([か]5-1)いのちの代償 (ポプラ文庫)

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著者 : 川嶋康男
  • ポプラ社 (2009年9月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591111581

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([か]5-1)いのちの代償 (ポプラ文庫)の感想・レビュー・書評

  •  第1章「死の彷徨」は圧巻。ノンフィクションだからなのか、ものすごい迫力で一気に読ませる。冬山遭難でリーダーの野呂さん以外、10名の命が失われる。メンバーそれぞれの人となりは記載されているものの、ぐっと迫る迫力不足は否めない。一人生き残った野呂さんが教師をへて事業で成功するくだりは数行で語れば十分のような気もする。第1章で受けたインパクトがだんだん薄らいで完読。

  • 1962年12月、北海道学芸大学函館分校の山岳部員が行った大雪山
    での冬合宿は、悪天候に襲われ北海道山岳史上最悪の遭難事故と
    なる。

    参加した11名中10名が遺体となって下山した。たったひとり、
    生き残ったメンバーが45年の時を経て事故の全貌を語る。

    体力の消耗から滑落する者、昏睡状態に陥り動けなくなる者と、
    10人の部員は次々と下山出来なくなって行く。

    自分だけでも下山して仲間の遭難を伝えなければとの思いで、
    凍傷に罹った両足を引き摺るように動かし、リーダーは山を
    降りる。

    生きていて欲しいとの願いも虚しく、悪天候と深い雪に阻まれ
    6か月を費やした捜索の末、10名全員が遺体となって山を降り
    ることになった。

    唯一の生還者に向けられる報道の集中と遺族の避難は如何ばかり
    であったか。両足共に踵を残しての切断手術に耐えたリーダーは、
    山の仲間たちの合同葬儀の為に追悼の言葉を録音する。しかし、
    その言葉は遺族によって会場で流すことを拒否される。

    生き残った者も、肉親を亡くした者も、深い悲しみを懐に抱えた
    ことだろう。

    だが、気になることもある。初めての冬山合宿で既に体力を消耗し
    ていた者がいた。加えて、気象情報で天候の悪化が分かっていた。
    それなのに、早目に下山行動に移ることなく予定していたスキー
    訓練を行っているのだ。

    結果論にはなるが、やはり判断ミスがあったことは否めないのでは
    ないだろうか。

    たったひとりの生還者の証言を元に、遭難当時の様子を丹念に追って
    いるのだが、本書後半部分の社会復帰を果たした後のリーダーの成功
    譚は興醒めである。

    生還者本人へのインタビューが基調になっているので仕方ないのかも
    知れぬが、最愛の息子を失った側の証言がないのは片手落ちか。

    良書ではあるのだが、読後感がすっきりしない。

  • 雪山で起こった悲劇
    生き残ったのはリーダーたった一人
    彼は死んだ仲間10人分の命を背負って生きている

  • 冬山の怖さは『八甲田山死の彷徨』で知ったが
    この物語でさらに強く印象づけられたのは
    天候の変化ではなく、人の、リーダの決断の難しさ。
    そして、魅入られたように不運が重なり最悪に導かれる運命。

    凍死体を見つけられない/見つける、凍死体の状態を描く部分に
    リアルな遭難の事実を感じる反面、
    生き残ったリーダーのその後の成功譚を描く部分に
    少し違和感を覚える。
    でも、これが人の命を背負った人間の精一杯な「生き抜く」 姿なのだろう。
    そうでなければ。。。

  • 時系列に沿って書かれた遭難手記です。
    といっても記録や会話を目で追って、「わあ、大変!」と読者に思わせる意図は全く感じられなかった。
    野呂さんにとって山に登ることは人生であって、遭難に遭ったからといって登山に対する情熱は何も変わらない。
    遭難から無事に生還した男は勇敢だと一人ひとりは思っていても、"1人っきりで"という部分にメデイアは惹かれたんでしょうね。
    野呂さんの人生、不謹慎な言い回しとは承知ですが、「山あり谷あり」まさに山登りです。

  • 【No.132】北海道学芸大学函館分校山岳部の遭難事件のノンフィクション。生還したのはパーティーのリーダーの野呂幸司氏だけだった。冬山は恐ろしい。「なにもしないで、ただ会社行って、夜帰ってきて、ビールでも飲みながらナイター見て、風呂に入って寝て、また翌日会社行って・・・っていうのって、そんなに難しいことじゃないよね。ただ”生きてる”だけだもの。自分の人生を”生き抜こう”と思ったら、楽しいことがあるよ。生き抜くことは冒険だから」

  • 遭難死に至った描写は迫力。当時「有名大学山岳部」に実績で大きく差をつけられていた「無名地方大学山岳部」元部長(絶対的立場)の「劣等感・功名心」が引き起こした悲劇。その後のこの人物の半生は真にルサンチマン的。当初は「リスクを知りつつ自らの意思で冬山々行した」メンバー遺族の一部が元部長を恨み続けたことが不可解だったが、こうした自己愛的人間性を感じ取っていたからでは?と自分なりに総括して読了。45年経た告白の真意を知りたい。

  • 1962年12月、北海道芸術大学函館分校山岳部のパーティー11名は、
    冬山合宿に入った大雪山で遭難した。
    部員10名全員死亡、生還したのはリーダーだけ。
    45年の沈黙を破り、遭難事故の全貌を明らかにした山岳ノンフィクション。

  • 常に前進
    壮絶

  • 山岳ものを読むと、遭難ってどうしても避けて通れません。これは昭和38年に「史上最悪の遭難」といわれた事件を扱ったノンフィクション。10数人の学生パーティーが悪天候の中、リーダーを残して全滅という惨事。ちょっと状況が違うけど、「遭難したパートナーとザイルでつながっていたら、そのザイルを切るか」という命題はクライマー伝にはよく出てくるし、その現実的な対応はいくつかあると聞いています。次の対応のためには、どうしようもない選択をしなければならないことが多いと思う。そういうギリギリの選択をして生還したはずの者には、山の上とは違った、さらなるすさまじいものが待っていたりするわけで…。生還者への対応が実際のところ、日本と海外ではどのように差があるのかというのは、寡聞にして知らないんですが、そのあたりも含めて、知りたいような、そっとしておきたいような、そんな本。

  • 北海道の大雪山系で大学山岳部が陥った遭難を描いたドキュメント作。
    唯一の生き残りだったリーダー野呂幸司の半生を描いた作品。

    高校山岳部から、大学山岳部へ入り山岳部のあり方に疑問を抱き、山岳部の改革に取り組むあたりは、自分に重なるところが多かった。
    唯一の生き残りとして、遺族との関係や凍傷により足を切断したあとの半生はすさまじいものがある。
    もし、自分が遭難したらと考えるといろいろと心に沁みることが多かった。
    本当にエネルギッシュで逞しい人だと思う。
    それが、山男だとすると、自分ももっと逞しく生きなければと反省してしまう。

  •  山岳部、パーティー11名、うち10名死亡。
     リーダーだけが、栄光なき生還を遂げた。
     それから45年、決して老衰することのない青春の姿をした岳友を背負って生きていた。支えた足は、義足だった。

     彼らはベストを尽くした。
     だから、死んだ。だから、生きた。生き続けた。
     そう思った。

  • 昭和38年の年末から大雪山に入山した北海道学芸大学函館分校の1・2年生が二つ目低気圧により遭難し10名が遭難死、リーダー1名のみが下山した大量遭難のドキュメンタリーです。遭難の状況や生き残ったリーダーのその後などを丹念にレポートしています。けっこうよかった。

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