きのうの神さま

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著者 : 西川美和
  • ポプラ社 (2009年4月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591109236

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きのうの神さまの感想・レビュー・書評

  • 短編作品なのに、連作小説のよう。

    それは田舎特有の閉塞感はどこも同じということなのか。
    ほんの少しの毒というかきれいごとだけにはしない西川美和さんはさすがです。
    そして、人を看取る。生きていくという根源的な何かが、それは最先端の医療だけでは割り切れないし太刀打ちできないものがある。
    そんな力強さも同時に感じた1冊。

    写真:小林亜佑
    装丁:西村美博 福地掌
    2009年 ポプラ社

  •  図書館より

     医療関係者をテーマとした作品を5編収録した短編集。

     この本の著者の西川美和さんは映画監督、脚本家もされている方ですが、小説もすごいんだなあ、と改めて感じました。

     各短編の描写力、特に心理描写の書き込みはいずれも鋭いです。西川さんの映画は見たことないのですが、映像と文字、そうしたメディアの違いをしっかりと意識して、人間の心理に迫ろうとしているのだな、ということが読んでいて伝わるような気がします。

     離島や田舎の医者と、患者の関係性を描いた「ありの行列」と「満月の代弁者」
    主人公の医者の人間性や人生を浮かび上がらせつつ、患者やその親族の思いも、それぞれの言動から浮かび上がらせます。

    「ノミの愛情」は名医と結婚した元救急病院の看護婦の話。子供たちの命を救う夫。彼を影ながら支えることを良しとしながらも、どこか物足りない様子の妻。その妻の物足りない心情を、日常描写と綺麗にシンクロさせ、そして最後の幕切れも鮮やか! 

     どの短編もそうなのですが各作品、主人公だけでなく、いずれの登場人物もしっかりと表情が浮かんでくるのが印象的です。そうした人物描写も非常に巧かったです。

  • 映画「ディア・ドクター」では語りきれなかった、エピソードや人々の生き方を短編集にしたもの。
    同名の短編も入っていますが、ドクターの弟目線で全然違う物語でした。ドクターの背景が分かる感じです。

    僻地の医療がテーマですが、終末医療の問題についても考えながら読みました。
    死という定点へ向けて下降線を辿り始めたものを、その傾斜の形を狂わせて一時的な回復に導き、生きながらえさせることが自然なことなのか。
    あと10年生きたらどうしよう。
    介護によって人生を自由に選べない家族だけでなく、本人だって心苦しく思っている。

    読んでも最後に答えがある訳では無いけど、一筋の光が指す程度の展開が期待出来る終わり方が多いので、読後感はいいです。

    やはり感情が発露する時、本性が出るようなシーンが印象的です。ギラギラしてる感じ。

  • ディアドクターの原作本。
    離島の医者たちの姿、医者の家族の姿、患者の気持ち、都会へのあこがれ、様々な視点から綴る五話の短編小説。
    ディアドクターの映画が見たいです。

  • 映画監督でもある西川美和の小説短編集。
    じわじわと毒のようにしみ出てくる田舎の閉塞感が淡々と冷静な眼差しで描かれる。
    するりと頭に入ってきて読みやすいのだが、西川美和監督の映像作品に比べると全体的にはわりと凡庸な印象。

    ただ、作中で一番最初に入っている『1983年のほたる』という話だけは抜きんでて良かった。小説ならではの不思議で箱庭のような世界観が味わえる。

  • 親子でも夫婦でもちょっと親しい間柄でも何かしら心の葛藤があるもんだ。それを心の奥底にしまいつつ生活する。そんなもの。
    心の不思議な部分を刺激される作品が多いように思う。西川美和さん。

  • 文字から映像がものすごくリアルに浮かび上がってきて驚いた。以前見たことがあった情景だったろうかと少し怖くなったくらいだ。作者が映画監督だからだろうか。

    「1983年のほたる」の一之瀬時男には凄まじい色気を感じたし、「ノミの愛情」の主人公のゴールデン・レトリーバーへの罪悪感は自分も似たような感情を抱いたことがある気がした。小説でもあり、映画でもあるような。「ディア・ドクター」もとてもよかった。この話が一番好きだった。次は「1983年のほたる」。ほかの小説もぜひ読みたい。

  • 映画「ディア・ドクター」の監督が、僻地医療を題材にしようと取材をかさね、映画に入りきれなかったエピソードなんかをおこした短編集。
    個人的には「ディア・ドクター」が一番良かった。兄は父親が大好きだったが、父は弟である自分の方にナチュラルに接してくれていた。しかし父が倒れたと連絡が入り、病院で久しぶりに再会する兄弟。弟の「お兄ちゃん、もうお父さんはいいの?」のモノローグがグッときたのよ。

  • 先日、西川美和さんの「きのうの神さま」を読みました。

    映画監督の西川美和さんが書いた、自身の監督作「ディア・ドクター」関連の小説で、直木賞候補作でもあります。

    で、西川美和さんが「ゴロウデラックス」に出たときに、今作を、「「ディア・ドクター」を撮るときに、取材して得たネタがいろいろ残っていて、それを小説化した」みたいなことを言っていて、たしかにその言葉の通りの作品で、「ディア・ドクター」っていうタイトルの話もあるんですけど、「ディア・ドクター」とは、直接関係ない作品でした(テーマが、医療関係だっていうところは、共通してますが・・・)。

    あと、一見連作短編集っぽいんだけど、それぞれの話につながりがあるような、ないような、といった感じで、連作短編集ではなく、短編集といった感じでした(それぞれの話につながりがあるのかもしれないけど、僕はいまいちつながりがはっきりわかりませんでした・・・)。

  • 2016.5 市立図書館

    西川作品は、たぶん読むの二作目?
    (昔、映画「ゆれる」にはまり、小説も購入。)

    短編集。
    サクサク読める、という軽い感じではないのだけど、嫌いではない。
    (軽くはないけど 、引き込まれて二時間位で一気読み)

    少し暗い?・・というか、内向的 ・・?な独特な雰囲気。

    映画もみたいな。

  • 僻地医療をテーマにした短編集。でも、きのうの神さまという話はない。
    ディアドクターは映画とは違った話だった。医師をしている父親に、恋い焦がれていると言ってもいいほど思っている兄とそんな兄を優しく(?)見ている弟の話。医療の話とはまた違うけど、面白かった。

  • 「ノミの愛情」がシュールで結構好きでした。
    「1983年のホタル」もいいかも。

  • きのうの神さま

    「1983年のほたる」
    けったいな場面で終わるんやな…
    この人の文章ぽいわぁ
    小さい頃に育った地元が
    なんとなく嫌いな時期って
    確かにあるわなぁ

    「ありの行列」
    離島って
    島国日本よりさらに島国なんだよね。
    大変だよねぇ~
    って人ごとに云える楽さ。
    今の環境の幸せ。
    でも、島国。

    「のみの愛情」
    繋がれているって、
    縛られているのか守られているのか。
    そんな事に執着しちゃちゃー
    身動きとれないんだろうけど。
    それも幸せ、かも。

    「ディア・ドクター」
    兄弟を、また描いているよ、西川さん。
    それも親を絡めて。
    なんか微妙な関係を描いてる、本で。
    兄の気持ちにもなれるし、
    弟の気持ちもわかるし。
    父の気持ちもなんとなしに解る気もするし。
    読んでて苦しい。
    でも、ちょっとすっきり、うれしくなった。


    「満月の代弁者」
    日本は意外に広いから
    都市に、大学病院ばかりに、人気の科ばかりに
    集中しないで
    って思わなくもないけど
    やっぱ、自分が大切で
    少しでも楽して実入りがいい方がいいもんなぁ。
    それが現実かぁ?!

  • 5篇の中では「ディア・ドクター」がベストでした。

  • 時にふっと湧くおそろしい感情を美しいことばで綴る。だから心地よい。そんな感情に苛まれながらも、生きてゆく人々が愛おしい。

  • これは読んでよかった。映画、まだみてないけど、短編集として十分よかった。

  • ゆれる、ディアドクターがとても良かったので気になっていた西川美和。
    初めて小説を読んでみた。
    とても丁寧な、というよりしつこい位のの心理描写が際立っている。敢えてそういうことを書いちゃうわけ~?!みたいな、だれもが潜在的に持っているであろう、人間としてのいやらしさ、弱さみたいなものが、これでもか、と描かれている。
    リアルなんだけど、暗すぎるわけじゃなくて、スラスラ読めた。

    とても肯定的な空気感で溢れてる、ディアドクター、満月の代弁者。が好き。

  • この作者は才能あふれる人だな

  • 医者に関係した人が主人公の短編集。文は際立っていたと思う。凛とした空気感があり、それを感じる為に集中を強いられた。

  • 「ゆれる」を観て、文字通りぐらぐら心が揺れるような怖い思いをしたので、
    西川美和監督には関わるまい、と思っていたのだが
    読んでみるととても良かった、医療にまつわる短編集。

    一番好きなのは「1983年のほたる」で、
    少女の永遠のような一瞬のような時間を、
    まるで私も彼女と同じバスに乗っているかのように読んだ。
    文字から闇夜や教室をまぶたの裏に映す、この手腕は凄いと思う。

  • 『きのうの神様』
    -西川美和-



    『ディア・ドクター』に寄り添うアナザーストーリーズ

    ということで読んでみた。
    5つの短編集。
    映画を観てから読むべき本かなと思った。

    個人的にそこまで響くものがなかった。

  • 「ディア・ドクター」は映画で観たけれど、小説は内容が全然違っていた。が、僻地の医療を題材にした一連の短編小説の流れから見ると、偽医者っていうのもありなのかな?
    話としては、父親との確執を描いた「ディア・ドクター」より、代替医者として島で勤務することになった男の「ありの行列」の方が近い?勤務時間外に老人患者から詐病で呼び出され、詐病と知りつつ延々老人の長い話に付き合ってやる。そしてこう思うのだ。ああ、俺、今、「善いことしてるよ」
    東京でバリバリ働いていた若い娘が、父母の死を受け、アルツハイマーの祖母の介護をするため田舎にもどってきた。祖母が生きてる限り娘の幸せは望めない。「満月の代弁者」は悲しい話だ。医者が気休めのためにうその診断をするというのもあり得ることなのかもしれない。

  • 小川糸さんがドイツに持って行った本。
    ディアドクターの監督がかいた本

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