監察医の涙

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著者 : 上野正彦
  • ポプラ社 (2010年6月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118542

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監察医の涙の感想・レビュー・書評

  • 医者は医者でも死体を診る医者。

    迷宮入りの事件を扱うテレビ番組にて、ゲスト出演されている上野先生。

    どんな被害者でも、死体になった理由がある一方、加害者にも犯行におよんだ理由があるという。

    生々しいサスペンスドラマを想像してしまう。

  • 監察医が泣いた話が32話収録されています。その32話の冒頭近くに「刑事の涙」があります。泣いた監察医が唯一見た「刑事の涙」、もう涙なくして読めないです。夫が事故で死亡、母は、幼い子、長男長女を働き通しで養い、自分は食べものも我慢し、何もない部屋にランドセルが二つ・・・。兄である男の子が妹の手をぎゅっと握りしめていた。男の子は涙を見せず、母親が亡くなった様子を刑事に話している。聞いていた刑事が、「ちょっと」と言ってその場から離れた。

  • 30年で、2万体の死体を監察医として、検死、解剖をして、死体から、真実の声を聞けるようになった作者。

    小説や、ドラマではなく、事実の事柄が、書かれており、まさに、胸が詰まる思いがする。

    「はじめに」のところで、愛犬のマルチーズが、亡くなる時に、生きているものとのつながりが無くなって行く小さき者への憐憫に声をかけてやる姿に、心優しさが、溢れている。

    刑事でさえ真美だする事件から、虐待死まで、色々な、死を直面して、最後に、妻との死について語っているが、医師でさえ、身近な物への病魔が、解らなかったことに対して、思い悩んだのであろうと、推測する。
    城山三郎氏が、「もう、君はいないのか」と、書かれたのと同様に、奥さまを、とても、信頼し、愛してらっしゃったのだろう。
    死からの1週間後に、空気の様な存在に、今ここに居ないという現実に向き合い、どれほど、自分の気持ちを整理しないといけなかったか?
    しかし、毎日、仏壇に1日を報告する作者は、死者への言葉も理解出来る人であり、きっと、奥さまも、作者の1日の出来事を、聞いて、笑って、うなづいていると思う。
    そんな姿を、想像してみた私であった。

    現在の監察医と言うのは、医師に比べて、給料が、安い割に、仕事は、とても、ハードであり、監察医を必要とする死体が、なかなか見てもらえない状態にあると、聞いたことがある。
    あとがきに、書かれてあったが、今の時代、複雑な事件に、監察医制度の普及も必要だと思う。
    作者の様な監察医が、増えることを願う。

  • 2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師の『監察医の涙』。

    監察医としての誇りと、死から人をみるまっすぐな眼差しで、死体にまつわる行き場のない切ない話が32編おさめられている。

    様々な生き方や死があり、そこに向かう著者の姿勢は、生や死の讃美をこえて、世の実を真っ向捉えていると思う。
    どの話も考えさせられるものばかりだけど、最終話『妻の死』は、作者が妻の死について”やっと自分の中で語れる時が来た”として綴られていて、より特殊に感じた。

    ともすると、死は僕達の生活から隠されてしまう世の中になっているのではないか。
    死というものを意欲的に身近に感じたいとは思わないけども、死を想い、生き様を感じることは大切だなと感じた。

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    【内容(「BOOK」データベースより)】
    2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、忘れられない、愛と生と死のドラマ。
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    【目次】
    まえがき
    死体は語る
    刑事の涙
    夫の献身愛
    涙で運転ができない
    炎の中に
    偽りの発表
    父子心中
    コインロッカーベイビー
    分娩
    虐待
    おかあさんといきます
    父の背中
    君ひとりで逝かせるわけにはいかない
    過労死
    インターネット自殺
    行為中に老女は死んだ
    信者
    親の愛
    独占欲
    アルコール依存症
    おんぶ紐
    アメリカでの母子心中
    お父さんを許せない
    いじめ
    涙をこらえて
    我が子を殺めた母親
    お世話になりました
    バラバラ殺人事件
    歪んだ愛
    セレブ妻
    知人の検死
    妻の死
    あとがき
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  • 監察医という仕事は、死体の検査と、その裏にある複雑なドラマを読み解く仕事なのだと感じた。

  • 淡々と多くの事例を紹介していて、さらっと読める。
    個人的には一つ一つを掘り下げて、監察医の仕事をもっと詳しく教えてほしい。

  • 読む迄認識したことのない世界。
    致死率100%である以上、見過ごせない事態。
    自分の時はどうだろうか。

  • 実際に起こったことに対して監察医の立場から見た話。何度か涙してしまう話もあった。事件ごとに話がわかれていて、読みやすく、不謹慎かもしれないが、とても興味深い内容だった。違う作品も読みたいと思った。

  • 30年のあいだに2万体もの死体に向き合ってきた司法監察医の言葉が胸にくる。とくに事件性の高い死体は何かを訴えていることが多いという。不運にも命を落とした遺体からは無念さや切なさが伝わってくるとも。そういえば父が亡くなったとき家に警察医が来たと聞いた。事件性はなかったが、日中誰もいない家の中で倒れそのまま息をひきとった父。いったいどんな思いを残して逝ったのだろうか。

  • 読みやすい文章で、最後までサクサク読めました。

  • いかなる虐待を受けても、子にとって頼れるのは親しかいない。どれほど痛かったか。辛かったか…。2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、時を経てなお忘れ難い、愛と生と死のドラマ

  • 無我の境地にいる人って凄い。

  • あの有名な「死体は語る」の先生。物言わぬ肉塊の壮絶なメッセージを読み取る神のような先生だ。子どもの虐待死と老人の自死の項は読んでいてとても辛い。

  • 監察医:検死・解剖をして死因を解明することを任務とする医師のこと。
    検死:死者などの死体を医師が調べること。解剖しないで、外側や表面から病死か変死かなどを検査すること。

    そういうことを生業としている人は、慣れてしまって泣かないもんだと思ってた。でも、そんな職業に就いている人達でも時には「涙」する。当たり前か。
    人間には一人ひとり人生があり、エピソードがある。
    「死体」でも同じこと。その一つ一つのエピソードが、この本に詰まっている。
    監察医上野正彦さんによって書かれた、ノンフィクション短編集。

    自然と目頭が熱くなる切ない事件ばかり。
    中でも特に印象的なエピソードは、『夫の献身愛』『おかあさんといきます』『お世話になりました』。
    やっぱり子供とお年寄りの健気な死には弱い。

    引用【自殺する老人の遺書で冷たくされた身内の者に不平不満を書いている事例はない。ただ一言「みなさん、大変お世話になりました」とだけ書かれているものばかりである。】

    同居老人の自殺率は、一人暮らし老人の1.6倍。切なすぎる。

    日本の寿命が世界一って、それがどうしたんだ。長生きさせるだけさせて、結局これかよ!何が健康大国だよ!と思ってしまう。


    監察医。本当にその人の最期の声を聴いてあげられる、素晴らしい職業だと思う。

  • 監察医はもっと注目されるべき。愛ゆえに死。憎しみゆえに死。など

  • 死者の声を聞く監察医の話。
    一つ一つがリアルで、切なくて、悲しい。

    東日本大震災の直後に読んだため
    悲しみ倍増(涙)

  • 久々に縦書きの日本語(新聞除く)を読んだ!なんか元気でた!

    著者のお父さんめちゃいい人!人間の鏡みたい!
    この人のお話は基本的に好きです。今回は一話一話が短すぎてちょっと物足りなかったかな…

  • 何度か泣きそうになりながら読みました。
    1Pあたりの文字数が少なく、文字も大きめで読みやすいです。
    他の本も読みたいと思いました

  • まるで溜め息が浄化されるような、そんな本でした。
    有名な元監察医の先生とは知らずに読み始め、どんどん引き込まれました。

    「妻の死」では、なれそめまで語ることでお二人の思う気持ちに心縮むような。
    「お世話になりました」の、『老人をいたわり、大事にするという敬意を忘れてはならない』には拍手が止まらず。毎日お年寄りと接していると、彼らの引き出しの数と中身の深さに脱帽しっぱなしですから。
    「分娩」での刑事さんの言葉とか、「父の背中」でのお父様の反応、「おかあさんといきます」では死の概念が何歳から芽生えるのかについてなど、本当にどの文も短いながら考えさせられるものばかりだった。

    「死」を考えることは「生」を考えることに繋がる。まさに人生をもって体現してこられた著者に似合う。この先生は疑問を投げたままにせず、私たちの行く先を見据えているところがすごい。話にオチをつけて、読者にフィードバックするのは、人格者でないと他人には響かないのだ。

    私は高校時代から死ぬこと、生きることを研究したかった。当時は死生観を扱っているだけで学んでいるような気がしていたが、これを読んで社会に還元できる死生観とは何かを自分に問いかけたくなった。また勉強し直したくなった。

  • 命が語りかける様々なこと。医療に詳しくないけど、リアルな描写にぞくっときたけど、本当にかけがえのない命をひとりひとりがもっているということが死と向き合ってようやく実感するのだな。

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監察医の涙の作品紹介

2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、忘れられない、愛と生と死のドラマ。

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