(P[ま]1-3)雨にもまけず粗茶一服<下> (ポプラ文庫ピュアフル ま 1-3)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591114247

感想・レビュー・書評

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  • 自分探しの旅。
    いくつになってもいろいろと悩み、迷うことはあり‥
    長かったものの面白く読み進められた。
    何気なく散りばめられた茶道の知識(蘊蓄?)が勉強になりました。

  • 一気に流し読みf^_^;でも上巻よりも遊馬が好きになりました☆カンナと幸麿さんはやっぱり結婚するってことなのか⁈それから行馬も結婚するのか⁈(笑)なんだかんだと続編が楽しみになりました。

  • おもしろい。「イタイ」若者がこれからどんなふうに生きていくのか、ますます先が楽しみ。

    わからないことをわからないと言うことは、時に難しいけど大切だと思った。遊馬が「わからない」と返すくだりは読んでいて逆に爽快な気がした。

    また、持って生まれたものや知らず知らず身についているもの(これが人間の品格というものか…?)といのは隠しようがないものだと、遊馬を通じて気づかされた。

    親としてどれだけ真摯に子育てに向き合ってきたか、思わず過去を振り返ってしまった。

  • 終わってみれば、茶道家元の惣領息子の自分探しの旅、完結編かな。

    最後の替え詩が秀逸で、こんな家元さんがいたら、私のような者でもお茶を心から愛せそう。

    主人公が幼少の頃、いやなやつとの印象を持った宗家巴流の跡取りさんの死にまつわるエピソードが、切なく、悲しい。

  • 積んではいたものの、中々手が出せないでいた松村さんの最新作。
    エンターテイメント(娯楽)とうたっているが、どちらかというと喜劇(コメディ)に近い。役者がいて役をこなし、役者と出来事を通じて救いがもたらされる。読んで楽しいというよりは、読んでともに洗われる感じだ。
    松村さんのスタイルとも言える、「世をすねた」独特の人物。語りは率直なのに軽くなく、深く突き刺さることば。気晴らしだと思ったら、逆に痛い目を見る。あるいは、ことばに響かない。
    長編作品ということもあって、人物や事件がとても多く、いったいどこへ向かっていくのかはらはらしてしまったが、まるで茶会で趣の異なる道具や場・人が共鳴してひとつの茶を紡ぎだすように、てんでばらばらな人や出来事が溶けあってことばの中で生きている。
    松村さんにとっての茶はなんだろうか…たぶん浄化ではないだろうか。
    逃げ出しても、眠りに落ちたとしても、現実は何一つ変わらない、傷だらけのまま。それでもこの一杯の茶だけは。
    昔がどうであったか、これから成功するのか失敗するのか、過去は思い出で未来はただのシルエットにすぎない。それでもそれらを結ぶ今だけは。

  • 実家の茶道の家元を継ぐのがイヤで家出した遊馬。最初は、傍目にもイタい、読むだにいけ好かないヤツだったのに、京都で置き去りにされ、居候した家で、個性的な面々とふれあううちに、自分の中で進みたい道が決まり、最後は…と。青い鳥じゃないけど、遠回りしたけれど、訳も分からずいわれたとおりにやるのと、自分の中で思い定めて覚悟を決めてやるのとでは自ずから違う、と。弟子入り志願の伊織に、一度しか言わない、”剣を極めた者は、もはや剣は使わない”というシーンが愁眉かな、と思った。鶴了さんの「わたしは、どないつらい目に遭うても<敬>の心を忘れんといたら、そない恥ずかしい人間にならんですむと思てます。」て言葉と、カンナの「祖先を誇りに思うことと、ひとを蔑むことは違います。ひとは遡れば皆類人猿の子孫です」という言葉をひきつつ。この小説の取材が先か、エッセイの流れでこの作品かはわからないけれど、著者の「ひよっこ茶人の玉手箱」も手に取ってみたいと思った。また作中よく引かれる禅語がおさめられているという「碧厳録」にもあたってみたいと思う。

  • おもしろかった。
    遊馬が、嫌がって逃げていた茶道に戻っていくところがよかった。
    周りの登場人物も、それぞれ個性があって魅力的。

  • 前半はどうにもノレなかったが、後半は話が進むからイイ。この本に限らずどうにも童話的な語りが苦手なのだけれど、そこを差し引いても楽しかった。

    関東の小さな茶道の家元に生まれた長男遊馬は、大学受験をすっぽかし音楽に明け暮れ、前髪なんて青い。親を怒らせ厳しいお寺へ修行に出される前に家出するのだが、居候先が彼にとっての鬼門、茶道の本元京都のそれも畳屋だ。そして成り行きで茶が趣味の人々と交流する羽目になり、茶道に対する反発を覚えながらも定例のような茶の集まりに参加する遊馬だった。

    茶道の知識なんてゼロと思いきや、身体で覚えてる遊馬。名前や由来は知らずとも、自然にこなせてしまうのが、読んでいてどこか愉快で笑えるんだよなあ。しっかり身についてるじゃないか、と。心地いい。
    そんな彼は恋をしたり、大人びた弟の自立する様子をうかがったり、そんなこんなで自分の歩む道を見つけていく。成長物語なんだけど、自分を見つめ直していく段階で遊馬らしさが損なわれていなくてナチュラルで、すっと入ってくる。そして何よりもラスト…! あれはもう思い出すだけで笑えてしまう。そしてタイトルに込められた意味に気付いて、ふふふ、と思う。

  • 最後の尻切れとんぼ感は否めないが…

    全体的には好き。

  • 途中で挫折。下巻になり主人公の甘さはなくなったけど、身勝手だし面白さがなし

  • 京都などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

1990年『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞。92年『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞。他に自身の茶道体験を綴った『ひよっこ茶人、茶会へまいる。』、武家茶道を軸にした青春小説『雨にもまけず粗茶一服』『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』、古典を繙く『京都で読む徒然草』などがある。

「2019年 『夢幻にあそぶ 能楽ことはじめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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