- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591112755
感想・レビュー・書評
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中学生向けのブックトークの中で紹介した一冊。
終わった後『ラストラン・・ラストラン・・』という小さなつぶやきがあちこちからもれて、
どうやらこの本が一番印象に残った模様。
帰りに図書館に寄るという子までいたので、大急ぎで返却することに。
そんなわけで手元に本がなく、記憶をたどってレビューを載せるはめになっている(笑)。
でも良かった良かった。
タイトルからは想像も出来ない内容だけど、その裏切られ方がとても爽やかな一冊なのだ。
人の死を扱うというモチーフ自体は、安易な気がしてあまり好きではない。
ところが色々な部分でこの本は特殊なのだ。
まず、亡くなったのは身内ではなく、お隣のおじいちゃん。
主人公の武が幼い頃から、本当のおじいちゃんのように慕っていた「ジイチャン」だ。
葬儀の場に向かう武の心の乱れ、後悔などが等身大で丁寧に描かれ、とても好感が持てる。
とりわけ、お姉ちゃんと見上げる星空の美しさは、今頭上に広がっているかのような臨場感だ。
ああ、そう言えば、これまで数々のお通夜の空を見上げてきたなぁと、妙にしんみりとしてくる。
本当にどうして、人が亡くなるとその夜の星空を眺めてしまうのだろう・・
そして、それがことさら美しいと感じるのは何故だろう・・
ふたつめは、「ヒサオ」と名乗る見知らぬ少年との出会いをからめ、そこで生じたいくつかの謎を、「ジイチャン」の葬儀の中で解き明かされていくという流れが、それは温かい物語になっている点。
そこには不自然さもあざとさもなく、読み手はすんなりとお話の中に入り込んでしまう。
「ヒサオ」と武の「ラストラン」の場面までが、二度と繰り返されることはないのだと分かると、まぶたの奥がじわっと熱くなってしまうのだ。
簡単なことなのに、私たちはどうして忘れてしまうのだろう。
繰り返しのきかない毎日を生きているということ。
言い訳をして出来なかった今日のことを、明日は出来るつもりでいる。
いつかは、いつかはと。
だが、「いつか」などという日は永遠に来ないのだ。
命のバトンをつなぐ作業の中で、武とともに読み手が学ぶのはそのことだ。
全編に流れるどこか懐かしい空気が、読み出してすぐその世界に引き込まれる魅力にもなっている。
128ページという短さなので、読書が苦手という子にもおすすめ。
小学校中学年以上から。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵がキレイ✨ 少し悲しい物語ですが、面白かったです。最後の方の主人公(武)が走っている絵も好きです❤️ヒサオが手を振っている絵も感動しました。
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素敵!
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小学生の女の子から、とっても面白いんです!とお勧めしてもらった本。
とても丁寧に描かれていてボロ泣きだった。
情景が胸にくっきり残る。
勧めてもらって良かった。
再読したい作品。 -
武が、ひさお(武のおじいちゃんの子供のころ)と一緒に走って、走り終わった場面のひさおがうれしそうにしていたところが面白かった。
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・主人公のおじいちゃんが死んでしまったときにあらわれた人と走って、最後に指を空に向けて出すところです。
・さいしょは悲しいお話かなと思ったけど、おもしろいところもあったので、おすすめにしました。
・この本は大事なことを教えてくれる本です。 -
図書館で何気なく借りた本。
題名からはまったく予想できない内容で、途中ポロリと涙が出ました。
「死」と言う暗くなりがちなテーマですが、
大好きだった隣の家のおじいちゃんの死を通じて
人の温かさや愛情を感じることができる作品です。
子どもが読むより大人が読んだ方が胸にぐっとくるかも知れません。 -
子供の課題図書で購入したが読んでみたら感動しました。
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武の家の隣に住むジイちゃんとバアちゃんは、実の祖父母ではないが
父親が幼い頃から世話になっていて、家族にとっては特別な存在だった。
ジイちゃんは、武が物心つくころから体が悪かったが、
武のことをとても可愛がってくれ、武もジイちゃんが大好きだった。
そのジイちゃんが死んだ。
武は悲しい思いよりも、謝りたい気持ちのほうが強かった。
なぜならここ数年は、忙しさを理由にジイちゃんに会いに行っていなかったから。
ジイちゃんは武のことをいつも待っていてくれていたのに・・・。
お葬式の準備に追われる大人たちに追いやられた武は、一人の少年に声をかけられた。
「走ろう」
死んでしまった人には二度と会うことはできません。
その事実に向き合うには、時間が必要です。
ジイちゃんと別れるときの武の気持ちが、丁寧に描かれている物語です。
誰もがいつかは経験する気持ち、自分に重ねたらウルッと来ました。 -
心温まる作品です。