つまらないものはどんどん飛ばし、
    面白い読み物だけを貪る様に読んだ。」
    という、
    佐藤氏が幼い頃経験した高揚感を
    きっと、誰もが同じ様に体感できるはず…と、思う。

  • 目次を大学生の子供達二人に見せたが、どれも知らないと言う。私も一つも知らなかった。
    ここにこうしてまとめてくださったからこそ読めたわけで、これらの作品との出会いに感謝。

    二作ほど個人的に「だから?」と思うものがあったが、それ以外は中高生ではない現在一応大人の私には面白く読めた。
    その中でも特に「絵本」「父の列車」は静かで地味な書き方でありながら、こみ上げるものがあった。
    菊池寛の「形」は、戦国時代を描いているが現代にも充分当てはまる内容で、短いのに深くインパクトがある。

    ただ、現代の自分が感動したこれらの作品を、中高生の時の自分が教科書で読んでもなんとも思わなかったと思う。
    教科書とは所詮強制的に読まされているものだからなのかとも思うが、読書家でない娘が小学生の時にたった一度だけ「テストの文章が面白く、この先を読みたくなった」と言ったこともある。

    自分にとって適当な時期に適当な作品と出会うことは「運」という他ないのかもしれない。

  • 文字通り「教科書に載っていた小説」

  •  タイトル通りのアンソロジー。国語の教科書の充実っぷりに今頃になって気付く。
     ただ永井龍男の「出口入口」は二度読んでも難しい…。要再読。

  • 電子書籍が増えていくなかで、手にしたときの重量感や手触りをはじめ、字体、行間隔、余白バランス、紙の色合いなど、読む媒体として長い歴史を経てきた紙の本について、読んでいて疲れず読者の目に優しい、本の本来的な姿が徹底して求められた結果、「読む」という行為が大好きな人の心をくすぐるような、究極の造本となって表れているように思えました。

    手に取った瞬間、そして読み終えた瞬間、心が暖かくなるとともに、編者の佐藤雅彦さん、装丁の貝塚智子さんをはじめ、この本づくりに携わった人のこだわりと英知と、小品だけど良質な小説作品へのリスペクトが伝わってきました。

    実は私(昭和41年生まれ)も、国語の教科書に載っていた小説で大好きだったものはあるのですが、残念ながら、表題を忘れたり、一部記憶が薄れたりして、今改めて読みたいと思っていても、検索する糸口すらわからない作品もあります。

    私が印象に残っている作品のうちの1つは歴史物で、2人の能面師の物語です。
    時の権力者が2人に当代唯一の能面師はどちらかを競わせようと、面づくりを命じます。
    2人とも悩みますが、1人は自分のことを心配してくれる老母の表情を見て優美の表情とはこれだと気づき、それを面に刻み、微笑みの面を完成させます。
    もう1人の能面師は、その能面師が面を完成させたとの噂を聞き、完成した微笑みの面を借りて来て見たところ、あまりの完成度の高さに「到底勝てない」とおののき、悪魔の囁きにより鑿(のみ)で面を打ち割ろうとします。
    しかしその表情を自分の子どもに偶然見られてしまい、「鬼だ、怖い」と叫ばれてしまいます。
    自分の愚かさに気付いたもう1人の能面師は思いなおし、自分自身の嫉妬や醜い心をそのまま原木に打ちつけるようにして、怒りの面を完成させます。
    時の権力者は2つの面を見比べ、甲乙つけがたく、そして2人を競わせ1人を選ぼうとしたのは無意味だったと気付き、2人とも当代の名人として後世に語り継がれるだろうと改めて思った、という話です。

    もう1つ印象的だったのは、これは今でも有名ですが「最後の授業」です。
    この本の収録作品「ベンチ」と同様、翻訳作品です。
    戦争でプロイセン(ドイツ)領となったフランス・アルザス地方にある学校の仏語教師がこれからはフランス語を教えることが禁止されるという状況で、授業の最後にフランス語で黒板いっぱいににフランス、アルザスと書くことが精一杯だったけれど、子どもたちには先生の想いが伝わった…という話。

    あー、こうやって書いていると、次から次から頭に思い浮かんでくる。
    佐藤さん、教科書に載っていたけど現在手にするのが難しい優れた小説はまだまだいっぱいあるはずだから、1作だけと言わず、ぜひ次作、次々作も手にしたいです。無理なお願いでしょうか?
    (2013/8/17)

  • どれも教科書で読んだ覚えはないけど、国語の教科書は楽しかったな。自分じゃ全然見つけられない人も知れて。これの安部公房はおもしろかった。

  • 名前も聞いたことのない作家の非常に地味な小説が何故か頭にこびりついて離れない そんな不思議な小説が国語の教科書にはたくさんありました

  • CMでは、ポリンキーやバザールでござーる。他に、だんご三兄弟やピタゴラスイッチを手がけた佐藤雅彦さんが、教科書に載った本から幾つか選び、一冊にまとめた本。
    あとがきを読んで共感したのは、国語の教科書をむさぼるように読んでいたことである。
    国語の教科書をもらったその日に、初めから一話ずつ読むのが大好きだった。ちなみに、私は無類の本好きではない。今でも、そこそこ好きな程度である。
    思えば、教科書の小説は短編で読みやすく、いろいろ読めて楽しかったのだと思う。この本は、教科書を読んでいた頃を思い出させてくれる楽しい本だった。
    あんなに読んだ教科書なのに、あまり覚えていないのが悲しいかな。きっとこの本で読んだ小説もそのうち忘れるだろう。なので、あらすじと感想を備忘録として残す。この作業もなんだかな。

    とんかつ : 三浦哲郎 ★★
    息子が修行僧に行く前の晩に、息子の好物のとんかつを食べさせる母親。一年後、息子が怪我をしたので、同じ宿で待合わせをし、とんかつを用意する母親と宿のおかみさん。
    残念ながら、深く考えずに読んだ私にはピンとこなかった。理解力が足りないせいか。
    息子は僧なのにとんかつ食べたかな?

    出口入口 : 永井龍男 ★★★
    お通夜での靴の取り違えの話。
    もしかしたら、読んだことがあるかもしれない。オチが小気味よい。ダメ人間はすべてがダメな行動をとる。

    絵本 : 松下竜一 ★★★★
    12年前に死んだ友達から、自分の子供に絵本が届く話。
    悲しい中にもユーモアがあり、心暖まる話だった。

    ある夜 : 広津和郎 ★
    とある夜、大嫌いなゲジゲジ虫の動きを観察した文が続く。翌朝、ゲジゲジ虫は死んでいた。
    「あの動きは、死ぬ間際で力がなかったのであったことを了解した。」という文で終わる。
    うーん。何が言いたいのかよくわからない。ゲジゲジ虫の様子が気持ち悪く、流し読み。

    少年の夏 : 吉村昭 ★★★
    父の趣味は、庭の池の鯉。ある日、隣の子供が池に落ちて溺死する。池を潰すことを決める父。夏に起こった出来事を、息子の目から見たお話。
    父、母、少年の気持ちの描写が上手で、話の展開の仕方もテンポが良かった。
    とはいえ、気分が暗くなるお話なので★3つ。

    形 : 菊池寛 ★★★★★
    槍の名手がいつも身につけている陣羽織と兜を若武者に貸した。翌日の戦いで、若武者は大活躍。槍の名手は、奮闘したのにもかかわらず、負けそうになり、貸したことを後悔したその瞬間、敵の槍に腹を刺された。という話。
    とても解りやすくて、好きだ。人は実力だけではなく、形にも大きく影響されている。

    良識派 : 安部公房 ★★★★★
    昔、ニワトリはエサを取りに行くのがとても大変だった。人間が現れて、エサもやる。小屋も作ってやる。と言った。ニワトリ達は話し合い、ニワトリの良識派の意見がとおり、自ら進んで檻へと入って行った。結果、人間の家畜となって今に至る。 という、話。
    良識派 の意見を取り入れたのにこの結果ww 読みやすく、解りやすく、面白く、為になった。良識派は多数派、楽観派、揉め事回避派。いろんな解釈ができるところ良い。これからも教科書に載せて欲しい本です。

    父の列車 : 吉村康 ★★★★
    出兵中の父が隣町の駅に立ち寄るという情報を得た家族が、急いで峠を越えて会いに行く。列車が通過する中、運よく手紙を受け取ることができた。その後、父は生きて帰ってくることはなかった。
    戦争中の家族愛や絆が描かれている良いお話。

    竹生島の老僧、水練のこと : 古今著聞集 ★
    竹生島に巡礼に行った子供達が、ここの僧侶は水泳が得意だから見てみたい。と言ったが、寺の若僧達は出払っていた。船で帰ろうとしたところに、老僧が海を歩いて渡って来て「若僧がおらず、子供の期待に答えれなくて申しわけない。」老僧達からの伝言だと言って帰って行った。これに勝る水泳があるだろうかと、驚いた。 という、話。なのかな?
    古文なので読みにくくて、解釈もあってるのかすら微妙。 古文。何十年ぶりだろか?

    蝿 : 横山利一 ★★
    馬車に乗る人達と一匹の蝿。最後は呆気なく、馬車の事故で終わり、蝿はゆうゆうと飛び立った。
    馬車に乗るまでの話があって、最後のオチが引き立つのはわかるけど、馬車に乗るまでが長くてダレちゃった。

    ベンチ : リヒター/上田真而子 ★★★★★
    少年の恋愛話と思いきや、ユダヤ人迫害の切ない物語。
    まんまとやられた。少年の語り口が、差別や迫害が当たり前のように明るく語られているところが切なさを増す。
    ベンチは、「あのころはフリードリヒがいた」に収録された短編らしいので、この本を読みたいと思った。

    雛 : 芥川龍之介 ★★
    ある一家がお金を工面するために、雛人形を売ることになる。売る前に一目見たいという娘に対して、お金は受け取ったのだから開けるなという父。しかし、売る前日の夜中に、父が一人で雛人形を、並べて見ているのを目撃する少女。 で終わる。
    読みやすくて、話に引き込まれるものの、何が言いたいのかよくわからなかった。父が雛人形を手放すことに寂しさや虚しさを感じていたのか? 娘の落胆を伝えたいのか?

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佐藤雅彦が編んだ本。名作12篇。

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