- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591103494
感想・レビュー・書評
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古書店を巡りながらの読書ガイド本だが、構成がたいそう興味深い。
岡崎武志さんが古書及び古書店の師匠。
その弟子の角田光代さんが、師匠のミッションを達成しながら古書道にまい進していくというのが、この「古本道場」。岡崎さんの解説と角田さんのレポートは書体が変えてある。
写真も随所に配置され、「猫ストーカー」の浅生ハルミンさんの地図で目指す古書店の位置も分かるようになっている。
楽しくてたまらないのは、新たなミッションの旅が新たな発見の旅にもなっていて、まさに自分もその場にいるかのような感覚で読めるところだ。
およそ古書店に足を運んだことのある方なら、何度も頷かないではいられないだろう。
最初の指令は「神保町で、子ども時代に愛読した本を探せ!」である。なんと粋な指令だろう。
達成後は、訪れた古書店と入手した古書について岡崎さんが解説するという構成だ。
造詣の深い岡崎さんの語りが、なんとも面白い。
思わず笑ったのは、渋谷に行くという指令のあとの角田さんの言葉。
「ああ、なんという試練だろう。渋谷は、私が世界中で最も苦手な町である」
おお、私もですよ、角田さん。でもちゃんと行ったのはさすがです。
銀座で方向音痴の苦しみに遭遇し、早稲田通りでノスタルジーを味わい、青山・田園調布で昭和初期の豊かさを再発見し、ホームの西荻窪で均一台を狙い、鎌倉まで足を延ばして(ここでは米原万里さんのお宅にお邪魔している)再び神保町へ。二度目の神保町は「もう、こわくない」のだ。
約一年かけた道場での修行で、いつの間にか師匠超えを果たした角田さん。
特別編では海外の古本屋さんにも足を運んでいる。
「ガープの世界」をガイド代わりにウィーンの街を散策するなんて、羨ましくてヨダレが出そうだ。(映画版はロビン・ウィリアムズだった・・涙)
特に印象的だったのは、早稲田通りの「平野書店」での一場面だ。
最底辺の無知に甘んじていた頃の不安と心もとなさを、棚の前で述懐する。
知識の分厚い壁の前で無力さに打ちひしがれていた頃。
そして、何を読んだら良いか分からないときはここへ来ればよいと語る。
ここが、とてもとても良く分かる。まさに私もそうだった。今もさして変わらないが。
もうひとつ。青山の「古書日月堂」でのこと。
古書店に売られている古書以外のもの。昔のぽち袋だの包装紙だのポスター、パンフレット、黄ばんだ絵葉書などにたまらなく魅了される場面。
ああ、ここもすごくよく分かるなぁ。
見知らぬ誰かの大切な歴史の一片に触れたかのようで、素通り出来ないのよね。
誰かが一度は読んだ本たち。だからこそどことなく親しみがあって懐かしくて、「おいで」と手招きされているような感覚になる古書店と棚の古書たち。
誘われるがままに出向きたいが、今はその時ではない。
規制が解除されても問題は山積みだろう。真の解決はいつのことやら、だ。
でもどれほど先であろうと、そしてその時私がこの世にいようといなかろうと、この本をガイドにどなたかが古書店を訪れて下さることを願っている。
それまで、古書店には大きなエールをおくりたい。
その先にある幸せのための、先行投資のレビュー。 -
nejidonさんのレビューを読んで古本の世界が知りたくなり、借りてみた。
角田光代さんが、岡崎武志さんからのお題をクリアすべく、都内近郊の古本屋を訪ね歩く。
「古本」というとなんだか通な響きがして、年を取るほど敷居が高く感じてしまうのは、私だけだろうか。
そんな人には、角田さんの素人目線の語り口が、敷居をグンと下げてくれる。
米原万里さんのお宅を訪ねた話も出ていて、すごく得をした気分になった。
古本と言えば、神田界隈と思っていたが、高級住宅街の田園調布や荻窪などにも個性的な古本屋さんがあることが分かる。
本の窓口は図書館、の私だがコロナが落ちつたら古本屋巡りもしてみたい。
2020.4.26 -
図書館で偶然手に取った。角田さんの作品にハマり込んでいたから。
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古本の世界に足を踏み入れたくなった。
直木賞を受賞する前の若かりし頃の角田光代さんが、弟子という立場で東京と鎌倉の古本屋さんを巡る様はどことなく眩しく、キラキラしている。
『古本屋が媒介となって、縦横無尽に広がる知識の糸』とは、何とまぁ素敵なフレーズ。
それにしても、本書にはたくさんの文豪が出てくるのだけど、全然知らない。初めて名前を聞く人はがり…。自分の無知さを痛感した。
わたしも古本道場に弟子入りするかな。 -
①自分が好きなものが絶対。それがどんなに安くとも(高くとも…)一向に構わない。
②古本屋の本は全部店主の所有物。丁寧に扱え。
③買い逃したら次はなし。
④古本ファッション
濡れた傘とコートはダメ!大きなバッグやリュック入り口に置いておくべし。
⑤万札避けて小銭を用意! -
なかなか楽しい本でした。
確かに古本屋がある町は素敵だと思う。暇な1日、ぶらっといって半日くらい棚を眺め時間を潰せれば最高。最寄りの駅に二件くらい有ればなお良い。
自分の住んでいるまちの駅には、古本屋どころか、まともな新刊書店もない。本書で紹介されている古本屋も、自分がかなり利用した、東京駅、銀座界隈の古本屋も粗方無くなってしまった。寂しい限りだ。
学生の頃は、もう30年以上前たが、古本街に毎日通っていながら、本好きだったにもかかわらず、殆ど利用しなかった。今思うともったいない事をしてた。
現在は日々増殖する本と、妻との戦いに明け暮れているが、また、この本を片手に知らない町を歩きたい。 -
「師匠」岡崎武志が「弟子」の角田光代へ、各地の古本屋街へ行くように指令を出す。角田は鋭い感性で次々と岡崎の意図を見抜いていく。角田の鋭さと岡崎の懐の深さが絡み合っていてなかなかスリリングだった。これをもって古本屋街を巡ってみたい。
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ラストの世界古本屋巡りが好き(´ε` )
各国を飛び回る角田さんの古本力は師匠越えしてると思うんだ。
師匠の文章やノリがキッチュで頂けない。キッチュな古本屋たちがキッチュに紹介されていて、ぜひ寄ってみたくなる。
一体どういう意味何だろう?・・・調べたら負けかなと思ってる。
渋谷が皆に嫌われていて悲しい(´;ω;`)
コメントありがとうございます。
いえいえ、いくら何でも褒めすぎです。
「図星だ!」にはつい...
コメントありがとうございます。
いえいえ、いくら何でも褒めすぎです。
「図星だ!」にはつい喜んでしまいましたが・笑
私の方こそ、hiromida2さんのレビューをいつも楽しませてもらってます。
私も映画ブログというものを運営していたのですが、ブログサービス停止と共にやめてしまいました。
ブクログの存在さえ知らなかった頃の話です。
こちらでは読んだ本だけ載せていますが、映画好きであることに変わりはありません。
これからも、楽しい作品に出会いましたらどんどん紹介してくださいね。
必ず読みますから!! ありがとうございました!
あたたかいコメントありがとうございます。
こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。こんなご時世ですが...
あたたかいコメントありがとうございます。
こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。こんなご時世ですが、何とか人間の良き知恵を信じて乗り切っていきましょう。nejidonさんもお体に気をつけて……ありがとうございました。また本棚覗かせて頂きます(^O^)
人間の良き知恵を信じて・・素敵な表現ですね。
嫌な気分になることばかり意...
人間の良き知恵を信じて・・素敵な表現ですね。
嫌な気分になることばかり意図的に取り上げるメディアには日々うんざりしています。
世の中を混乱に陥れて、そしてそれに迎合する人たち。
これでは戦争中と変わらないではありませんか。
せめて私たちは賢くありたいものです。
やるべきことをやって、穏やかに過ごす。今は忍ぶときです。
共に頑張りましょう。お身体大切にお過ごしくださいね。