ダイナー

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 948
感想 : 202
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591112014

感想・レビュー・書評

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  • 映画を見たので原作も読もうと思った。
    殺し屋の客ばっかりくるイカれたダイナーのウエイトレスになったオオバカナコ。しかし一般人サイドのはずの彼女もかなりイカれている。
    映画では窪田正孝さんの儚げなスキンがすごく魅力的だった。
    本を読むと概ね原作通り映画が作られていたことがわかる。序盤はスキンに、後半はボンベロに。まるで乙女ゲームみたいにドキドキさせられる。
    文章が読みやすくて、ぐいぐい読める娯楽小説だった。

  • 帯に書かれている本谷有希子さんの「平山さんの、人として間違ってるところが好きです。」というコメント素敵すぎです。本当に間違ってます。
    出来心で奇妙なバイトを引き受けたばっかりに、プロの殺し屋が集う会員制の定食屋(ダイナー)で働くことになったカナコ。閉鎖された空間で常に死が付き纏う極限状態におかれます。
    残虐な拷問や殺しの血生臭いグロテスクな描写は痛々しく吐き気すらする程なのに、バーガーやスフレや出てくる食べ物は肉汁や甘い香りまで想像できるほど美味しそうで、相対するものにいろんな感覚が刺激されます。
    この変質的でグロすぎる濃厚な世界が「間違っている」部分ですけど、読後感はよくわからない面白さがあり、グロイのが大丈夫な方にはおススメします。と言いながら、人におススメしてはいけないとも思える本です。

  • 奇想天外な登場人物が登場し、奇想天外な物語が展開されるが、面白く読めた。

  • 「ステーキにしゃぶしゃぶに寿司にカツ丼とハンバーグを載っけたような」エンタテインメント。美女と野獣の物語、主人公の成長と再生の物語、確かに堪能しました。
    カバーデザインも秀逸。作品中に出てくる料理の描写は本当に美味しそう。
    ちなみに作者のあとがきによると、「ステーキにしゃぶしゃぶに、、、」とは黒澤明が映画「七人の侍」を撮影している時に目指していたものだそうです。

  • トントンと最後まで駆け抜けていった。
    とてもテンポがよく、おもしろかったの一言。
    平山先生の人柄を知ってから読んだので、らしいなーと感じた。
    グロ描写がキャラのやり取りのせいで、キャッチーに感じた。
    読みすすめるうちに、自分もボンベロに惚れていた。
    全部のキャラがたってて、おもしろい。
    最高のエンターテイメント小説。

  • 表紙のハンバーガーの写真に惹かれてたまたま手に取ったのですが、久々に一気読みした作品でした。平山夢明さんの作品を読むのは初めてだったのですが、ところどころ残酷な描写がありました。この作品はグロテスクな表現は少ない方みたいなので今後平山さんの他の作品に手が伸びるかは微妙なところですが、本作はとても読みごたえがあり、面白い作品でした。なんといっても、キャラクターがいい。ただ、少し幼稚というか中学生男子が好きそうだなーという(勝手な)感想も併せて持ちました。クライマックスはちょっとやり過ぎじゃないか?と少し苦笑してしまいましたがラストの終わり方も私好みでした。

  • 噂に聞く平山さんの本を初読み。
    アクション場面や店の構造なんかがわかりにくかったけれども、それを含めてもこの面白さ!
    先が気になって読む手が止まりませんでした。使い捨てられるいくらでも代わりの効くウェイトレスがいかにして生き延びるのか。店に来る殺し屋はどんな奴らなのか。
    殺し方もここまでグロいのはなかなかでした。
    終わりがいいというより過程が面白い勢いのある小説でした。

  • 殺し屋専門のダイナーは、引退した殺し屋がシェフをする店。
    殺される寸前で、そこのウエイトレスになることで生き延びた女、カナコ。
    キレた男たちのなかでカナコは、死を感じながらの極限状態で仕事をこなす。

    カナコは、いつまでも生きていられないだろうなぁ
    と感じさせるシェフと客の残酷さに、クレージーさ。
    バイオレンスの描写がグロくって、萎えそうになるんだけど
    バーガーの美味しそうな描写が、読書意欲を復活させる。

    読んでいくうちに、冷酷なシェフに好意を持ち始めてしまった。
    ストックホルム症候群かしら・・・と思ったところで
    カナコも文章中に同じことを語ってた。
    好意だったのかストックホルム症候群だったのかは、結末で分かるでしょう。


    とにかく、バーガーが食べたくなる~ぅ

    ( ・_ゝ・)<女は度胸、そして機転

  • 20111101
    ごく普通の(でも少し物足りず、どこか空ろな)日々を送っていた主人公は、とある怪しいバイトを引き受けたがために裏社会へ転落。殺し屋専門の会員制定食屋(ダイナー)である「キャンティーン」で人殺し相手のウェイトレスをさせられるはめになる。

    初っ端から最後まで、読んでいて吐き気がするほどのグロいシーンと、うってかわっておいしそうな食べ物が登場するシーンとが入り乱れて出てくるので胃がおかしな具合になる。

    登場する殺し屋たちはみんな一癖どころか二癖も三癖もあるし、血の気が多く狂気的な彼らに囲まれ、元・一般人の主人公は神経の糸が張りつめて地獄の底を覗くような日々。
    しかし、殺し屋たちの気まぐれな闘争に巻き込まれていろいろと負傷させられたり、反抗的な態度を理由にシェフかつマネージャーであるボンベロに処分されかけながらも、ダイヤモンドが詰まった1億5000万のウォッカ「ディーヴァ」を盾にどうにか生き延びたりと、少しずつしたたかに立ち上がってゆく主人公が頼もしい感じ。
    何より、ボンをはじめとする人殺したちはみな個性が際だって魅力的だ(外見や性癖は必ずしも魅力的ではないが)。どこかしら心に傷を持つ殺し屋たちは、何を求めてダイナーを訪れるのか。その奇妙でどこか温かいふれあいの日々。

    ――で終わればいいのだが、やはりそう簡単にはいかない。やがて主人公たちは、ボンのオーナーを中心とする組織内争いに巻き込まれ、ダイナーにたてこもる決死の戦いを強いられることになる。
    主人公・オオバカナコは生き残れるのか? そしてボンは?
    希望を残した軽快なエンディングで、最後まで読み終えてすっきりした気分に。あとは、チーズを贅沢に使ったハンバーガーとスフレが食べたくなったかな。

  • これだけ楽しませてもらったのに、ひとに勧めるのはなんとなく後ろめたい不思議な本。

    現実離れしたバリエーション豊かな殺し屋が次々出てくるという点では、マンガのよう。
    (思ってもない人が実は残虐だったとか、まさかそこに武器が!?とか)
    先が気になって、500ページ近くを2日で読ませるあたりも。
    安易な映画化とか、間違ってもしないでほしいと思う。

    フレーズを頭の中で映像に置き換える度に、「うーむ」と思ってしまうグロシーンが多々ありつつ、意外と誰でも読めてしまうかも。
    いつもの読書とは違った脳領域を酷使して、暴力描写はおなかいっぱいなのに、ほかの著書も読もうとしている自分が怖い…。
    自動販売機の営業だとか、コンビニの店長だとか経歴が異色で、作者本人も気になる。

    お決まりの「硬派な男が心を開く」とか「犬が最終的になつく」とか胸きゅんポイントもしっかりと押さえているところは女子受けしそう。
    が…残念なのは主人公女子の印象が薄いこと。
    感情移入の余地を残しても意味のない設定なだけに、もっと濃いキャラクターがよかった。

    星1つ分はまるで洋書のような装丁に。
    直球で、お見事。

著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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