桃尻娘 (ポプラ文庫)

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著者 : 橋本治
  • ポプラ社 (2010年6月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591117552

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桃尻娘 (ポプラ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 敬愛する内田樹さんのオススメにより読んでみたのだが…。
    正直、読むのが苦痛やった。
    最後まで読んだらおもろいのかも?と思って頑張ったけど、途中で断念。
    もう無理やった。

  • お友達のおすすめで読んだ本です。
    「吾輩は猫である」じゃなくて、「吾輩は女子高生/男子高生である」。なんだなあ、と読み終えてしばし考えて、思いました。

    本の存在自体は、良く知っていたんです。「桃尻娘」という本自体は。
    なにしろ、1978年の本です。
    僕が本屋さんに通い始めたのは、多分1986年くらいからで、その頃にはとっくに文庫本になっていたんでしょう。
    でも、なんとなく読まずに、30年近く。
    買って読もうと思ったら、amazonでは新刊本が扱ってなかった(笑)。

    読んでみたら、とっても面白かったです。読み易いし。
    ほんとに、「吾輩は女子高生/男子高生である」なんだなあ、と。
    夏目漱石は、猫からの目線で、マア文明批評、と言うととっつきにくいですが、「人間って、大人って、明治の社会って、インテリたちって、変だねえ」ということを描いたわけです。
    それと同じだなあ、と。

    ざっくり言うと、「1970年代の高校生の日常の物語」です。と言うとザックリすぎて、勿論いろんなことがあるんですが。
    基本全て一人称小説なので、出来事よりも、その人の考えているコト自体が面白いか面白くないか、という文体というか世界観の勝負ですね。
    (つまり、そういうところで、受け付けない人は、受け付けないんだろうな、と思います)

    一応、三人くらいの高校生の一人称小説なんです。

    それぞれに、親がうざかったり、セックスに挑んだり、ある種の暴力に出会ったり、世間の常識に外れて非難されたり、
    進学に悩んだり、友人関係に辟易したり、オトナに吐き気がしたり、大人に憧れたり、妙に老成したり、学校が嫌になったり、
    それでも相変わらないレールの上の明日と来月と来年がやってきたり。

    色々あるんです。

    そういうこと自体は、実に風俗的にかるーく書きながら、狙ったかのように30年経っても、あまり違和感がない。凄いですね。

    で、実に素敵に深刻じゃないんですね。
    軽くて、フザケてて、皮肉で、ある種無気力で、実際当然無力で、でもぶつくさ怒っていて、ずっと怒ってます(笑)

    僕は、「新婚家庭のスノッブさに辟易する事件」とか、
    「友人との交際を親にぐちゃぐちゃ言われて激怒する事件」とか、
    「ホモがばれて親が大騒ぎする事件」とか、
    いくつか、ほんとーに面白く楽しく、読ませてもらいました。

    橋本治さんですから。
    非常に戦略的に軽いんです。バカバカしいんです。猥雑なんです。
    そうじゃないと描けない、キレイゴトじゃない生なところからの、キレイゴトへのロックンロールな反発感情なんですね。
    ロックンロールだなあ、と思うのは、結局出口や解放なんてないし、それをもう、主人公たちは実に理性的に判っているんですね。
    だから、恐らくは1970年くらいまでのオトナへの闘争の文学とか実にキレイに一線を画しています。
    そんな中で、ある種、泥だらけの純情な青春、という紋切型への吐き気を覚えながら、実に見事に若者たちが泥まみれにもがく青春が描かれています。
    これ、とっても素敵です。

    そして、「若者たち」を描いた小説なんかではないんです。と僕は思いました。
    描いているのは主人公格の4名だけです。
    その子たちは、まるで橋本さんの分身かのような教養と理性を持ちつつも、小説家だったりはしないので、
    世界にどうやっても負けていかざる得ない、怒りと不満とぼやきを、一人称でたたきつけてきます。
    それは、確実にいつの時代でも、同年代の多数派とは全く世界が異なるんですね。
    少数派なんです。だから、今の時代でも面白い。
    感受性とアタマが良すぎる未成熟な10代の高校生たちの、暴走する自意識と美意識の泥沼の葛藤記録になっています。
    どれだけスカしてカッコつけてても、結局はドロドロに汚れて傷ついて。
    明日に向かって走るなんて恥ずかしいよね、という自意識を抱えながら、とぼとぼながら、やっぱりどこかへ行こうとしてるんですね。
    ユーモアと自嘲とギャグとエッチをかき分けながら、10代の茨の道を、自分自身を冷静に俯瞰で観ながら、掻き分けていきます。
    面白いですね。

    なんていうか。
    70年安保などの時代が終わって、シラケや享楽と呼ばれる時代になりつつあるなかで。
    それまでの紋切型の若者像が、もはやギャグか憧憬にしかならないという、
    前例なき豊かさの時代のしたたかで諧謔な精神って言いますか。
    それは、恐らく現代思想とか構造主義とかといっしょで、明文化されていなくても、2014年現在はアタリマエの精神として根付いているものなんですが。
    それが、どういう風に頭をもたげてきたのか。
    という非常に現代な精神史を垣間見た気がして。そういう意味でも面白かったです。

    この、不真面目を装うことでしか発砲できない怒りというか。

    「桃尻娘」が1978年の本なんですけど。
    作者の橋本治さんが、1948年生まれ。
    実は、ふっと思ったのは、つかこうへいさんの世界観なんですね。
    つかこうへいさんの世界観は、実は恐ろしく80年代以降の物事の考え方を先読みして提示している、と僕は思っているんですが。
    この、つかこうへいさんが、同年1948年の生まれ。
    そして、「熱海殺人事件」で岸田戯曲賞を受賞したのが1974年なんですね。25歳。
    やっぱり、つかこうへいさんの影響、あるんじゃないかなあーって…。
    そう考えると、どこかまだ「思想」や「革命」や「反権力という権威」とか「政治」に引きずられていた、アングラや文士文学の時代に、
    裂け目を切り裂くように出てきた、つかこうへいさんの存在がすごいなあ、と改めて思いました。
    つかこうへいさんは、戯曲、演劇というフィールドでまず、磁場を固める訳ですけど。
    橋本治さんの場合は小説・本ですから。
    これ、2014年現在でもそうですけど、1978年当時とか、1980年代は、いわゆる権威筋の評価は無理だったでしょうね…。
    何しろ、戦略的に不真面目で風俗的に挑発的で、下品で猥雑で浅いんです。戦略的に。
    その証拠に、零れ落ちる独り語りの心象風景や文明批評は、鋭いッたらありません。困ったもンでしょうね。
    堅い大人からすると、一見、校則違反や非行やセックスを奨励しているとしか思えないでしょうから。

    なんとなく、つかこうへいさんがいて、橋本治さんがいて。
    別線の安全地帯に丸谷才一さんがいたり。SFという限定フィールドで筒井康隆さんが生息していたり。
    そういう土壌に、小林信彦さんとか嵐山光三郎さんとか椎名誠さんとかが出て来たんじゃないかなあ、と思いました。
    (もちろん、別役実さんがいたりとか、江戸川乱歩さんがいたりとか、色々な振れ幅があるでしょうし。
     また別に、村上春樹さんが1979年に本を出し始めたりする訳ですが)

    でも、この小説で主人公たちが一貫してぶつぶつと怒りを叩きつける、
    「大人の常識」やら「望ましい青少年像」やら「幸せの定義」やら「大人へのレール」やら「集団の社会」と言った相手は、
    2014年現在でも、頑として健在。だから、古くありません。面白い。パチパチ。

    そして、処女作なんですけど、実に巧みな小説だと思いました。
    「あとがき」にいろいろ書かれていますが、とにかく一人称の利点をぶん回して、ぐいぐい飽きさせない。
    会話体の乱用、描写の極小。暴走する10代の心理で没頭していくという、日本語の振り回し方。
    リズム、テンポ。スカして、スネて、ワルぶって。
    そんな果てに、ふっと夕日が目に染みるような、ぐっと泣けちゃう青春小説。
    おすすめですし、ちくま文庫あたりで復刻すべき名作だ、と強く思います。


    ##############

    全部で5章。若干のネタバレですが備忘録。

    ①「桃尻娘」
    高校1年生の榊原玲奈さんのお話。とにかく、何事も面白くないんです。ぶつくさ言います。
    つかみとして、「処女を卒業した」ということが語られます。
    そして、事件で言うと、お友達のオカマ男子高校生・木川田君が、中年のおじさんにまとわりつかれている、という事件があります。
    これを解決しようとするけど、母親にうざく立ちふさがれて、プチ家出をして海を見に行くぜ、というところで終わります。

    ②「無花果少年」
    高校2年生の磯村薫くんのお話。この子は、美少年なんです。
    そして、中学の頃(だったかな?)、不良の女子高生三人に、よってたかって玩具にされて、逆レイプされちゃった、という思い出があります。
    そして、大学生の兄がいます。
    この大学生の兄が連れてきた恋人さんが、なんとその三人組の1人だった、ということに愕然。
    なんとも言えない他愛もない復讐心で、その女の子と付き合うけど…というオハナシ。

    ③「まんごおHOUSE」
    高校2年生になった、桃尻娘こと榊原玲奈さんのお話です。
    事件としては、
    「女友達がいる。この女友達の兄が社会人で新婚。その新婚家庭に遊びに来い、と言われた。女友達とふたりで行く。
     新婚家庭のスノッブな幸せ自慢と、俗物具合に気分が悪くなる」
    「行きつけの喫茶店のマスターがけがをして、自宅まで送る。
     マスターの奥さんの、しゅっとした素敵な大人ぶりに、なんとなく失恋気分になる」
    という二つの事件です。

    ④「瓜売小僧」
    高校2年生の、オカマ、ホモ、同性愛者の、木川田源一くんのお話です。
    バスケット部の素敵な先輩に片想いしつつ、なんだか行きずりで美少年と関係したり、オジサンと関係したりと、ハードな日々。
    なんだけど、ホモであることが親バレして精神科に連れていかれたり、つきまとうオジサンとばったり会ったりします。
    それでも心では、先輩への純愛を貫きます。

    ⑤「温州蜜柑娘」
    高校3年生になった、桃尻娘こと、榊原玲奈さんと、お友達になったお嬢様の醒井涼子さんのふたりのお話です。
    メインとしては、大学受験へのうざったさと、最後の文化祭で、なんだか判んないけど「お化け屋敷」をやることになってしまうオハナシ。
    お化け屋敷準備で、お嬢様で交流のなかった涼子さんとお友達になる。

    という5編。②と④にも、脇役として玲奈さんは出てくるので、まあ、全体を貫いて真ん中は桃尻娘・玲奈さんです。
    最後は、大学受験に失敗して浪人して終わります。

    ################

    (僕としては、実はやっぱり②③④⑤、と面白くなりました。
     ①も、終盤は物凄く面白かった。
     出だしでなんとなくつまづいても、チョットがまん、我慢です!

     ①の終わり方とか、ホモ少年の④の終わり方、実は恥ずかしながら、グっと来ちゃいました)




    で、これが、「吾輩は猫である」だなあ、と思ったのは。
    読みながら、面白いんですけど、ひっかかってたのは。

    「1978年の高校生のことは判らないけど、こんなに教養深い訳ないよなあ」

    ということなんです。

    主人公・榊原玲奈さんを筆頭に、しゃべる高校生たちが、実に教養あるんですよ。
    コトバの選び方、大人社会への皮肉の言い方。
    サブカルチャーの趣味など。

    執筆当時、東大出身で、卒論が鶴屋南北で、歌舞伎からフランス文学まで網羅して、イラストレーターなどやっておられた橋本治さん。
    文系の教養で言えば、日本で3%くらいに入るくらいの、当時30歳。

    なんていうか、主人公の浮遊した気分とか、閉塞した感情とか、あっけらかん度合いとか、気まぐれ具合とかは、高校生っぽい気がするんですが、
    教養で言うと、東大文学部卒エリート30歳、という感じ(笑)

    ということが気になってたんですが、でも、それは、だからと言って面白くない、ということではありません。
    十分に面白いんです。
    漱石の「猫」について、「猫」がそんなに教養あるわけないじゃん、といちゃもんつけてもしょうがないですよね。
    それと同じだなあ、と。
    別段社会現象のジャーナリズム的なリアリズムだったら、小説である必要ないですから。週刊誌の記事読んでれば良い訳で。

    しかしまあ、30歳にして、これだけの博覧狂気、いや博覧強記ですが。
    そして、ダンコたる言葉づかいへのアプローチ。
    やっぱり、オソロシイ文筆家だなあ、と改めて。
    橋本治さん、古典翻訳シリーズも気になるし。
    まだまだご健在、ゆっくり今後も楽しませてもらいます。

  • 面白かった!なんか、橋本治って、ちょっとハードル高いじゃないですか。それで読んだことなかったんだけど、これはねえ、面白かった。会話の文体とかはあえてそうする必要はあるのか?ってのはあるけど、読みやすいし。本人のインタビューを一度読んだことがあって、「質より量だ」ってことをなんか言ってたんだよね。

  • 女性心理について考えれる本です

  • いやー面白かったです。

    一行目、
    いや、
    一文字目からいきなりトップギアで始まる、
    ノンブレスでひたすら独白を続ける女子高生のお話。

    回転数はものすごく早いんだけれど、
    現実は全然進んでいないところはおかしみが溢れていて良いです。

    漫画の走る描写で足だけぐるぐる回ってるやつがありますでしょう?
    あんな感じ。

    これも一種の「ギャップ萌え」というやつでありましょうや。

    タイトル通りに、
    落ち着かなくて不安定な女子高生の様は、
    厭世的で刺々しくて滑稽で可愛らしくて気高い。

    特に物語はないのですが、
    その疾走感たるや「青春まっしぐら」といった趣で、
    青春の気分をこれほど活写しているものは、
    あまりないのではないかと思われます(小説詳しくないけれど)。

    この人の本の面白さは、おそらく文体にあります。

    わたしが本を読む動作(ページをめくる、視線を動かす)と、
    話のスピード感が渾然一体となって、
    走っている時の「ランナーズ・ハイ」みたいな
    「リーダーズハイ(そんな用語ないけど)」な感覚になります。

    軽薄かつユーモラスにダダ漏れる思惟に、
    わたしの身体が同調しているのでしょう。

    ただただ気持ちがいい。

    こういう身体で本を読む類の快感は、
    町田康に近いかもしれません(あれは酩酊かな)。

    しかしながら、
    身体で読む本というのはやはり珍しいのでしょうね。
    ということでおすすめです。

    また、
    舞城王太郎のルーツはこのあたりにあるんじゃないかしらん、
    と邪推しております(「阿修羅ガール」はたしかこんなんだった気が・・・)。

  • やっぱり玲奈ちゃんは、賢くて可愛いな!

    千々に乱れて、混乱しつつも前に進むのが十代の素敵なところ。

    わかりやすい事件が起きて素晴らしい友情が育まれる青春時代なんか嘘くさいと思ってしまう。
    そこのところをこの本は、マジメに嘘つかずに書いてくれてます。

    私の十代(時代はもっとあと)も怒って、考えて、呆れて、驚いて…でパンパンにはちきれそうだった。

    それから立派な大人になれたかどうかはともかく、今回改めて桃尻娘を読みなおして、思春期があってよかったと振り返りました。

  • 図書室の司書さんにすすめられて。
    地の文もああいう喋り言葉で書かれると、最初は読みやすいかなと思ったけど、凄まじく読みづらかった。


    内容はちょっと擦れた女子高生(もしくは男子校生)の愚痴が延々と続く感じで、少しだけ疲れる。

    でも、何故かこれから登場人物がどうなるのか気になってしまう作品。
    他の橋本作品も復刊してほしい。

  • 橋本治の30年前のデビュー作。
    周りの現実と折り合いが悪いというか、やたら怒っている女子高生玲奈ちゃんが主人公。
    高校生っていえば?お勉強?しかなくって、女の子っていえば?純潔?しかなっくて、どうしてそんなつまんないものしかあたしにないの?あたしが他の?何か?であっちゃどうしていけないの?あたしは絶対そんな役に立つ物なんかなりたくないんだ。
    橋本さんの批評と同じリズムのモノローグを堪能した。美少年の薫君やホモの源ちゃんとか判らん理屈捏ねてる同級生とか、総じて男の子が馬鹿みたい。温州蜜柑娘の醒井さんとの両極端な女子の会話とか、なんで男性が書けるんだろ。
    これは中3の娘には読ませられんなあ。

  • タイトルみてあぁっ!これ!と声出しそうになりました。
    まさに高校生の時読んで、成人してからもふと思い出し図書館で探して読んで…ハードカバーは本屋さんで見つけたことなかったので買いはぐってたんです。文庫になったんだ。いいタイミングで再会できました。当時は気にならなかったけど玲奈ちゃんの足の踏み場も無いほどの徹底した苛々ぐるぐるっぷりはスゴイなぁ。目線が変わるくらい自分は遠くにきちゃったのか…良いのか悪いのか。
    でも、大好きなことに変わりはなかったです。
    橋本さんの「主人公たちを尋常じゃないくらい愛している」って文字が嬉しかった。読み手が勝手に嬉しがるくらい魅力的な人達の青春です。玲奈ちゃんに「良かったね!」なんて言おうもんなら潰される勢いで罵倒されそうだけど(笑)

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桃尻娘 (ポプラ文庫)の作品紹介

「高校生の私にだって、言いたいことはある!」女子高生・榊原玲奈のリアルな語りが話題となった、橋本治のデビュー作「桃尻娘」をはじめとするシリーズ第一部。著者自身が、「自分の原点」と呼び、愛する大河青春小説、待望の復刊。巻末に著者特別インタビュー「桃尻娘の意外なルーツ」を収録。

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