ダイナー

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著者 : 平山夢明
  • ポプラ社 (2009年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591112014

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ダイナーの感想・レビュー・書評

  • 帯に書かれている本谷有希子さんの「平山さんの、人として間違ってるところが好きです。」というコメント素敵すぎです。本当に間違ってます。
    出来心で奇妙なバイトを引き受けたばっかりに、プロの殺し屋が集う会員制の定食屋(ダイナー)で働くことになったカナコ。閉鎖された空間で常に死が付き纏う極限状態におかれます。
    残虐な拷問や殺しの血生臭いグロテスクな描写は痛々しく吐き気すらする程なのに、バーガーやスフレや出てくる食べ物は肉汁や甘い香りまで想像できるほど美味しそうで、相対するものにいろんな感覚が刺激されます。
    この変質的でグロすぎる濃厚な世界が「間違っている」部分ですけど、読後感はよくわからない面白さがあり、グロイのが大丈夫な方にはおススメします。と言いながら、人におススメしてはいけないとも思える本です。

  • 舞台は殺しを生業としてギリギリに生きる奴らしか来ないレストラン。曲者だらけの店でウエイトレスをやることになっちゃったオオバカナコと、レストランのオーナーを務めるボンベロを中心にして、奇想天外な殺し屋が続々と来店する。だがそいつらにも過去はあって、カナコは彼らと関わるにつれて殺し屋の考えを理解するようになり……。

    著者のエンターテインメント要素をこれでもかとブチ込んだ最高のノワール小説。平山さんなので、もちろんエグい描写はたくさんある。これはホラー。舞台がダイナーなので、美味しそうな料理が出てくる。これグルメ。殺し屋が来店するのでトラブルだらけ。これアクション、ノワール、サスペンス。カナコの心情変化や、殺し屋に対する気持ち。これは申し訳程度の恋愛。殺し屋やボンベロの過去や謎、背後に蠢く組織。これミステリー。すべてひっくるめてエンターテインメント。ダイナーには、全部が備わっている。
    特に今回で注目なのは料理の描写。なんだ、平山さんに料理書かせたらすげーじゃん! うまそうじゃん! 涎垂れるくらいに美味しそうなのだ。ハンバーガーのこまかーい作り方とか、どこで知る機会があったのかわからん情報も多い。
    基本的に舞台のレストランから外に出ることはないのだが、それでも面白い。ぼくはこの小説を読了して、娯楽を超えた何かを垣間見た気がした。気づいたら夜も明けていた。徹夜本だ。

    やっぱりグロテスクなのが苦手な人にはおすすめできないんだけど、そんなのへっちゃらって人には是非とも読んでほしい。この作者の名が日本に広まりすぎると却ってアブナイ感じがするが、ある程度の知名度はあってもいいと思う。
    『独白する〜』で有名になったけど、最高傑作は疑いようがなくこれで決定だ。

  • 冨樫先生の好きな作家さんと聞いて。
    まず自分じゃ絶対読もうとしなかったような作品。

    …ぐろい。えぐい。でも読んでて無性にお腹が空く。
    店に連れてこられるまでの最初のシーンが痛々しくて何度か諦めそうになったけど、気が付いたら約500Pが終わっていた。
    さて次の客は?と思ったところで、そういえばもうキャンティーンは無いんだったと気づきなんだか妙に寂しくなった。
    殺しに対して独自の美学を持っていて、プロとして仕事をする中で感情とか倫理感をどこかに置いてきてしまったような変人ばかり出てくるけど、彼らにとって美味しい料理を食べて感情を出せる=人間らしくいられる最後の憩いの家だったのかと思うとなんか切ない…あんなに凄惨なシーンがこれでもかと出てきたのに、そんな風に思えてしまうのが不思議。


    あと、ボンベロとカナコの間のもどかしさがもうなんともいえず、王道の恋愛小説よりよっぽどこう…ふたりの今後が気になってしまった。(終わりが描かれないから余韻に浸れるんだろうけど。またそこが良い!)
    甘く楽しい生活とは程遠そうだけど、いつかどこかで二人と一匹でひっそりとお店を開いていてほしい。

  • まさか平山夢明の本で五つ星が出るなんて…(笑)! いや、失礼、怒らないで。「独白するユニバーサル横メルカトル」が受け付けなかったからの発言なんです。「ユニバーサル」を読んだ時も思ったけど、「ダイナー」で確信。この人は絶対欧米で受ける!! 「ユニバーサル」よりも今回はエンターテイメント色が強くて、面白かった。グロさは…まあ、「ユニバーサル」よりかだいぶ大人しいんじゃないかな。頭がいかれたみたいな文章じゃなかったから、読みやすかったのよ。

    あらすじ:
    実家暮らしアルバイトでカツカツの生活をしているオオバカナコは、バイト先のコンビニで立ち読みした雑誌の求人欄に高額報酬の仕事を見つける。軽リスク有とはあるもののいかにもヤバそう、でも…。つい一歩を踏み出してしまった。そしてある失敗から彼女は殺し屋専門の会員制ダイナー(定食屋)で、ウェイトレスをすることになった。コックであり店の主のボンベロにあやうく殺されそうになるが…。それでなくてもやってくる客はみんな危ない奴ばかり。殺されないため、カナコは緊張の日々を強いられる。

    面白いのよ。設定も面白いし、料理の描写がイイ。人物たちも殺し屋だからこその、それぞれの個性が出ていて。その中で怯みながらも大事なところでは引かないカナコと、ボンベロや殺し屋たちが話を盛り上げてくれるの。
    残虐なやり取りにそむけていた眼が、次第に紙面に縫い付けられる。
    まさしくエンターテイメント! 大藪春彦賞っていうのもうなずけるわ。うん、満足。

  • 平山夢明は天才だと思う。どうしても読みたくてハードカバーの新刊を定価で購入してしまった。
    文庫本サイズが好きな自分にしてはおそらく始めてかもしれない。(しかも一気に2回読んだ)
    1つ1つの場面がモロにイメージできて、凄くのめり込んで読んでしまった。

    内容は殺し屋ばかりが客のハンバーガー屋が舞台の純愛(?)長編小説。グロさは結構控えめで、まったりとしている。

    印象に残ったのはボンベロ(マスター)が客の殺し屋にハンバーガーを提供した際、客が「何だこれは?」と聞いたのに対して、ボンベロは「食事というものだ、人はこういうものを食べている」とスットボケた切り返しをした箇所。絶望的な雰囲気の中、突然の小気味良いウィットに思わずニヤリとしてしまった。
    この様なニヤリポイントが随所に散りばめられており、これまた個人的に心地よい感じが残った。

  • 2014.09.23読破
    グロいというほどグロくは感じなかった。

    爽快な疾走感と狂乱する暴力。そこに刺激的なスパイスを加える絶品な料理達。独特の設定と世界観が醸し出す湯気と香りを感じる小説。

    殺し屋の常識が蔓延するダイナーという極限の状況下で成長していくカナコ。
    命を奪われかねないギリギリの状況を乗り越えることで逞しくなっていく彼女はまるで、鉄が鍛られ焼きを入れられ美しい刀になっていくようにすら見える。
    その刀は意志をもち、切れ味を増し最後は主人を待つ。

    この展開に引きずり込まれてしまうと一気に読破してしまうことは間違いない。

    女性は苦手かもしれないですが・・・

  • 平山夢明の長編ということで意外に感じたが、
    読み終えて、一番好きな平山作品となった。

    いつものグロと苦痛の極地は若干控えめ、
    それでいて作者らしさは失ってはいない。
    純粋にストーリーの面白さに引き込まれて行く。
    ホラーではなくハードボイルドだ。

    希望を持たせるようなラストは素敵だ。
    新しい世界を見た気持ち、いい本に出会えたときのこの気持ちがたまらない。

  • グロい。

    ボンペロのキャラもカナコさんの設定も面白い。結末も清々しい。
    けれど。
    作者の「味」と言ってしまえばそれまでだけれども、あの凄惨な拷問シーンや殺し屋達のグロすぎる描写がなければ、この物語は成り立たないのか? あれらは必要な描写なのか? そう考えてしまう。
    フィクションの世界とはいえ、もし社会があのような痛い表現を望んでいるのなら、病んでいるとしか思えない。
    リアルにあんな経験をしている人は、読みたくもないだろう。
    想像の世界として欲しているのなら、やはり病んでいるとしか思えない。

    帯の言葉に進められて購入。それなりに楽しめた。
    だけれども、拷問シーンや殺し屋達の背景をを描写する文言のそれぞれに、なんだかそれらの表現を求める作者や読者の存在を感じて恐ろしくなる。

    人間ってロクな生き物じゃないな。
    他の人のレビューにあるとおり、ボンペロの料理描写にお腹はすいて来るのだけれど、凄惨な拷問の描写でその食欲は霧散してしまう。
    痛すぎて★1つ

  • 「ステーキにしゃぶしゃぶに寿司にカツ丼とハンバーグを載っけたような」エンタテインメント。美女と野獣の物語、主人公の成長と再生の物語、確かに堪能しました。
    カバーデザインも秀逸。作品中に出てくる料理の描写は本当に美味しそう。
    ちなみに作者のあとがきによると、「ステーキにしゃぶしゃぶに、、、」とは黒澤明が映画「七人の侍」を撮影している時に目指していたものだそうです。

  • トントンと最後まで駆け抜けていった。
    とてもテンポがよく、おもしろかったの一言。
    平山先生の人柄を知ってから読んだので、らしいなーと感じた。
    グロ描写がキャラのやり取りのせいで、キャッチーに感じた。
    読みすすめるうちに、自分もボンベロに惚れていた。
    全部のキャラがたってて、おもしろい。
    最高のエンターテイメント小説。

  • 友人に勧められて

    最高にクセのあるキャラと、殺し屋や殺人犯ばかりが客の定食屋。
    一気読みする程引き込まれました。

    グロい表現と裏腹に、ボンベロが作るバーガーの美味しそうな表現。
    スフレも食べたいな。

    当たりな一冊でした(≧∇≦)

  • 表紙のハンバーガーの写真に惹かれてたまたま手に取ったのですが、久々に一気読みした作品でした。平山夢明さんの作品を読むのは初めてだったのですが、ところどころ残酷な描写がありました。この作品はグロテスクな表現は少ない方みたいなので今後平山さんの他の作品に手が伸びるかは微妙なところですが、本作はとても読みごたえがあり、面白い作品でした。なんといっても、キャラクターがいい。ただ、少し幼稚というか中学生男子が好きそうだなーという(勝手な)感想も併せて持ちました。クライマックスはちょっとやり過ぎじゃないか?と少し苦笑してしまいましたがラストの終わり方も私好みでした。

  • 第13回 大藪春彦賞受賞!
    第28回 日本冒険小説協会大賞

    この本、ポプラ社から出ているんです。
    私のポプラ社のイメージはバリ児童書。
    この本の一番のホラーはここかもしれない。。


    内容はさほどホラーではありませんでしたが表現がさすがにグロかった。
    慣れれば大丈夫ですが昼飯を食いながら読んでいたのでちょっとグロッキー。

    グロいですが物語としてはとても読みやすく楽しめた。
    話のスジは凝った展開ではないけれど人物造型が良かった。
    普通でない登場人物がほとんどだけれどきちんとハマっている。
    その中で多分比較的普通であるオオバカナコが逆に際立って見え相乗効果が良い。

    感情移入はさすがにできませんが読書後は意外と爽やか

    いつ殺されるか解らない状況がだんだんと深まっていくようでまた薄まっていくようで。

    そこに何があるのか?

    さらっと読めるけれど読みごたえはありました。

  • 噂に聞く平山さんの本を初読み。
    アクション場面や店の構造なんかがわかりにくかったけれども、それを含めてもこの面白さ!
    先が気になって読む手が止まりませんでした。使い捨てられるいくらでも代わりの効くウェイトレスがいかにして生き延びるのか。店に来る殺し屋はどんな奴らなのか。
    殺し方もここまでグロいのはなかなかでした。
    終わりがいいというより過程が面白い勢いのある小説でした。

  • 平山夢明は、希有な作家だ。
    大胆で豪放、緻密で繊細。

    表現の突き抜け感から、大勢の読者には賛同されない(特に女性には)
    だろうが、個人的は、大好きな作家だ。

    本作「DINERダイナー」は平山氏の最高傑作となるだろう。
    なんといっても、その残酷さと愛情のせめぎあいが素晴らしい。

    北方謙三氏の帯の言葉
    「不器用な男女の愛を語るのが、料理だけというのがたまらない」

    たしかに切なく、堪らない。

  • 殺し屋専門のダイナーは、引退した殺し屋がシェフをする店。
    殺される寸前で、そこのウエイトレスになることで生き延びた女、カナコ。
    キレた男たちのなかでカナコは、死を感じながらの極限状態で仕事をこなす。

    カナコは、いつまでも生きていられないだろうなぁ
    と感じさせるシェフと客の残酷さに、クレージーさ。
    バイオレンスの描写がグロくって、萎えそうになるんだけど
    バーガーの美味しそうな描写が、読書意欲を復活させる。

    読んでいくうちに、冷酷なシェフに好意を持ち始めてしまった。
    ストックホルム症候群かしら・・・と思ったところで
    カナコも文章中に同じことを語ってた。
    好意だったのかストックホルム症候群だったのかは、結末で分かるでしょう。


    とにかく、バーガーが食べたくなる~ぅ

    ( ・_ゝ・)<女は度胸、そして機転

  • 平山節全開の、ダークでグロな小説。長編は初めて読んだ。
    ただ無為に人生を過ごしてきた女性が、ふとしたことで転落し、殺し屋が集まるダイナーのウエイトレスになってしまう話。

    平山さんの本は、大体登場人物が全員気が狂っているのだが、そのエログロの奥にとてもうっすらと、美しさやメロウさがある。

    この本は長編だけあって、そのかすかな美しさを隠さずに全面にも出している。あとがきで触れているように、平山さんなりのエンターテイメント全部入りの小説に仕上がっている。

  • 20111101
    ごく普通の(でも少し物足りず、どこか空ろな)日々を送っていた主人公は、とある怪しいバイトを引き受けたがために裏社会へ転落。殺し屋専門の会員制定食屋(ダイナー)である「キャンティーン」で人殺し相手のウェイトレスをさせられるはめになる。

    初っ端から最後まで、読んでいて吐き気がするほどのグロいシーンと、うってかわっておいしそうな食べ物が登場するシーンとが入り乱れて出てくるので胃がおかしな具合になる。

    登場する殺し屋たちはみんな一癖どころか二癖も三癖もあるし、血の気が多く狂気的な彼らに囲まれ、元・一般人の主人公は神経の糸が張りつめて地獄の底を覗くような日々。
    しかし、殺し屋たちの気まぐれな闘争に巻き込まれていろいろと負傷させられたり、反抗的な態度を理由にシェフかつマネージャーであるボンベロに処分されかけながらも、ダイヤモンドが詰まった1億5000万のウォッカ「ディーヴァ」を盾にどうにか生き延びたりと、少しずつしたたかに立ち上がってゆく主人公が頼もしい感じ。
    何より、ボンをはじめとする人殺したちはみな個性が際だって魅力的だ(外見や性癖は必ずしも魅力的ではないが)。どこかしら心に傷を持つ殺し屋たちは、何を求めてダイナーを訪れるのか。その奇妙でどこか温かいふれあいの日々。

    ――で終わればいいのだが、やはりそう簡単にはいかない。やがて主人公たちは、ボンのオーナーを中心とする組織内争いに巻き込まれ、ダイナーにたてこもる決死の戦いを強いられることになる。
    主人公・オオバカナコは生き残れるのか? そしてボンは?
    希望を残した軽快なエンディングで、最後まで読み終えてすっきりした気分に。あとは、チーズを贅沢に使ったハンバーガーとスフレが食べたくなったかな。

  • これだけ楽しませてもらったのに、ひとに勧めるのはなんとなく後ろめたい不思議な本。

    現実離れしたバリエーション豊かな殺し屋が次々出てくるという点では、マンガのよう。
    (思ってもない人が実は残虐だったとか、まさかそこに武器が!?とか)
    先が気になって、500ページ近くを2日で読ませるあたりも。
    安易な映画化とか、間違ってもしないでほしいと思う。

    フレーズを頭の中で映像に置き換える度に、「うーむ」と思ってしまうグロシーンが多々ありつつ、意外と誰でも読めてしまうかも。
    いつもの読書とは違った脳領域を酷使して、暴力描写はおなかいっぱいなのに、ほかの著書も読もうとしている自分が怖い…。
    自動販売機の営業だとか、コンビニの店長だとか経歴が異色で、作者本人も気になる。

    お決まりの「硬派な男が心を開く」とか「犬が最終的になつく」とか胸きゅんポイントもしっかりと押さえているところは女子受けしそう。
    が…残念なのは主人公女子の印象が薄いこと。
    感情移入の余地を残しても意味のない設定なだけに、もっと濃いキャラクターがよかった。

    星1つ分はまるで洋書のような装丁に。
    直球で、お見事。

  • おおおおおもしろいいいいいーー!!!!!!
    久々に本読んで痺れました。
    読み出したら全ての事を後回しにしてしまうぐらいはまりこんで気になって一気読みでした。
    えぐい場面もえっぐくて、生きてる人間が一番おそろしいと改めて痛感。
    でも、段々ちょっとしたロマンスも芽生えたりして最後は何だか心あたたまる終わり方だったり、とにかく素敵です。
    図書館で借りたんですが、購入しようと思います。

    ボンベロ…!!!!!

  • 近所の70年代風ダイナーにあったハンバーガー専門雑誌で全国のお店の記事を読み、ハンバーガーも奥が深いよなーと思ってたその勢いで手にとってしまった本。ダイナーの話だと思ったんだもん。いや、ダイナーの話なんだけどさ。数ページ読んで”なんか間違えた”と気づきましたが、それはそれとして非常に面白かった。あれほど非現実的なシチュエーションが、馬鹿らしく見えないのは不思議なほど。そして、あんな血だらけの展開なのに、しっかりカナコの成長物語になっているところもすごい。

  • 今現在、アタクシのブクログに並んでいる小説の中で一番面白かったかも。

    いやいや、私はホラーでバイオレンスは大っ嫌いなんだ。というか苦手なんだ。
    それなのに。ああそれなのに、これは予想外に面白過ぎた……!!

    なぜか?
    状況の特異性が強烈でありながら、登場人物たちのありようが結局は人の心を打つものだったからと思う。
    困難を乗り越え、成長していく。
    その過程がとてもシンプルで、かつ力強かったからではなかろうか。

    トンデモ、もう本当に狂っているのに、なぜか哀しくて、しまいには愛しくなったりする。
    なんだこりゃー!
    自分の心がこんなふうに変化するなんて、と驚愕させられた一編。
    スキンとか超哀しいんですけど。
    そしてカナコは、本当にバカだけど応援したくなる。
    そしてボンベロは超カッコイイツンデレオヤジ。

    あまりの状況に、読者はいつの間にか勢いに呑まれ、登場人物たちに対して「生きろ!なんでもいいからとにかく生きろ!」と叫びたくなる。
    ここまで、最初と最後のヒロインの変貌ップリに説得力のある小説があったであろうか^^;
    そりゃあ、あれだけのことを経験すれば……何も怖くなくなるよ。

    怖ろしいのに、愛が溢れていた。
    そして面白かった。
    エンタメとして、最高のモノだと思います。
    この本を読んだ後、私の中の何かが少し変わりました。それくらい、圧倒的な迫力があった。

    が、この作者の他の作品に対して、こう思えるかは甚だ疑問^^;

  • 平山夢明らしいエグくてグロい世界観を堪能できる作品。エグさ、グロさの描写は、たぶん他の作家じゃ書けないんじゃないかってくらいに強烈なもののオンパレードで、グロ耐性のないひとはめまいがするだろう。だが、グロやエグいのが好きな人にとってはかなり楽しく読めると思う。なんというか、こういう発想が出てくる頭がすごいというか、よくもまあ、こんなこと書けるなあと言う描写ばかりなのだ。
    お話自体の出来はどんでん返しとか、大きな衝撃とかはないが、とにかく作品の雰囲気やエグ・グロの描写がすごいので、それだけでも一読の価値有り。
    ほんとにこんな世界あるのかというような裏社会のロマン、都市伝説のロマンがつまってる。

  • オオバカナコは大莫迦であったがために殺し屋専門の会員制ダイナーでウェイトレスとして働くことになる。オーナーも来店する客も一癖も二癖もある殺し屋ばかり。そこではカナコは圧倒的な弱者。明日はおろか、次の一秒すら保証されていない状況の中で果たして彼女は自分自身を取り戻すことができるか。

    なるほど、あの『独白するユニバーサル横メルカトル』の胸クソ悪い世界も昇華すればこんなエンターテイメントに仕上がるのか。好きだなあ。何と言うか、すごくハードボイルドな作品。文章があまり上手なほうではないから多少読みにくいところもあるけど、これは面白い。ああ、最後の晩餐には是非とも「Ultimate sextuplex」を食してみたい。

  • 鬼畜平山氏による定食屋(DINER)を舞台にした物語…ってだけで「何の肉、何のホルモン、喰わせるんだろう…」という冒涜的予感に戦慄きながら読み始めるも、フタを開けたら、いつもの鬼畜パワーをエンタテインメントに還元させた超絶暴力残酷活劇(でも鬼畜)。タランティーノやロドリゲス好きな人にもオススメできる徹夜必至本。
    舞台となる定食屋も殺し屋専門というトンでもなさ。一応、章立てにはなっているが、組織に売られてこの店で働くウェイトレスの主人公と、店を切り盛りする謎めいたシェフを主軸に、章ごとに入れ替わり立ち替わり登場する客(殺し屋)が織りなすシットコムのような構成で、連作短編のように読むこともできる(つまりひとつひとつの章が完成されてる)。そして、それらエピソードが重なり合って、物語がミステリ的に収斂していく心地良さったらない。あ、もちろん、立ってたり奥行き感があったりするキャラクター造形も、このシチュエーションを盤石にしている。
    いつもの鬼畜は控えめといいつつも、そこはそれ、平山氏なので出てくる以上は容赦がない。但し、陰湿さよりもアクションに比重が置かれた鬼畜と云うべき切り口なので、グロ苦手な人でも(何とか?)イケそうな予感。
    しかしあれですね、腐物汚物描写に優れた作家って、食べ物を美味しく表現するのも巧いんですね。読んでる最中、腹が鳴る鳴る。

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ダイナーの作品紹介

ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍する組織の抗争、命がけの恋-。人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。

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