- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591106099
感想・レビュー・書評
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連作中編4編。ある特殊な能力を持った高校生男子を根っことして、そこにつながる四人の心温まる再生物語。読後感の良さは秀逸。「連作中編4編」と言う形式は前作「月のうた」と同様で、なにかこだわりでもあるのでしょうか。
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二回目読了。
やっぱりおもしろい。
ああおもしろい。
量子論すごい。
広海かっこいい。 -
表と裏、見えるものと見えないもの。
光と影、そして、生と死
それは、別々のもんじゃなく、相容れないもが歩み寄って
ひとつの世界を作っている・・・・
か。
きれいな表紙につられて借りた一冊だけど
とってもいいものに出会えた。
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読んだあとに、この表紙を見るとね。
「あぁ~!!!、そっかぁ~~!これか~~!」
って、発見。さらに、感動。 -
とても良い作品です!
扱っている題材は重いのに、周りの人々の優しさが本当に温かくて、読んでいて、心が洗われる感じがしました。
物理を選択しなかったので、物理はちんぷんかんぷんなのですが、「アポトーシス」など、とても興味深かったです。物理を勉強したくなりました。
広海くんは格好良いですし、サチはとても綺麗です。
自分で気づかないうちに誰かの力になれる人たちです。
私もこんな人になりたいなと思いました。 -
かなりよい。
まだ気持ちがまとまらないけれど、読むことで清められて行く感じがする。
安易に「癒し」なんて言葉で汚されてしまいたくない、そんな一冊だ。
科学か宗教か。
アプローチの方法はどっちでもいい。
ただ人々は自分の中の落とし所を見つける方法を探しあぐねているだけなのだ。
ああ、また夜が明けてしまった。
そう悔やむ主人公の焦りがとてもよく判る。 -
第2回ポプラ社小説大賞、優秀賞受賞後の第1作!母親から虐待を受けていた高校生のサチ、就職活動がうまくいかずスーパーで働く俊二、パニック障害を抱える知代、妻とうまくいかず医師としての将来にも悩む長谷川…自分のことを肯定できずに思い悩む4人が再び歩き始めるまで。科学用語や仏教説話を織り込みながら、止まった時間が再び動き始め、4人が自分自身を受け入れ道を開いていく様をつづった連作短篇集。
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たぶん、穂高 明さんの本は初めて読んだのですが、結構好きかもなぁという感じでした。個人的には途中の病気の説明とかはちょっといらないかなぁと思いますが。他にどんな本を書かれているのか気になります。
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広海君が河を渡りたくなっちゃったひとを、つれて帰るお話。あったかいです。
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2008年12月16日購入
個人的には非常に注目している作家さんである。
今回も非常に面白い。
興味の方向性が似ているからだろうか?
自殺をテーマにしつつ透明感のある物語をつづっていて
しかもあの世というテーマが出てくるのに
それほど不自然な感じがしないのはすごいことだと思う。
物理学や科学の説明がちょこちょこ出てくるのだけれど
現実とリンクさせて説明しているので
非常にわかりやすい。
伊坂幸太郎のようにカメラが切り替わるのではなく
独白の主体そのものが切り替わるのだが
これが書けるのはやはり作家の力量だと思う。
小沼丹のように「いかに書かないか」みたいな方に行くと
話に深みが出てくるのかなあとは思うが
どちらにしろ今後も非常に楽しみである。 -
東北の地方都市を舞台にした短編集だ。
精神的に不安定な母親と過ごす少女サチをはじめ、ぎりぎりの崖っぷちで風に煽られながら生きる人たちの姿を描く。
前作『月のうた』に比べると、登場人物の抱える傷みの描かれ方が少し安易に流されている気がしないでもないけれど、人と人との関わりに救いを見出そうとするやさしさを感じる。
鈍感に、何もかもをアリとできない人々のささやかな物語だ。