ジェミーと走る夏 (ポプラ・ウイング・ブックス)

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制作 : Adrian Fogelin  千葉 茂樹 
  • ポプラ社 (2009年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591109854

ジェミーと走る夏 (ポプラ・ウイング・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 差別や偏見は良くないことだと頭ではわかっているのに、それらが自分の心の底でときどき見え隠れするのに気づくことがあります。そういうときは、私の場合は、まずはその事実を自分で認めることから始めます。

    アフリカ系アメリカ人のオバマ氏が大統領になったとはいえ、アメリカ社会で人種に対する偏見がなくなったとはいえません。

    人種差別が残る環境の中でも、黒い肌のジェミーと白い肌のキャスは、走るという共通の趣味を通じ、心を通わせ友情を育んでいきます。

    実は、ジェミーとキャスのように、環境さえ整えば、子どもたちの方がが心が柔軟で、差別や偏見なく人とつきあっていく素地をもっているように思えます。

    その環境を整えるのは、大人の役割です。
    私たちは、子どもたちから学ぶべきことが、まだまだたくさんあるようです。

  •  読んで良かった。出会いで泣いて、危うさに立ち向かう姿に泣いて、
     自助とか協調とか前進する姿に泣いて、ラストはね、もうね、嗚咽ですよ。
     読んで良かった。跋渉。8月のスローガンにする。

  •  フロリダ州タラハシー、12歳の少女キャス。隣人のミス・リズが亡くなった後、その家を買ったのは黒人の家族だった。それを知ったキャスの父は、高いフェンスを作る。引っ越してきた家族には、キャスと同い年の少女・ジェミーがいた。2人は走ることが好きで、家族には内緒で、いっしょに過ごすようになるが…。

  • 久しぶりに読んだYA(ヤングアダルト)。
    ここまでドキドキしながら読んだYAは久しぶり

    白人の女の子・キャスの目線で描かれていて、
    キャスと一緒に戸惑い、進み、恥じる。

    のめりこんで、のめりこんで、
    読み終えた頃には「ああ、チョコレートミルクに会えないなぁ」
    と少しがっかりする。

    良作だったなぁ、としみじみ思います。

    ************************

    白人の女の子・キャスのお父さんは、
    「隣に黒人が引っ越してくるから」と隣家の間に
    大きなフェンスをたてる。

    キャスは、隣の家の女の子・ジェミーとフェンス越しに仲良くなる。
    「走ることが好き」が共通点な二人は仲良くなり
    一緒の時間を過ごすことになる。

    しかし、キャス・ジェミーの親は互いをよく思っておらず
    うまくいかない。

    ある日、キャスの妹の急病をきっかけに和解する。

    最後は「あぁいいなぁ…」とためいきをつけます。
    前半が前半だっただけに、ラストは平和でなごみます。

  • 原題はヨルダン川をわたる。このタイトルのままでは手に取りにくいだろうけど、いいタイトル。黒人の一家がお隣に越してきて始まる夏の物語。レースのくだり、好き。

  • これも4年前に読んだ本。また読みたくて借りてきた。6年生の夏休み、走るのが大好きなキャスとジェミーの話。

    隣に黒人の家族が引っ越してくるという噂を聞いて、キャスの父さんは、隣家との間に、プロのバスケ選手だってのぞけないような高い塀を建てた。母さんは「いい人たちかもしれないじゃない」と言ったが、父さんは「転ばぬ先の杖だよ」と言った。

    フェンスの節穴からお隣さんをのぞいていたキャスは、隣のジェミーに見つかる。お互い名乗り、「もしかして、走るの好き?」「走るの? わたしはね、走るんじゃないの、とぶのよ。だれにも負けないわ」「わたしなら勝てるかも」と言い合って、次の日の朝、学校のトラックで確かめることにした。

    おたがいに全力で走った二人は、熱中症でぶったおれないよう、ひきわけにした。「あんた、速いじゃない」「あんたもね」と認めあって、それから毎朝、一緒に走る。

    キャスは黒人ぎらいの父さんに見つからないよう、そしてジェミーは心の狭い人種差別主義者の隣人をにくむ母さんに見つからないよう、フェンスの端から本を受け渡しして、順に朗読して一緒に読んだ。ジェミーたちが越してくる前に住んでいたミス・リズからもらった『ジェーン・エア』。

    引っ越してきたとき、高いフェンスを見たジェミーのおばあちゃんは、ほっときなさい、それに「隣人を愛せよ」だよと言ったが、ジェミーの母さんは、娘のジェミーに「ちょっと、見てごらんなさい」「心の狭い人間っていうのは、こういうものなの」(p.19)と言った。

    ジェミーとキャスのつきあいを知ったとき、ジェミーの母さんは、隣の子とは会うな、つきあうなと言った。「となりの子はね、黒人に対するにくしみに満ちた連中のなかで育ってきたの。あの子の身にしみついているのよ。となりの子のような友だちは、いつかジェミーをがっかりさせることになるわ」(p.123)と。

    キャスは、父さんは正しくないと思い、ジェミーは、母さんだって同じ、心が狭いとぶつける。でも、12歳の二人は親を容易に説得できない。会うなと言われ、友だちと会えないさびしさに身をこがす。

    物語の後半、ある事件をきっかけに、キャスの父さん、母さんと、ジェミーの母さんとが、ぎこちないつきあいを始めてから、ジェミーの母さんがどんな経験をしてきたのかが、おばあちゃんの口から語られる。

    黒人の子を白人と同じ学校に通わせることができるようになって、しばらくしてから、おばあちゃんは娘のレオナ(ジェミーの母さん)を、白人の学校へやることにした。あの子を始めて学校まで送った朝のことは忘れられない、とおばあちゃんは言う。

    ▼「…白いスカートをしっかり糊付けして、髪にはリボンをつけてやった。学校じゅう探しても、あの子ほどかわいい子はいなかったね」「あたしらが学校に着いたとき、ちょうど、白人の親たちが、子どもを車からおろしているところだった。ふたりの男がレオナの真正面に立ってこういったんだよ。『きたならしいクロンボめ』ってね。想像できるかい? たった六歳の子にむかってそんなことをいうなんて」「でも、あのときほどあの子を誇らしく思ったことはなかったよ」「レオナはね、泣いたりはしなかった。ランチの入った紙袋をぎゅっと胸にかかえて、その男たちを見上げていったんだ。『失礼します。通してください』ってね。ところが、あの子がふたりのあいだを通ろうとしたとき、そのうちのひとりが、あの子のドレスにつばを吐いたんだ」(pp.229-230)

    キャスの父さんは、その話を聞いて、白人の学校へ行こうとしなければ、そんな目にあわずにすんだのにとつぶやく。

    おばあちゃんは、娘のレオナがどんなに怖い思いをしたか、おばあちゃん自身がどんなにおそろしい思いをした... 続きを読む

  • キャスの家の隣に越してきたのは黒人の一家。同い年のジェミーという女の子がいて、キャスは友だちになりたい。でも、キャスの父さんは黒人が大嫌いで、隣家とのあいだにがんじょうな塀を築いてしまう。それでも走ることを通じて仲よくなるジェミーとキャス。そしてある日……。
    それぞれの歴史や、偏見や、現実の貧しさから根深く居座る差別。それが具体的にも精神的にも「壁」となって立ちはだかる。
    そこに小さな風穴をあけるのは、「走る」という行為であり、またジェミーとキャスのふたりが交互に読み合う『ジェーン・エア』の物語でもあった。しっかりと描かれ、さわやかに読みきれる、とても良質な物語。

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