ペンギン村に陽は落ちて (ポプラ文庫 た 3-1)

著者 :
  • ポプラ社
3.04
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118610

作品紹介・あらすじ

「ぼく、『しょうせつ』を書かなくちゃいけないの」。息子の宿題を引き受けた父が、テレビと漫画の世界に大胆ワープ!?ニコチャン大王、サザエさん、北島マヤetc…、彼らが自由気ままに行動を開始した!たえず文学へ挑戦してきた著者の、代表的初期小説。

感想・レビュー・書評

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  • ※収録作品
    ペンギン村に陽は落ちて――前編/愛と哀しみのサザエさん/いつか同時代カンガルーになる日まで/キン肉マン対ケンシロウ――愛は永遠に/連続テレビ小説ドラえもん/ペンギン村に陽は落ちて――後編

    1989の作品の再文庫化。たぶんこれは初読。「ペンギン村」と聞いて即座に「ああ、あの、アラレちゃんが住んでたとこね」ってわかる世代です。現在もまだ未完で連載中の『ガラスの仮面』、アニメが続いているサザエさん、ドラえもんあたりは今の子供たちも知っているかもしれないけど、キン肉マンやケンシロウも意外ともう知らない世代も多くなってそう。

    そして解説で佐藤友哉が書いていたように、この本の中に出てくるマンガで現在いちばん忘れられているのがおそらく『Dr.スランプ』ではないかいう皮肉。やっぱり鳥山明の代表作といえば『ドラゴンボール』だもんね。

    自分に関していえば、単純に則巻千兵衛博士だの、ドクター・マシリトだの、山吹みどり先生、栗頭先生、パーザン、スッパマン、ニコちゃん大王って名前だけでも即座に絵が浮かぶので、懐かしみつつ面白がれました。やっぱり高橋源一郎のこの手の話は元ネタがわかるかわからないかで感想も違ってくるだろうな。

    作品は全体としては一種の枠物語になっており、長めの序文で小学生の息子の「小説を書く宿題」を手伝うパパという大枠が説明され、各短編はテレビを見ながらパパが息子のために書いた小説ということになっている。

    一番面白かったのはやはり表題作。他の作品はちょっと悪ふざけがすぎるのではないかと思う部分もあったけれど、表題作だけは、高橋源一郎お得意の、架空のキャラたちが住む世界の虚無感漂う哀愁のファンタジー。ペンギン村に恐怖の大魔王ならぬニコちゃん大王が降ってきてから、住民たちは奇妙は夢の世界と現実を行き来するようになり、次第にあちら側の世界のほうを愛するようになる。則巻千兵衛はアラレちゃんではなくアトムを作り、山吹先生は実はどこにも生徒のいない学校を駆けずりまわり、スッパマンに恋をし・・・。誰もいなくなったペンギン村にロボットの少年少女(アトムとアラレ)だけが佇む姿を想像したらちょっと涙が出そうになる。

    あとは、家出してきて、ウルトラマンファミリーが隠居している養老院で働くことになったサザエさんが、ウルトラの父に言い寄られたり、ゼットンに恋したりする「愛と哀しみのサザエさん」がなかなかシュールで好きでした。

  • よくわからない。ただわたしと息子の掛け合いは好きだなぁ。

  • 「インテリ源ちゃん」、高橋源一郎さんの、小説を読むのは、これが初めて。
    この作品も、お名前はかねがね…といったところ。

    キン肉マンやDrスランプ、ウルトラマンにアトムに、サザエさんにドラえもん。
    おっと、ガラスの仮面の北島マヤもでてきたっけ。
    こんな漫画の登場人物たちが、ぞろぞろ登場し、ぶっ壊れた世界を作り出す。
    徹頭徹尾、意味不明。

    リアルすぎる夢と現実の区別がつかない病にかかっていくペンギン村の住人達に、自分(たち?)の姿を感じる。
    夢か現実かわからない状態で、世界の終末を迎えるのかな、なんて。

  • 【321】

  • よくわからない。そう思わせるのがこの本のねらいかというくらいわからない。すごい発想力か、妄想か。深いのか浅いのか。作者の「あとがき」と佐藤友哉の「解説」で、少しはわかったような気がしないでもないが。

  • 何がなんだかよく解らない内容、面白かったのかどうかもわからない漠然とした感情の残滓が読後頭の中を埋め尽くした、というのが正直な感想だが、よく考えれば虚構の世界では「説明するまでもない、こういうことはよくあることだから。」という常識のもと成り立っているのだろうから、現実からのトリップ感を得られた作品として見事である。ただ虚構の寂しさ、悲しさ、この何とも言えない嫌な空虚を描き上げたところに作者の内容に込めた解らなさがあるのかもしれない。

  • 高橋源一郎には、期待してしまう。前衛的で発想が面白いからだ。本著は、子供の宿題である小説作りを手伝うという設定。その題材をテレビアニメの描写で済ませてしまう。残念ながら、くそつまらない。読書に時間をかける価値もない。知的刺激も、娯楽もない。高橋源一郎だから、良いだろう。詩的で、行間、含蓄多し。そう処理する人もいるだろうが、この著書はおふざけだ。良いという奴は、衒学的な◯◯だろう。意見が分かれるのは、素直か素直じゃないかの違いでは。

  • 鉄腕アトム、Dr.スランプ、サザエさん、ウルトラ兄弟
    ガラスの仮面、キン肉マン、ケンシロウ、ドラえもん
    …といった「歳をとらない」キャラクターたちが
    永遠の退屈の中でひたすらボケていく
    そのように、中島敦の「名人伝」をどこか思わせるこの小説は
    近代日本文学にとってのハッピーエンドであり
    バッドエンドでもあると
    そんな風に言えるだろうか?
    いやいや
    終わるのは、過去と未来のはざまにある
    今この瞬間だけで十分だ

  • 途中で断念。

    日本でおなじみの国民的キャラクターたちが
    小説の中で すごいことに。

    というアイディアは面白いし
    国民的キャラクターをあんなふうにおちょくるなんて
    さすが高橋源一郎…とは思ったんですが

    作品自体はどうにも面白いと思えなくて、断念しました。

    なので評価はなしで。

  • いろんな要素が入り混じって、おふざけのようなのに、ものすごい悲しみが大部分を占めている感じがします。

    13.01.15

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著者プロフィール

作家・元明治学院大学教授

「2020年 『弱さの研究ー弱さで読み解くコロナの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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