風待ちのひと

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 579
感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591110218

感想・レビュー・書評

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  • 学生のとき、部活の夏合宿が尾鷲にあった青年の家で行われるのが恒例で、毎夏の4回、尾鷲に滞在した。テラスから見えた海は青く、湾の向こう側にある小島に波打つ海を今も憶えている。この作品は伊吹さんのデビュー作とのこと。彼女の作品には三重の香りが漂っていて、とても懐かしい思いがする。登場人物が皆、迷いながらもありたいところに辿り着いて、再び歩き出す。いい作品だと思いました。

  • あまりにおもしろかったので一気読み。
    最後、どうなるのかと、はらはらしてしまった。別れてしまうの?と途中思ったが、うまくいってよかった。幸せになってほしい。

    哲さんのお母さんのおうちが素敵。手放したのはもったいないなー、住むわけではないし、しょうがないのかな。
    オペラを見に行くとき、喜美子さんが着た着物が素敵でした。椿姫にあわせた、着物
    。オシャレすぎます。
    哲さんのお母さんのご友人アキノさんたちが来られたときのおもてなしも、歌も音楽も素敵すぎて、情景を想像するとウキウキ、わくわくしてしまいました。

    理香さんも、悪い人ではないが、自分の求めるものがはっきりしていて、今まで努力しており、これからも努力をしていくんだろうなー。気持ちもわからないのではないので、こちらも切ない。

    この方の本は何を読んでも心にしみるお話で、素敵です。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベースより)
    “心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会った―。心にさわやかな風が吹きぬける、愛と再生の物語。第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。

    喜美子が寂しい過去を持つ心優しい女性だとは理解出来るが、登場時のペコちゃんの愛称と、おばちゃんっぽい描写が最後まで抜けず、男性が家庭を捨ててまで真剣に愛するのに抵抗を感じたまま読了。

  • 夏の風景が思い浮かぶ作品
    再生の物語

    舜くんが喜美子を見送るシーンが秀逸
    マダムの言葉も薀蓄があって深い

    なんといっても美鷲の家がステキ
    あんな風に晩年を過ごせたらいいな

    ラストはちゃんとハッピーエンドでよかった

  • エリート社会をまっしぐらだった男が、母の遺品を整理するために和歌山の海辺の町にやってきます。
    母親が終の住処として建てた岬の家。
    そして、そこで出会ったペコちゃん。
    二人は徐々に距離を縮めていきますが……。

    オペラには疎いのですが、雰囲気で曲が流れて来る気がします。

    走りっぱなしだった日々に、ふと立ち止まってみたくなる時、
    この先の自分に自身をなくした時…、
    寄り添ってくれる人がいる有り難さを感じます。

  • 東京で仕事も家族もうまくいかない哲司。福を呼ぶペコちゃんと呼ばれる喜美子。38歳の二人の恋と再生。四十九日のレシピを想わせる書き出し(壊れかけた家に知らない女が入り、行き返っていく)だったが、恋愛物語だった。

  • ハッピーエンドになりますように、そう祈りながら読んだ。
    読み終えて、思わずモーツアルトのピアノ協奏曲を聞きたくなった。
    そして岬の家。どんなにすばらしい家なんだろう。想像するだけで、心に気持ちの良い風が吹く感じがする。

  • 仕事に疲れ、家族に疲れて心を病んだ哲司は、亡き母が最後に過ごした場所で、同じ年の喜美子と出会う。いつも明るく振る舞う喜美子には、家族を失ったという過去があった。

    暖かく、優しいお話。
    以前手にした「四十九日のレシピ」とは違い、大人の恋愛模様も含まれていて、しっとりとした素敵な本でした。
    美鷲の岬の家や、景色が目に浮かぶようで、読み終わるのがもったいないような気持ちになりながら読み進めていた気がします。

    著者の本は2冊目。
    他のものも、是非読んでみたいと思っています。

  • 「ねえ、あなた。あの人にも何かごあいさつを贈っておいたほうがいいかしら。何が良い?レトルトのカレーとかどう。一人ならそういうの便利でしょう」
    「おれはやっぱり‥‥君とはもう暮らせないよ」
    人の別れはこんなことがきっかけだと思う。
    哲司が矢の花峠から喜美子の店に向かうところで二人は寄せ付けられるように出会う。この奇跡がなかったら再び寄り添うことはなかったろう。神様はいるかもって思う瞬間だ。出会いも別れもちょっとしたことから始まる気がする。まるで小学生のような夏を過ごした二人を「その次の季節も一緒にいさせてあげて」と願うように読んだ。気が付いたらマダムたちのように二人を応援してた。

  • この人の作品は、期待している方向に結末を持って行ってくれるので本当に読んでいて幸せな気持ちになる。四十九日のレシピといい、この作品といい、温かい優しい気持ちにさせてくれる読後感。プロローグとエピローグも小気味良い。

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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