かなりや

著者 : 穂高明

• ポプラ社 (2008年11月1日発売)

作品紹介・あらすじ

科学用語や仏教説話を織り込みながら、止まった時間が再び動き始めるまでを綴った連作短篇集。

感想・レビュー・書評

[ありんこゆういちさんの感想 · 2019年10月20日]

地道にいい本を書く人です。派手なものは書かないので知る人ぞ知るという状況になってしまっているのが残念です。

心に色々なものを抱えていて、それぞれ解決に至るには人生そのものの長さが必要な場合もあると思います。それこそ一生解決しないものも。
一人一人の悩みは解決しませんが、ほんのりと先に光が見える。そんな連作集です。
DV、ネグレクト、パワハラ、パニック障害等色々な要素を盛り込みながら、暴力的な部分は無く静かな静かな雰囲気で進んで行きます。
ファンタジックな要素が下敷きに有るんですが、全体としては現実的要素の方が大きいのでそういうのが苦手な人でも気にならないんじゃないかなと思います。

[hyoshi52さんの感想 · 2013年3月29日]

祖父母が亡くなり、田舎へ母親と引っ越してきた高校一年生の「サチ」、お寺の息子「広海」による、ちょっと不思議な優しい物語。虐待、身体障害、パニック障害など、悩みを持つ人々の気持ちがわかります。所々で物理、医療の話が挿入され、生死の境界が不思議な世界で描かれます。「悩みの先には希望がある。ちゃんと自分を見てくれている人がいる」そんな温かなメッセージを感じました。もっと、たくさんの人に読んでほしい作品です。悩みを抱えている人にオススメ。

[ミントさんの感想 · 2020年8月12日]

祈り、想い。
穂高明作品、今回も静かで力強い物語でした。
装丁も素晴らしい。

[mayasmrさんの感想 · 2019年8月4日]

生きにくさを感じている人たちを不思議な世界観で描いている連作短編集。相互に関連があるので、一つの話として読める。息苦しさを感じるところもあるけど、優しさや美しさを感じるところもある良作でした。

[ぷくさんの感想 · 2018年12月30日]

優しい世界が広がってて和みました。
大和尚さんや長谷川先生が自分の近くにも居てくれたらと思いました。
P210の、自死を選択するほど苦しんでる人に「生きていればいいことある」とか無責任なこと言えないというフレーズが強く印象に残りました。
つい先日もTVか何かでこのフレーズを聞いて、人の気も知らないで…と思ったし、今までも何度か聞いてきたフレーズで好きではなかったので心にすっと入ってきました。

[ななこさんの感想 · 2017年3月1日]

http://nanaco175.jugem.jp/?eid=1864

[フェルトさんの感想 · 2016年3月11日]

　話し手が次々と変わり、一周回って戻る。そんな感じです。
　やはり最初に登場する女の子が、その後どうなるのか気になってしまいます。その子の欠片を拾う感じで読み進めました。暗く沈んでしまう気持ちが最後にぱっと明るくなりました。読後がいいです。

[643096さんの感想 · 2016年1月11日]

繋がるとは思わず・・・
最後はホロリと
いいお話でした

[dolce02さんの感想 · 2015年12月17日]

母親とともに東北へ引っ越してきた女子高生のサチ。
近所の寺の息子、同い年の広海と出会ったことでサチは日常のなかに安らぎを見つけるが、彼女には深い心の傷があった。
生きることや死ぬことをあたたかな目線で描いた短編連作。

＜収録作品＞
第一章・アポトーシス／第二章・インピーダンス
第三章・アグデブルグの半球／第四章・シュレーディンガーの猫

[yunahojoさんの感想 · 2015年6月29日]

穂高明作品初読み。
分厚い本が続いたのでちょっと薄めの本を（笑）
心に傷を持った人達を助ける祖父と孫。
どうにもならないと思い込まないでという作者の祈りがこめられたような一冊。
ちなみに私もコンビニおでん買えない派です（笑）
賞味期限よりも蓋せず掃除とか、おでんの鍋のそばで喋った時のつばとか考えたら無理無理無理絶対無理ε≡≡ﾍ( ´Д`)ﾉ

著者プロフィール

一九七五年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。二〇〇七年『月のうた』で第二回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。同作は、傑出した筆力を書評家などから絶賛された。他の著書に『かなりや』（ポプラ社）、『これからの誕生日』『むすびや』（双葉社）、『夜明けのカノープス』（実業之日本社）がある。

「2019年 『青と白と』 で使われていた紹介文から引用しています。」