きのうの神さま

著者 :
  • ポプラ社
3.38
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本棚登録 : 805
感想 : 182
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591109236

作品紹介・あらすじ

『ゆれる』で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。『ディア・ドクター』に寄り添うアナザーストーリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 映画「ディア・ドクター」でのたくさんの取材
    その映画で語られなかったエピソードをこの小説で蘇らせた短編5作
    僻地医療の現実がさらっとわかりやすく、リアルに書かれた作品でした。

    「楽に死ぬことよりさきに、楽に生きることです」

    印象的な言葉でした…

    西川美和さんやっぱりいいなぁ_φ(・_・

    • ゆーき本さん
      読んだ読んだー!なのにレビュー書いてないや。
      なんか色々考えて 結局考えるのめんどくさくて 諦めたのかな?笑
      読んだ読んだー!なのにレビュー書いてないや。
      なんか色々考えて 結局考えるのめんどくさくて 諦めたのかな?笑
      2023/05/11
    • みんみんさん
      わたしなんてレビュー書くようになったの最近だから忘れた内容ばっかり笑
      わたしなんてレビュー書くようになったの最近だから忘れた内容ばっかり笑
      2023/05/11
  • スルスル〜と読めた。
    僻地医療って普通?の医療現場よりも、患者さんや患者さん家族に重点が置かれている気がする。時に「嘘」が正しかったり。
    お医者さんと患者さんの関係が濃密なんだろうなと思う。

    「ディアドクター」観てみようかな

  • 僻地医療をテーマにした短編集(最初のはちょっとちがうか)。映像作家にもかかわらずこの味わい深い作品。まさに恐るべし。「永い言い訳」も「ゆれる」も人の心のひだを描きながらも書かない所は書かない抑制が効いていましたが、これまた素晴らしい作品でした。
    僻みや嫉み、うしろめたさなどの毒を含みつつも、人間としての正しさをみんな心に秘めている作品で、読んだ後清濁併せ呑む清々しさが湧く作品。
    最初読み始めた時「地味な純文学」と思いましたが、読み進める度に評価がぐいぐい上がってくる作品でした。
    映画監督が本業だからあまり期待してもなんですが、もっと本書いて欲しいなあ。

  • 短編作品なのに、連作小説のよう。

    それは田舎特有の閉塞感はどこも同じということなのか。
    ほんの少しの毒というかきれいごとだけにはしない西川美和さんはさすがです。
    そして、人を看取る。生きていくという根源的な何かが、それは最先端の医療だけでは割り切れないし太刀打ちできないものがある。
    そんな力強さも同時に感じた1冊。

    写真:小林亜佑
    装丁:西村美博 福地掌
    2009年 ポプラ社

  • どの短編もストーリーとしては好みなんだけど読後感がちょっと重い。キャラクターの所為かな。「ノミの愛情」「ディア・ドクター」「満月の代弁者」はまだユーモアがあったけど。
    「ノミの愛情」の朱美の行動に興味が湧いた。甲斐甲斐しく夫の世話を焼く自分を隣のトーマス君に重ねているけど、オイラはちょっと違う気がした。朱美は夫に飼い殺されているわけではなくて、好きでやってるんじゃないかな。夫を立てながら自分は家事を黙々とこなすことに夢中になれる人なんじゃないかな。駿ちゃんの退園のことだって夫を立てて行動する。オイラもそういうところがあるからだけど、朱美が甲斐甲斐しく家事をできるのは楽だからじゃないかな。やることがたくさんあっても本人が面倒くさいと思わなければなんでもないんだよね。むしろ、いちいち悩んだり考えたりすることのほうが面倒に感じるんだ。夫が怪我したときの手際のよさがそれを物語っている気がする。やれること、できることを目の前にしてイキイキしている。もはや誰かのためではななく自分のために。
    僻地の医療を舞台にする短編は、「神様のカルテ」みたいな内容を期待したけど主人公のキャラクターの違いから、真逆の視点の展開だった。きっとこれも真実なのだろう。
    いずれの物語も、自分で選択したもの、好きなものが自分にとって大切なものなんじゃないの、っていうメッセージがあるような気がする。

  • 文字から映像がものすごくリアルに浮かび上がってきて驚いた。以前見たことがあった情景だったろうかと少し怖くなったくらいだ。作者が映画監督だからだろうか。

    「1983年のほたる」の一之瀬時男には凄まじい色気を感じたし、「ノミの愛情」の主人公のゴールデン・レトリーバーへの罪悪感は自分も似たような感情を抱いたことがある気がした。小説でもあり、映画でもあるような。「ディア・ドクター」もとてもよかった。この話が一番好きだった。次は「1983年のほたる」。ほかの小説もぜひ読みたい。

  • 映画「ディア・ドクター」の監督が、僻地医療を題材にしようと取材をかさね、映画に入りきれなかったエピソードなんかをおこした短編集。
    個人的には「ディア・ドクター」が一番良かった。兄は父親が大好きだったが、父は弟である自分の方にナチュラルに接してくれていた。しかし父が倒れたと連絡が入り、病院で久しぶりに再会する兄弟。弟の「お兄ちゃん、もうお父さんはいいの?」のモノローグがグッときたのよ。

  •  図書館より

     医療関係者をテーマとした作品を5編収録した短編集。

     この本の著者の西川美和さんは映画監督、脚本家もされている方ですが、小説もすごいんだなあ、と改めて感じました。

     各短編の描写力、特に心理描写の書き込みはいずれも鋭いです。西川さんの映画は見たことないのですが、映像と文字、そうしたメディアの違いをしっかりと意識して、人間の心理に迫ろうとしているのだな、ということが読んでいて伝わるような気がします。

     離島や田舎の医者と、患者の関係性を描いた「ありの行列」と「満月の代弁者」
    主人公の医者の人間性や人生を浮かび上がらせつつ、患者やその親族の思いも、それぞれの言動から浮かび上がらせます。

    「ノミの愛情」は名医と結婚した元救急病院の看護婦の話。子供たちの命を救う夫。彼を影ながら支えることを良しとしながらも、どこか物足りない様子の妻。その妻の物足りない心情を、日常描写と綺麗にシンクロさせ、そして最後の幕切れも鮮やか! 

     どの短編もそうなのですが各作品、主人公だけでなく、いずれの登場人物もしっかりと表情が浮かんでくるのが印象的です。そうした人物描写も非常に巧かったです。

  • 映画「ディア・ドクター」では語りきれなかった、エピソードや人々の生き方を短編集にしたもの。
    同名の短編も入っていますが、ドクターの弟目線で全然違う物語でした。ドクターの背景が分かる感じです。

    僻地の医療がテーマですが、終末医療の問題についても考えながら読みました。
    死という定点へ向けて下降線を辿り始めたものを、その傾斜の形を狂わせて一時的な回復に導き、生きながらえさせることが自然なことなのか。
    あと10年生きたらどうしよう。
    介護によって人生を自由に選べない家族だけでなく、本人だって心苦しく思っている。

    読んでも最後に答えがある訳では無いけど、一筋の光が指す程度の展開が期待出来る終わり方が多いので、読後感はいいです。

    やはり感情が発露する時、本性が出るようなシーンが印象的です。ギラギラしてる感じ。

  • ディアドクターの原作本。
    離島の医者たちの姿、医者の家族の姿、患者の気持ち、都会へのあこがれ、様々な視点から綴る五話の短編小説。
    ディアドクターの映画が見たいです。

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著者プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中から映画製作の現場に入り、是枝裕和監督などの作品にスタッフとして参加。2002年脚本・監督デビュー作『蛇イチゴ』で数々の賞を受賞し、2006年『ゆれる』で毎日映画コンクール日本映画大賞など様々の国内映画賞を受賞。2009年公開の長編第三作『ディア・ドクター』が日本アカデミー賞最優秀脚本賞、芸術選奨新人賞に選ばれ、国内外で絶賛される。2015年には小説『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補。2016年に自身により映画化。

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