ばら色タイムカプセル

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著者 : 大沼紀子
  • ポプラ社 (2010年8月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118115

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ばら色タイムカプセルの感想・レビュー・書評

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  • 学年イベントでタイムカプセルを作って校庭に埋めたのは、中学三年生の頃。
    15年後、みんなが30歳になる年に掘り返すことを約束し、
    自分の一生を想像して書いた年表と思い出の品々を、ぎゅうぎゅうに詰め込んで。

    そして約束通り15年後、遠くから皆駆け付けて懐かしい校舎でカプセルを開け、
    根拠のない自信に後押しされて書いた、あまりにも立派な自分の未来像に赤面したり
    あの頃、クラスでだけ大流行していた遊びを思い出して懐かしがったりしたあと
    記念誌を作るため、カプセルの中身を学校に置いて、とりあえず解散したのですが

    消えてしまったのです、全部。 文字通り、煙になって。

    何もしらない在校生が、「なんだ?この汚い紙切れの大群は」と
    思い切りよく焼却炉で燃やしてしまったとのこと。

    でも、その時ふと思ったのです。
    消えてしまったんじゃなくて、消えてくれたんじゃないかって。
    あの頃の輝かしい成績も、あるいは思い出したくない辛い思い出も
    15年の時を経て、かたちあるものとして甦るのはたった1日でじゅうぶん。
    あんなこともこんなこともあったけど、あの頃の栄光からも屈辱からも自由になって
    今いる場所で、思うまま生きていいんだよ、とでも言うように。

    この『ばら色タイムカプセル』も、可愛らしいタイトルと表紙からは
    想像もできないような苦い過去や罪の意識に彩られた物語だけれど
    心のタイムカプセルを開いたとき、その中身に捉われ、引き摺られて生きるのか
    しっかり咀嚼して栄養にしてしまうのか、解放して清々しく見送るのか。
    できることなら明るい選択をして、前を向いて生きられますように、と
    13歳にしてストレスで白髪になってしまった奏を見守る
    大沼さんのまなざしが温かく、心に沁みます。

    家出した奏を受け入れる老人ホーム、ラヴィアンローズのおばあちゃんたちの
    悲しみも淋しさも昇華した「プロの乙女」ぶりが素敵な物語です。

  • 母のDVにより崩壊した家族。父は自分の家庭教師と再婚。どちらにも迷惑をかけたくない、しっかり者の奏は用意周到な家出を企てるが…

    そこはやっぱり13歳。仕事にはありつけず、思い詰めた彼女は身投げして…三人の天使ならぬ、おばあちゃん方に拾われ、特別養護老人ホーム「ラヴィアンローズ」での住み込みバイト生活が始まる。

    髪の白髪化と言えばマリーアントワネットかブラックジャックが定番だけれど、多分これは最年少。

    海老様似のイケメンコックをストーキングするプロの乙女トリオに、厨房を独占して凝ったフレンチだの好き勝手に作り上げる者、昔取った杵柄でホーム内にクラブを開いてお酒を振る舞う者…個性豊かな人生の大先輩方に圧倒されながらも自分の居場所を見つけ出す奏。

    しかし、ホームには奇妙な噂があって…

    可愛らしいおばあちゃんになりたいなと思うけれど、まだおばちゃんにはなりたくないお年頃に読了。

  • 中学1年生の奏は父親の再婚を機に家出をし、放浪した末に崖から飛び降りて自殺しようとする。
    しかしほぼ怪我なく流れ着き、女性専用の老人ホーム「ラヴィアンローズ」の老人たちに発見される。
    奏は、年齢を20歳と偽って、ラヴィアンローズで働くことになり、元気いっぱい、毎日好きなことを暮している老人たちと出会う。
    この老人ホームの名前の由来ともなった、入居者の遥さんが大事に育てるばらの園の秘密、調理師として働く田村くんの秘密、そして奏が家を出た本当の理由…。途中からはミステリー調になっていきます。

    酸いも甘いも知り尽くして、悲しみも憤りも笑いに変えて、老い先短いことを前向きに受けとめて、大好きな歌舞伎の鑑賞とスクラップとおしゃべりに一日一日をつぎこむ、プロ乙女のお三方の豪快な生き方がまばゆかった。
    耳が遠くて話の通じにくかった病床の祖父が、当時、あれこれ悩んでいた私に言ったことを思い出した。
    「それもまた人生や。色々あるよ、そりゃ人生長いんやもん」と。
    あまり聞いたことなかったけれど、祖父も若いころは軍人として戦争に出て、厳しい敗戦後を乗り越えて、商売に精を出して結婚して子どもを育てて…。たくさんのことを経験して、今があるのだなと改めて思った。
    私も「人生色々」を乗り越えて、好きなことに目を輝かせてキャッキャと楽しむプロ乙女、騒々しくっても憎めない可愛いおばあちゃんになれたらいいのにな。

    人一倍、人の気持ちに敏感で、自分の苦しさは胸にきゅっと閉じ込めて、13歳なのに早熟した考えを持つ奏。
    自殺を試みるなんて、なんて重いものを背負わせるのか、と思った「バラ色」とはほど遠い始まりだったけれど。繊細で傷つきやすい身を棘で守り、時間と手間をかけると美しい花を咲かせて魅せてくれるバラのように、奏が花を咲かせるのはまだこれからなのだ。

  • あーまたタイトルに騙された(爆)。
    『ばら色タイムカプセル』なんて字面の綺麗なタイトルついてるのに
    揃いも揃ってずいぶんヘヴィーじゃないか。

    13歳でストレス要因の総白髪で義務教育放棄して家出とか
    (しかもその方法がやたら周到だし)これをヘヴィーといわずして何という。
    お年寄り連中はヘヴィーな何某に折り合いを付けつつ日々を生きてて
    若いもんはそこから学んでもがいて前に進んでる感じがした。
    それでも最後の方で田村くんが語ってたくだりはだいぶずっしり来たけど。
    いくつになっても生きてくってのは難儀なことなんだなぁとしみじみ。

    それにしてもやたら綺麗なタイトルのお話には要注意だな。
    何処に棘やら毒やらが潜んでるか分かったもんじゃない。
    …それって昔の童話のお決まりのパターンじゃないかΣ(|||▽||| )

  • あー、いいですねえ、こういうお話好きです。

    再婚した父親と再婚相手と一緒に暮らすのが嫌で家出→自殺未遂した白髪の女の子、奏ちゃんが老人ホームで元気なお年寄りたちと過ごして自分を見つめ直していくお話。

    児童書ちっくですが、書いてある内容はかなりシビアで重い。
    けど、それを全く重く感じさせないおばあちゃんたちの明るいキャラが素敵です。

    遥さんの狂気じみた愛情がぞっとするほど美しいバラの描写と相まって凄味を増しております。
    美しいものが見えないところに隠しているものって一体何だろう。

  • 表紙には色とりどりの薔薇の咲く庭に立つ白い髪の女の子。13歳の家出少女奏(かなで)は、衝動的に海に飛び込む。流れ着いたのは海辺の不思議な老人ホーム、ラヴィアンローズ。年齢を詐称して個性豊かな老人たちの世話をしながら暮らすうちに、奏は咲き誇る薔薇の庭にまつわるある噂を耳にするようになる。そこに隠された秘密とは・・・。人の心の不思議とあたたかなつながりを感じる、心に残る一冊。

  • 親に愛されたくって頑張っちゃって、でも本当は違うの。そんな子供が家をでて、老人ホームで生活するお話し。フィクション

  • この人の書き方好きかも

  •  文章がきれい。すんなりと頭に入ってくる、優しい話です。
     不思議な老人ホームと訳あり中学生。お互いに、とてもしたたかです。少しだけ棘があるのが大沼さんの特徴かと。人を思いやる事にいろいろな形がある。甘いだけではない。
     とても気持ちのいい話で、最後も納得です。
     

  • んーやっぱり13というのは無理がある気がする(苦笑)
    どう頑張っても大人びている子でも全体のシルエットが子供だもの。
    と思ってしまうので、前半は説得力にやや欠ける印象でした。
    とまあ、ひっかかるものはあったけど、それなりに面白くは読めました。

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ばら色タイムカプセルの作品紹介

13歳の家出少女・奏が流れ着いた場所は、海が見える町にたたずむ、不思議な老人ホーム『ラヴィアンローズ』だった。咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称して働きはじめた奏は、薔薇園に隠されたある噂を知ることに…。40年以上の時を超えてその秘密が明かされるとき、止まっていた、みんなの時間がふたたび動き出す。

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