監察医の涙

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118542

作品紹介・あらすじ

2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、忘れられない、愛と生と死のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 借りてきた日に読み切るほど強く興味をそそられた。「死」は誰しもが経験するものであるのに、普通の人にとっては身近なものではない。だからこう言った本で色々な「死」を知ることで考えさせられるものがある。自分も何度か法医学教室で司法解剖を見学させてもらったことがあるが、その人がなんで死んでしまったのか、どんな気持ちで死んでいったのかといった事が数日頭から離れなかった。次に著者のベストセラーである「死体は語る」を早く読みたい。

  • 医者は医者でも死体を診る医者。

    迷宮入りの事件を扱うテレビ番組にて、ゲスト出演されている上野先生。

    どんな被害者でも、死体になった理由がある一方、加害者にも犯行におよんだ理由があるという。

    生々しいサスペンスドラマを想像してしまう。

  • 監察医が泣いた話が32話収録されています。その32話の冒頭近くに「刑事の涙」があります。泣いた監察医が唯一見た「刑事の涙」、もう涙なくして読めないです。夫が事故で死亡、母は、幼い子、長男長女を働き通しで養い、自分は食べものも我慢し、何もない部屋にランドセルが二つ・・・。兄である男の子が妹の手をぎゅっと握りしめていた。男の子は涙を見せず、母親が亡くなった様子を刑事に話している。聞いていた刑事が、「ちょっと」と言ってその場から離れた。

  • 亡くなってしまった人が生きていた時の人権を守る仕事、生きている人を守ることができる仕事、、本当に命は尊いと改めて思わされた。自分とか、大切な人、だけじゃなく、この世の全ての命は同じくらい尊くて愛おしいものなんだ、と心を打たれました。この本を読むことができてよかった、ぜひみなさんにも読んでほしいです、この本だけは絶対に読んでほしいです。法医学って素晴らしい、全ての人に届いてほしい言葉がたくさん、たくさん、あった。もうなんか言葉に表せない...

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99230175

  • 2021/10/10 読了

    サクッと読めます。
    死んだ人を見る医者の体験談。
    法医学など好きな方におすすめです。

  • 殺人犯から我が子を守ろうベビーカーに覆いかぶさった母親。しかし,母親の身体を突き抜けた刃は子どもの頭に刺さり,二人共,助からなかった。とても悲しくて切ない。

  • 30年で、2万体の死体を監察医として、検死、解剖をして、死体から、真実の声を聞けるようになった作者。

    小説や、ドラマではなく、事実の事柄が、書かれており、まさに、胸が詰まる思いがする。

    「はじめに」のところで、愛犬のマルチーズが、亡くなる時に、生きているものとのつながりが無くなって行く小さき者への憐憫に声をかけてやる姿に、心優しさが、溢れている。

    刑事でさえ真美だする事件から、虐待死まで、色々な、死を直面して、最後に、妻との死について語っているが、医師でさえ、身近な物への病魔が、解らなかったことに対して、思い悩んだのであろうと、推測する。
    城山三郎氏が、「もう、君はいないのか」と、書かれたのと同様に、奥さまを、とても、信頼し、愛してらっしゃったのだろう。
    死からの1週間後に、空気の様な存在に、今ここに居ないという現実に向き合い、どれほど、自分の気持ちを整理しないといけなかったか?
    しかし、毎日、仏壇に1日を報告する作者は、死者への言葉も理解出来る人であり、きっと、奥さまも、作者の1日の出来事を、聞いて、笑って、うなづいていると思う。
    そんな姿を、想像してみた私であった。

    現在の監察医と言うのは、医師に比べて、給料が、安い割に、仕事は、とても、ハードであり、監察医を必要とする死体が、なかなか見てもらえない状態にあると、聞いたことがある。
    あとがきに、書かれてあったが、今の時代、複雑な事件に、監察医制度の普及も必要だと思う。
    作者の様な監察医が、増えることを願う。

  • 2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師の『監察医の涙』。

    監察医としての誇りと、死から人をみるまっすぐな眼差しで、死体にまつわる行き場のない切ない話が32編おさめられている。

    様々な生き方や死があり、そこに向かう著者の姿勢は、生や死の讃美をこえて、世の実を真っ向捉えていると思う。
    どの話も考えさせられるものばかりだけど、最終話『妻の死』は、作者が妻の死について”やっと自分の中で語れる時が来た”として綴られていて、より特殊に感じた。

    ともすると、死は僕達の生活から隠されてしまう世の中になっているのではないか。
    死というものを意欲的に身近に感じたいとは思わないけども、死を想い、生き様を感じることは大切だなと感じた。

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    【内容(「BOOK」データベースより)】
    2万体を検死した法医学の権威・上野正彦医師が、忘れられない、愛と生と死のドラマ。
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    【目次】
    まえがき
    死体は語る
    刑事の涙
    夫の献身愛
    涙で運転ができない
    炎の中に
    偽りの発表
    父子心中
    コインロッカーベイビー
    分娩
    虐待
    おかあさんといきます
    父の背中
    君ひとりで逝かせるわけにはいかない
    過労死
    インターネット自殺
    行為中に老女は死んだ
    信者
    親の愛
    独占欲
    アルコール依存症
    おんぶ紐
    アメリカでの母子心中
    お父さんを許せない
    いじめ
    涙をこらえて
    我が子を殺めた母親
    お世話になりました
    バラバラ殺人事件
    歪んだ愛
    セレブ妻
    知人の検死
    妻の死
    あとがき
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  • 監察医という仕事は、死体の検査と、その裏にある複雑なドラマを読み解く仕事なのだと感じた。

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著者プロフィール

昭和17年、和歌山県生まれ。京都大学法学部卒業。職業:弁護士・公認会計士。●主な著書 『新万葉集読本』、『平成歌合 新古今和歌集百番』、『平成歌合 古今和歌集百番』、『百人一首と遊ぶ 一人百首』(以上、角川学芸出版。ペンネーム上野正比古)、『光彩陸離 写歌集Ⅲ』、『ヨーロッパの大地と営み 写歌集Ⅱ』、『ヨーロッパの山と花 写歌集Ⅰ』(以上、東洋出版)

「2016年 『万葉集難訓歌 一三〇〇年の謎を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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